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声劇台本「トンチキ」ジャンル:コメディ 1人

※ピカピカにも同じ台本を棚霧書生名義で投稿しています。中の人は同じなので安心してください。
必要人数(男0:女0:不問1) 所要時間 5-10分
(落語調で/原文ママ読み推奨)



「トンチキ」

トントンチキチキトントンチキチキ

トンチキトンチキ、トンチキチン

説明しましょうトンチキとは

まぬけ、のろま、とんまなどの意を持ち、主に人をののしるときに使う言葉である!

また、トンチキソングなどというときは、歌詞が意味不明であったり、珍妙であったりする様を指す!

そして、今からわたくしがみなさまに語りまするはトンチキストーリーでございます。

内容は無いようでいて、その実やっぱり、すっからぽんの空っぽ空っぽで、がらんどうどうの空ろにございます。


あるところに仲の良いふたりの男がおりました。ひとりをトンマ、もうひとりをチキンと呼ぶことにしましょう。トンマのやつは酒好きで、チキンのやつは女好きでありました。

酒に女と来りゃあ、行くとこは決まってる。ふたりは夜ごとオシャンティなバーへとくり出し、トンマは酒を呑み呑み、チキンは女とイチャイチャ。

とある夜、トンマとチキンはいつものようにバーで、遊んでおりました。その夜はふたりとも調子が良くって、お天道さまに顔見せでもするのかって勢いで盛り上がりにぶち上がり、どんちゃん騒ぎの乱痴気騒ぎ、上を下への大騒ぎをしておりました。

トンマがアルコホーをミュージカル調に口説き、チキンはレディとダンシング。事件はその時起こった!

トンマの額とチキンの額がトンッとぶつかり、ふたりの脳髄にチキチキッと稲妻が走る。

ここでふたりの精神が入れ代わり、などというありきたりなことは当然起こりませんで。トンマとチキンは衝突した途端! トンッチキッとひとつに合体したのであります!

トンマとチキンは名をトンチキとあらため、ふたりでひとりの人間として生きていくことにしました。

しかし、ひとつの肉体にふたつの魂がぎゅう詰めにされてるもんで、不便も出てくる。実のところトンチキになる前のトンマは無類の酒好きではあるが女は苦手で喋りたくもねえ。またその一方でチキンは女狂いだが酒は一滴も飲めねえ下戸ときた。

相反するふたつの心が一個体内に存在する。そんな矛盾にトンチキはたえられなかった。

トーンチキー!

トントンチキチキトントンチキチキ、トンチキトンチキ、トンチキチン!

トンチキは死んだ! そう、頓死(とんし)である!

さてさて、このお話はもう幕引きでございます。得られるものはなかったですね。トンチキ話に意味など求められても困りますから苦情の類はご遠慮くださるようお願い申し上げまする、では。


終わり

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棚霧書生
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