長生き攻撃
◇
-くぼみくんは、長生きしなきゃダメよ-
-くぼみちゃん、生き急がないで-
と、心配するフリをしながら
短命フラグを立ててくる人がたまにいる
-あんたは長生きしそうだわ!笑-
と、太鼓判を押されたことはない
死にたい気分になったことはない
そもそも
いつ死んでも大丈夫な日々を送ってない
あなたと違ってやり残したことは結構ある
だからいきなり僕が自死することは多分ない
だけど
[長生き]は人生の答えにはならない
答えがないまま長生きして死ぬことを
みっともないとか、冒涜するつもりはない
人生一回しかないという大前提を
軽々と無視できるほどの豪胆さもない
だから僕は考える方に舵をとる
僕は、僕なりに答えを出したい
いつ死んでもいいと思える境地に立ちたい
つまりは
死生観を持ちたい
ただそれだけだ
ただそれだけのことなのに
僕が、生きるとか死ぬとか口にすると
ザワつかれたりメンタルを心配されたりする
むしろあなたの金融リテラシーのが心配だ
◇
二十歳の夏
叔父の葬儀を終え、下宿先に向かう朝
-あんた、、文学部やからって
変なことばっかり考えて
あんたまで早まるんやないよ!
わかっとるやろうね!-
と、母に怒鳴られた
目が笑ってなかった
目を見開きすぎて
パッチリした二重がもう、三重になってた
-うん、、わかっとるて、、うるさい-
振り払うように返事をして新幹線に乗り
2時間半ずっと泣いてた気がする
大好きなレコードを聴きながら
あんなに幸せそうに
僕にブルースの素晴らしさを語っていたのに
(僕はブルースあんま好きじゃないけど)
確かにそこには熱量があったのに
なんで自ら熱量をなくしたのか
考えても考えても理由がわからなかったし
叔父を苦しめた(と思われる)会社を恨んで
呪い殺してやろうと本気で考えては
叔父の死化粧姿を見て
自殺したことを伏せようと
親族一同で決めた話し合いを思い出し
踏みとどまる
何も考えずに平安を願うこと
それが叔父にも僕にも
唯一無二の正解だと信じていた
タチの悪い土着の宗教みたいに
◇
軽々しく死を語るな?
-軽い?
お前首絞まった痕見たことあるんか-
と、言い返そうとしては
叔父を比喩にして消費しないよう
口をへの字にして踏みとどまる
踏みとどまっていると
自分より知能が低そうな人に
やたらと心配される
ものすごい馬鹿だったり
ものすごい天才だったら
わりと20代で答え出せていたと思う
ちなみに価値のある邦楽ロックバンドは
20代で死生観を歌にしている
なぜなら
死生観を持っているからだ
死生観を感じれないロックバンドは
そもそもロックバンドじゃない
90年代以降のJポップだ
若く見えるタイプですおばさんに
リマスターして聴かせとけばいい
きっと、長生きできるだろう
長生き攻撃には長生き反撃
さて
長生き馬鹿が寝静まったところで
チャート📈の確認だ
口髭とほうれい線がデッドクロスする前に
しっかり脱毛して
高濃度レチノールを塗ろう
いつか死んだ時
まだお若いのに亡くなった感出したいしな
-若く見えるタイプですおじさんやん-
って早よツッコまな
ほら、もっと生き急がな
お笑い反射神経は鍛えられへん
-死について語るな!不謹慎めが!-
は、お笑い関係あらへん
ただの脊髄反射や
含み損抱えた瞬間に喚く雑魚がやることや