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京都大学経済学部1回生科目選択のいろは
1.はじめに
みなさん初めまして。大学に合格して早速Twitterの大学アカウントを運用し始めたところ、高校時代からもともとツイ廃だったのが災いして今でもこうして公開アカウントで恥をさらし続けているarctanです。
Twitterのbioにも書いてある通り私は経済学部に所属しているのですが、陰キャ特有の陽キャ敵視を発揮して新歓にも履修相談会にも一切行かなかった結果、適当にシラバスを眺めて時間割を組む羽目になりました。
実際ネットで検索してもなかなか情報が出てこず、困っていたので後輩の皆さんが私と同じような思いをしてほしくないという思いから、今回の記事を執筆しようと決断しました。
今回の記事では専門科目と一部の一般教養科目について述べていきます。一般教養科目に関しては、ネットに様々な情報が出回っているので他のサイトを参考にしてみてください。
前置きが長くなってしまいましたが、まずは専門科目について書いていきます。
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2.専門科目
導入
新入生の皆さんは、経済学と聞いてどんなものを思い浮かべますか?
経済学にはミクロ経済学やマクロ経済学のような理論的な経済学から、社会経済学という経済学の歴史について扱う経済学、計量経済学という統計を駆使して分析を行う経済学などに至るまで様々な経済学が存在します。
みなさんは4年(25%の人は5年以上)をかけて様々な分野の経済学について学んでいきます。
京大の経済学部を卒業するためにはいろいろな分野の経済学の講義の単位を取らなければなりません。
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経済学部はこのようなコースツリーを公開しています。
京大の経済学部は、一応必修科目とされているものがありますが、実質的にはないようなものです。
専門科目は、その難易度に合わせて入門科目、専門基礎科目、専門科目という分類がなされています。
おもに1回生で入門科目を履修し、2回生で専門基礎科目と一部の専門科目、3回生以降で専門科目を履修していくという形です。
このうち必修に関わってくるのは入門科目と専門基礎科目です。
専門科目(広義)は難易度だけでなく、その中身でも分類がなされています。
上記の図の通り、A群B群C群D群に分けられています。
まずは、この4群のうちA群は必修なので残りの3群の中から皆さんが好きな2群を選択する必要があります。
そして、この選んだ2群とA群の入門科目を1科目以上、専門基礎科目を1科目以上履修する必要があります。
さきほど必修はほとんどないようなものだと述べたのは、基本的に入門科目と専門基礎科目は単位が取りやすいので、ほとんどの人が履修するからです。
京大の経済学部では卒業のために専門科目の単位を84単位以上取得することが求められますが、専門科目の全体の数があまり多くないので選り好みしすぎると単位が足りなくなる可能性があります。
そのため、興味が無くても単位が取りやすいのであればとりあえず取っておくことを推奨します。
それでは、具体的に入門科目について述べていきます。
前期編
情報処理入門
この科目はとんでもない楽単です。月曜の1限目なので出席できないことを気にして履修しないという人もいますが、とりあえず履修した方がいいです。
課題の配点が40点あるので、課題をネットで提出し、月曜1限にある期末試験に行くことさえできれば単位獲得です。
課題をちゃんと提出し、テストにも行った人で単位を落とした人を見たことがありません。
授業は大して面白くないので行かなくていいです。
私は最初の1回だけ出席し、授業がつまらなかったのでその後1回も出席せずにテストを受けましたが、普通にA評価をもらえました。
最初の1回は立ち見が出るほど混雑していましたが、最後の方は20人ほどしか出席していなかったそうです。あまりに人が少ないので大教室を使うのがもったいないから教室を変える話が出たとかなんとか会計学入門
この科目はきついです。内容が簿記とかなり被っているので、木曜4限5限の簿記を履修しない人は履修しない方がいいです。
また、シラバスを読むと小テスト30%と書かれていますが、この小テストは特に予告されることなく抜き打ちで行われるため、1限にあるのも相まってテストを受けられない人が続出します。
結局小テストを1回も受けられず、70点スタートになり単位を取れるはずがないからテストにも行かなかったという友人を何人も知っています。
もし履修する場合は強い覚悟を持って臨みましょう。入門演習
この科目は最初から時間割に入っている科目で、消すことはできません。特に必修というわけでもないので単位を落としても特に問題は無いですが、この科目の単位を落とす人は基本的に留年します。
それくらい普通にやれば取れる科目だということです。
この講義では、レポートの書き方や発表の仕方など高校のそれとは異なる大学での学び方について知ることができるので、ちゃんと出席しましょう。
基本的に5回欠席すると単位が来なくなりますが、教員と交渉したら人によっては許してもらえるそうです。現代経済事情
この科目はかなりの楽単で、授業に行かなくても少しテスト勉強すればよっぽどのことがない限り単位を取ることができるのでとりあえず履修することをおすすめします。(個人的には同じ時間に開講されている般教の社会経済システム論という科目が非常に面白かったのでそちらを推したいですが……)簿記
簿記の資格を取得したいと思っている人はぜひ履修するべきです。
資格も単位も取れるので一石二鳥です。
2023年度は平常点が出席点のみで、コードを入力すれば出席扱いになったので、グループを作って毎回1人出席してコードを確認するということで楽に平常点を稼ぐことができました。
今年はどのような評価が行われるかは分からないので、この方法が今年も通用するとは限らないです。
後期編
社会経済学入門
この科目は経済学の歴史について学ぶ科目です。
主にケインズ経済学とマルクス経済学について勉強します。
講義の内容はかなり発展的なものを含んでおり、理解するのに時間がかかりますが、テストでは難しい内容は全く問われないので少し勉強すれば単位は取れます。経営学入門
この科目はかなり大変です。
授業は講義というより議論に近く、教員と生徒が話しながら授業が進んでいくという形になります。
この科目が大変なのは、課題がかなり重たい点と、教員が横文字の使い手で何を言っているか分かりにくい点です。
入門科目を履修しなくても、その上の専門基礎科目や専門科目を履修することはできる(後ほど補足します)ので、とりあえず履修してみて無理そうなら躊躇せず履修を取り消してください。経済史思想史入門
この科目は毎年担当教員が変わるので、とくに言及することはありません。
テスト100%(経済史50%思想史50%)なのと、担当教員によって単位獲得の難易度が変動するところには注意するべきです。
余談ですが、高校社会科の世界史や倫理を履修しているとこの科目において少し楽ができます。
前期も後期も開講されている科目編
ミクロ経済学入門・マクロ経済学入門
これらの科目は神です。
2つとも担当教員が同じなのですが、その教員が非常に優しく、面白い授業を提供して下さるので、これからの大学生活で経済学を学んでいく最初の1歩で大きく加速することができます。
強いて言えば、2023年度の前期までは発展的な内容を扱った面白い授業を提供して下さっていたのですが、経済学部当局が入門科目だから誰もが分かるような簡単な内容にしなさいと圧力をかけたため、経済学の入門書準拠のかなり簡単な授業に変わってしまいました。
それでもなんとか工夫して面白い授業を提供して下さっているのでぜひ履修しましょう。
経済学を学ぶにあたって両者とも捨て置くことはできないので、2つとも履修することをお勧めします。
これらの科目は前期と後期で同じ内容の講義を行うので、どちらで履修しても構いません。
ミクロ経済学の方が経済学のより基本的なことを扱うので、前期にミクロを履修して後期にマクロを履修するという人が一番多いと思いますが、逆にしても、1つの学期に両方とも履修しても特に問題はありません。統計学1
シラバスを見ると難しそうな内容が書かれていますが、実際も難しいです。
教員の声が小さく、教科書も分かりにくいので今何をやっているのかが全く分かりません。
しかし、課題50%テスト50%で課題は問題に正解すれば満点が来るので、少しテスト勉強すれば単位は取れます。
テストも、Rというソフトのプログラミングについて聞かれたり、統計学の基礎的な部分について聞かれたりするなどかなり難しいですが、高校数学の内容が入っていて、そこで10点くらいは稼ぐことができるので単位は取れると先ほど述べました。
逆に言えば、それ以外の部分はかなり難しいのでこの科目でいい成績を取るのは非常に難しいです。
指定された教科書は上下巻合わせて5000円ほどしますが、買う必要はありません。
教員が公開している授業資料が教科書の内容を補完しているので、わざわざ高くて分かりにくい教科書を購入する必要はありません。
3.必修についての補足
入門科目を履修しなくても、その上の専門基礎科目や専門科目を履修することができると先述しましたが、これについて補足します。
例えば、私はC群の入門科目である会計学入門と経営学入門を履修しませんでした。
しかし、その上にある専門基礎科目であるマーケティング1を履修して、卒業に必要な専門科目(広義)の単位とすることができます。
ただ、注意しなくてはならないのは、私はこのC群で必修の要件を満たすことができないので、必ずB群とD群の入門科目と専門基礎科目を履修する必要があるということです。
とりあえず入門科目は会計学入門と経営学入門以外は何も考えずに取った方がいいので、よっぽど必修の要件を満たさず卒業できないということはないとは思います。
4.一般教養科目
最初の方で述べた通り、般教の楽単情報についてはかなり出回っているので、ここでは最小限にとどめて述べていきます。
数学基礎
まず、経済学部の時間割には最初から数学基礎Aという般教が入っています。
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この科目では経済学を学ぶにあたって必要となる高校数学の数学Ⅲのうち、極限と微積について学ぶことができます。
極限と微積ができないと本当にお話にならないので、文系で入ってきた皆さんには強く履修を勧めます。
理系で入ってきた皆さんは、申請すればこの数学基礎ではなく理系が学ぶ線形代数と微積のクラスに入ることができます。(文系の人も申請すれば入れます)
しかし、これはおすすめしません。
理系の数学は難易度がかなり高く、負担が重くなるので数学基礎を取って無双する方がコスパがいいです。
実際自分のクラスの理系経済の人が数学基礎は楽勝で、こんなんで4単位も取れるならお得だと言っていました。
数学基礎Aの履修要件のところに、後期の数学基礎Bも履修する必要があると書かれていますが、これは嘘です。
後期の数学基礎Bは内容が完全に大学数学となるため難易度が高く、履修する人がかなり減ります。
実際私も数学基礎Aは履修しましたが、数学基礎Bは履修していません。
また、この科目についての注意点ですが、この科目のようなクラス指定科目は自分のクラスで指定されていないものを登録すると自動的に時間割から削除されます。
数学基礎は2クラス開講されていますが、自分の配当とは違う方を時間割に登録すると、履修登録の際に自動的に時間割から削除され、戻すことができなくなります。
これをやってしまい、数学基礎Aの単位を取れなかった友人がいるので皆さんは注意してください。
最初から入っている数学基礎は特にいじらずそのままにしておけば全く問題はありません。
第二外国語orデータ科学
まだ卒業要件を正確に把握できていないという人も多いことだろうと思いますが、ここで第二外国語とデータ科学の選択について述べていきます。
京大の文系学部では、第二外国語を中級まで履修する(要するに第二外国語の単位を16単位以上取ること)必要があります。
1回生で初級8単位を取り、2回生で中級8単位を取るというのが一般的となっています。
しかし、経済学部ではこの2回生で学ぶ中級8単位をデータ科学8単位で置き換えることができます。
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このように、自分で好きな方を選択することができます。
楽単という面で見れば第二外国語を継続するべきですが、これからの時代に確実に役に立つ学問をしたいという人はデータ科学を選択するのも良いと思います。
ここでは、データ科学分野に行くかもしれない人に向けて履修することをお勧めする科目を紹介します。
データ科学はわりと難しく、経済学部の専門科目である統計学1を履修してから勉強することが勧められていますが、数理・データ科学のための数学入門Iと数理・データ科学のための数学入門Ⅱはデータ科学の知識がなくても単位を取ることができます。
この科目はデータ科学というよりも数学が主で、データ科学に必要となる数学を文系でも分かるように解説するというものです。
シラバスに書かれている通り、数学Ⅲの履修を前提としていないので文系の皆さんでも履修することができます。
また、両者ともデータ科学にしては珍しく楽単なので、もしかしたらデータ科学に行くかもしれないという人は1回生のうちに履修しておくと、2回生になったときにデータ科学を4単位取るだけで良くなるので、非常に楽になります。
また、データ科学を選択しないという結論を下したとしても、これらの科目は普通の自然科学群の単位となるので、数学基礎Aの4単位と合わせて8単位で自然科学群の卒業単位を取り切ることができます。
データ科学、やりませんか?(勧誘)
5.むすび
これを読んでいる皆さんは新たに始まる大学生活に目を輝かせていることでしょうが、安心してください。ゴールデンウィークを過ぎた頃からだんだんと学問に対する興味が薄れてゆき、徐々に授業に行かなくなります。
京大の経済学部は単位が空から降ってくるだのパラダイス経済だの言われていますが、パラダイスに甘える人が意外と多く、留年率は25%あるので気を付けましょう。
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わりときれい
ただ、ちゃんと勉強すれば単位は空から降ってきます。
お隣の法学部はテスト範囲が膨大で、単位を取るのも一苦労なのでそれと比べると遥かにマシです。
同じ法経本館を使う同志なのに向こうはテストが非常に大変なうえにテスト期間がこちらよりも1週間も長いなんて……
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実は東ウィングより古い
法経本館東ウィングと西ウィング間の東西格差が是正される日は永遠に訪れないでしょう。
冗談はさておき、ここまで色々と述べてきましたが、経済学に興味が無くても最悪他学部聴講に逃げるという手もあるので、気負わずに適当に勉強していってください。
経済学部では、他学部聴講と簿記などの特殊講義、法学部提供科目の3つから合計20単位まで卒業単位に専門科目扱いで算入することができます。
これらの3つはGPAに算入されないので、単位さえ取れれば大丈夫です。
大学では勉強だけが全てでなく、部活、サークル、バイトなど高校時代とは大きく異なる環境に身を置くことになります。
勉強は学生の本分だとよく言われていますが、大学生は人生の最後の夏休みであり、社会に出る前のモラトリアム期間です。
入学式の後に行われる学部ガイダンスで渡される学部便覧にも目を通しつつ、大学生のうちにしかできない遊びや旅行なども楽しんで、コスパ良く単位を取って卒業してください!
皆さんが明るく楽しい大学生活を送らんことを冀います。
それでは、ここまで駄文を読んでいただきありがとうございました!
またの機会があればぜひ駄文を読んでやってください。