まだ早かったみたいだ
パン屋にいった
クロワッサンだけが売っている店だった。
店の中には1人しか入れない。
たったの3畳ほどの店内と、奥に2畳ほどの焼き場があるだけの小さなパン屋だった。
若い男性がやっているパン屋だ。
歳は24.5歳くらいだろうか
前の人が店を出て、自分が中に入る番になった。
店に入ると、バターのいい匂いがした。
ほんのり甘い
3つ買った
わたしと姉と父さんの分
母はパンを食べない。
1年半前からここのパン屋はやっているらしい
お兄さんの年齢は、28歳だった
帰ろうとしたとき、扉に小さな文字でかいてあった
世界の秘密
と。
それが初めて、わたしが"世界の秘密"に触れた瞬間だった。