アメリカユースサッカー、その2(セレクション)
日本の子供たちがどのようにサッカークラブを選び、そして変えたりするのかあまり知らないが、アメリカのユースクラブは基本的に毎年5月締めですべてのプレーヤーが基本的にフリーエージェント制?になる。5月末にそれぞれの州が主導して一斉にトライアウト、セレクションを行う。「今年所属していたからと言って、次の一年もまた同じチームで!」ということは保証されていない。パフォーマンスがよくなければセレクションで落ちるので、そのプレーヤーは別のチーム、もしくは別で受かった他のクラブに移籍することになる。逆にパフォーマンスに自信があるプレーヤーは今所属するクラブよりもレベルの高い、もしくは自分の目指すレベルのクラブのセレクションを受けて移籍することも自由にできる。その際にコーチがそのプレーヤーの移籍を妨げるようなことはナンセンスだし、そうするコーチやクラブをみることも稀である。基本的に自由移籍システムであり、クラブやコーチも自由に次シーズンのメンバーを選び、外すこともできる。
もちろん、その際にうまいプレーヤーの取り合い、引き抜きもよくある。ある家庭の子供(小6)がうまくそのレベルでなくとも、それでもトップクラブに入れさせたく、同じチームでプレーしているトッププレーヤーの選手の移籍と抱きかかえで「うちの子も取ってくれたら、まとめて車の送り迎え(トーナメントも含む)を面倒みるから」と言って「パッケージ」移籍させた親もいた。小学6年にそこまでするのか。と言いたくなるが、歪んでいるように見えるが、子を思う親心なのだろうか。その子は1年間はそのクラブでプレーできたが、ほとんどベンチ要員。そして一年後には、別の親たちがそのトッププレーヤーの「足」になることを申し出て、その子はそのクラブから落とされてしまった。でも練習にはみっちり参加できたので、決して無駄な一年ではなかったであろう。
セレクションには、さすがは多民族国家と思わせる面もある。アメリカのユースサッカーと言っても、コーチのほとんどが白人アメリカンというわけではない。北米はもちろんメキシコ、ブラジル、エジプト、ヨーロッパ、アフリカ、中東はイラク人もいる。それぞれ独特のお国柄の性格やアクセントもある。なかには英語がほとんど話せないウルグアイ人コーチもいて、ほとんどスペイン語でやっている。あるエジプト出身のコーチはよく問題を起こす。好成績を残すコーチでサッカーコーチとしては人気があるらしいが、行くクラブで不祥事を起こして何件かクラブをクビにされる。その際にそのコーチは自分たちのベストプレーヤーを複数の年代のチーム丸ごとごっそり連れて行ってしまう。次の受け入れ先は人気コーチがトッププレーヤーをごっそり連れてやってくる。ウェルカムと迎え入れる。クビにした側のクラブは「すっからかん」になり、次の年はまさに「寄せ集め」チームで前年からプレーしているトップディビジョンで戦うことになり、戦績は10戦全敗という散々な結果になる。できることなら、そう行った「問題児」的なコーチがいるようなクラブには自分の子供は所属させないようにした方がいいだろう。特に小学年代は純粋にサッカーを楽しめる環境に置いてあげることが親が子にできる最良の選択だと思う。レベルもあまり背伸びさせず、今あるレベルプラスαで、基本的なタッチ、コントロールを怠けず毎日練習させておけば、ほどよいチャレンジが要求されるレベルでじっくりと成長していけばいいと思う。
実際、多くのクラブやチームが、そうした大人の政治的な環境からユースプレーヤーを守る動きもある。ようはクラブのブランドや名声、「トップチーム」といった見栄になびいてしまうのが一番子供にとって危険である。自分の子供のスタイル、レベルにあったクラブ探し、コーチ探しがより重要である。持論としては、この年代ではチーム探しやクラブ探しよりもどれだけ自分の子供に合う、長い目でためになるコーチを見つける方が大事だと思う。素晴らしいコーチで巡り会えたなら、多少チームがプレーするディビジョンが低くともそのコーチの下で学ばせるべきだと思う。高校年代になれば、自然と自ら這い上がらなければいけなくなる。それまでは、自分にあった「育ててくれる」指導者の下で幹を太く根を張ることに専念すれば、いずれ大輪の花は咲く。。。。ことを願う。
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