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小さな親と大きな子(Kakui & Hiruta 2024)

私が関わった論文の短い紹介.

”タナイスの近縁2種間で見られた成体ー幼体のサイズの差の違い”

Kakui & Hiruta (2024) は,タナイスの近縁2種(Apseudes nipponicusとApseudes sp.)の最小抱卵個体(つまり繁殖開始時)のサイズと自由生活第1齢(マンカ2という発生段階)のサイズを比較した成果です.対象とした2種はいずれも同時的雌雄同体です.本研究は,同2種を扱った以下の先行研究で提示した「小さな種(Apseudes sp.)は,体サイズの増加やオス化への資源投資を減らし早く成熟する早熟な種である」という仮説から派生して,果たして子のサイズ差はどうなっているのか,という素朴な疑問を解消すべく実施しました.

2種の最小抱卵個体サイズは,先行研究で得たデータを使用しました.本研究で得たデータはマンカ2のサイズです.サイズ指標は背甲(こうら)の幅を用いました.

Kakui & Hiruta (2024) より改変,転載

結果,大きな種のマンカ2は最小抱卵個体の20%のサイズ,小さな種のマンカ2は最小抱卵個体の32%のサイズでした.小さな種のマンカ2のサイズが相対的に大きく(両種の脱皮によるサイズ増加が同様の割合だとすると小さな種はより早い齢で繁殖を開始することになるだろうことから)小さな種(Apseudes sp.)が早熟な種であるという仮説とは矛盾しない内容でした.

論文詳細
Kakui K, Hiruta C (2024) A smaller species releases proportionally larger juveniles in Apseudes (Crustacea: Peracarida: Tanaidacea). CBM-Cahiers de Biologie Marine 65: 35–37.

doi: 10.21411/CBM.A.F7E539FB


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