システム開発に携わる人間として、すき家の自動精算機について思うこと
久しぶりにすき家で牛丼を食べた。
学生時代は高頻度で利用していたが、就職してから足が遠ざかっていた。
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入店してまず目についたのはタッチパネル式の支払機だった。
「松屋に遅ればせながら、すき家も券売機導入に踏み切ったか。」と思い、足を止める。
しかし、牛丼を購入するためにタッチパネルを触るが反応がない。
店員に尋ねたところ、注文は自席で行い、その機械で後精算を行うものらしい。
券売機ではなく、自動精算機ということだ。
理解して自席につき、牛丼並盛と卵を注文して食べた。
食べ終えて席を立ち、支払いをするために再度自動精算機の前に立ったが、今度は伝票を読み取る部分がない。(スキャナーのようなもの)
どうやって支払いをすればよいか困惑していたところに、店員が近づいてきて伝票を受け取ってくれた。
自動精算機の裏側(カウンター内部の店員エリア)の画面から伝票をスキャンし、ようやく液晶画面に金額が表示される。
Suicaの支払いができる旨のシールが貼ってあったため、Suica支払いボタンを探したがなく、
これまた店員にSuicaでの支払いをする旨を伝えることで、店員側の操作によってSuica支払いのモードとなった。
Suicaから410円を支払い、店を後にした。
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以上が久しぶりにすき家で食事をした15分ほどの一幕。
私はこの一通りの体験を通して、強い違和感を感じた。
その正体を、私なりに考えてみた。
私は、飲食店へのシステム導入には以下の2つのメリットがあると思っている。
1.客の利便性が高まる。(リピートに繋がり、売上が上がる)
2.店員の負担が減る。(店舗運営におけるルーティン作業が減り、人件費が下がる)
このすき家の自動精算機は、上記の1、2ともに満たせていないのだ。
ではなぜすき家は決して安くない予算をつぎ込み、この自動精算機の導入に踏み切ったのだろうか。
私個人の推測では、アルバイトによる横領や精算ミスによるロスを防ぐためだと考える。
アルバイトに現金を触らせる以上、横領のリスクは常に存在する。
すき家の自動精算機は、客の利便性を高め快適な支払い体験を実現するものではなく、店員の負担を減らしてくれるものでもなく、店員に現金を触らせないことで不正を防止する仕組みでしかないんじゃないか。
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仕事には大義がある。
私が従事しているシステム開発の仕事においても同じだ。
システム開発は難易度が高く、高いスキルが求められる割には、
人ではなくパソコンの画面と対峙する時間が長いために、この作業が世の中を良くしているというイメージがしづらく、モチベーションの維持が難しい。
それでも私達は、完成したシステムが人間の暮らしを便利にすることで、少しでも社会に貢献していることを信じて、一行一行プログラムを書く。
どんなに手間暇かけて作られたとしても、人間の作業コストを全く減らすことのできないシステムに世の中を良くすることはできない。
客も店員も便利にならない、不正を防ぐために多額の予算を投じて実現されたであろう自動精算機を横目に、私はいたたまれない思いを抱えて帰路に就いた。
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