Soar元理事等による性加害被害者へのカンパ金の御礼と、ここまでのご報告
Soarカンパ金呼びかけをしてから、1年7か月が経ちました。まず、カンパをいただいた方にご報告がたいへん遅れてしまったことを、お詫びいたします。
※参考:当時のnoteです。
カンパは最終的に、301人から、合計336万9110円を頂きました。カンパいただいた合計金額と人数をご報告しますと前の記事にも書いていたので、ここに記載します。非常に多くの方にお心を寄せていただき、本当にありがとうございました。被害者の方に代わって、感謝をお伝えさせてください。
2021年5月から集めたカンパでしたが、その後も「1年経ってもまだ解決していないようだから…」と呼びかけの1年以上後にカンパくださる方がいたりもしました(そのため、上記記事で報告している数値から金額・人数が増えています)。
被害者の方とやりとりして、すべてのカンパ金の分配が終わったのは、2022年8月となります。
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この1年7ヶ月、被害者の方々と接する中で感じたのは、彼女たちの負担の大きさでした。
当初はここまで長引く事態になるとは想定していませんでしたが、この報告記事を書いている2022年12月現在も、いまだ係争中の方や、被害が認められず通院中の方がいます。元理事の記事についてはSoarのメディアから削除等の対応がなされたものの、他の加害者の記事はいまだ掲載されたままです。
300万を超えるカンパ金が集まったことは、みなさまに大変感謝しています。一方で、加害者も複数おり、それぞれに被害者も複数いたこと、またSoar側との話し合いにおいても弁護士が必要となってしまったことなどもあり、全ての方の弁護士費用や減った収入を全てカバーすることはできませんでした。
被害者の方たちの中には、トラウマ・心身症状等で働くのが難しくなってしまう方もいました。また加害者らが安定した収入や社会的地位を持っていることに比べて、被害者らは非正規雇用などの方が複数いました。
そうした不均衡な背景の中で、被害者の方々に、弁護士費用・受診費用等、様々な費用を自費で捻出させてしまわざるを得なかったことについては、非常に無念さ・悔しさを感じています。
また、カンパを募っている時期、私自身に対しても100件を超えるいたずら電話がありました。もともと自身に不利な影響があるだろうことは想定して声をあげましたが、(私自身は仕事に直接的な影響はなかったものの)私を擁護する発言をした知人が仕事のプロジェクトを外されたりしたことは、とても辛いことでした。「soarに言及するな」と匿名でメールが来た知人もいます。
暴力やハラスメント、差別に対して、バイスタンダー(居合わせた第三者)がアクティブに介入することが大切だとよく言われます。しかし、実際に行動した際にこのようなことが起きうること、周囲への影響を含めての声をあげることの難しさは、本件を通してはじめて知ったことの1つでした。でもだからこそ、たくさんの第三者が諦めずに声をあげることが大事なのだと感じます。
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Soarは2022年12月現在、「#soar応援」として寄付を募るキャンペーンを行なっているようで、私にも寄付のお願いのメールが届きました。過去にクラファンに参加したことがあったので、一斉に送っているようです。
私は2011年からNPO業界で働いており、今回のような非営利組織におけるハラスメント等についてはいくつかの事例を知っていますが、関係者による行為で係争中にも関わらず広くキャンペーンを行う事例を見たことがなく、困惑と遺憾の気持ちを持っています。(被害者が目にした際に、辛い気持ちを持つかもと考える人は組織に誰1人もいなかったのでしょうか……)
なお、「複数の加害者がいるのではないか」という指摘は、該当する被害者の方々からのご承諾をいただいた上で、被害者のお一人の卜沢彩子さんとSoarとの面談に同行してSoarの工藤編集長・森副代表・小野田弁護士と面談でお会いした際に、私からも口頭で伝えています。
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本記事に書こうか迷いましたが、私自身も全くの別件で2022年夏からハラスメントに遭っていました(このことでエネルギーが削がれていたこともあって、本報告にお時間を頂いてしまいました)。
その中で、ハラスメントの被害を訴えることの大変さ、たいしたことではない・黙っていればいいと第三者に言われることの苦しさを感じました。被害を訴え、証拠を集めるには、自分が粗末に扱われる体験を何度も思い返さなくてはいけません。手が動かないというのは、こういうことか…と思いました。
私個人が受けたのは身体への直接的な侵襲行為がないハラスメントでしたし、簡単に今回のSoarの件での被害者の方の気持ちがわかるとは決して言えませんが、被害者の方が感じ続けてきた大変さの片鱗をほんの少しだけですが身をもって経験しました。
その経験を通して、ご自身の生活を守りながらも証拠を集めて係争・示談等にのぞまれた本件の被害者の方々を、改めて尊敬しました。もちろん係争するのがいいということではなく、ご自身のケアや精神的安定を優先された方も含め、被害者の方々のそれぞれの選択に敬意を感じています。どちらの選択も、強くなければできないことではないかと感じました。
被害者の方たちにとって少しでも納得の行く形で決着がつき、自分の人生を、自分の好きなこと・好きな人との会話や生活に使えるようになることを、願ってやみません(願うことしかできないのはあまりに悲しいので、性被害を受けた方の置かれる状況に対して何かできることがないか、時間がかかっても探していきたいとも思っています)。
今もまだ被害の申告が難しい方がいらっしゃると思いますし、数年経ってからふとしたことで思い返すこともあるかもしれません。
カンパ金は配分しきったため金銭的なご支援は難しくなってしまいましたが、もし話を聞いてほしいということや、使える支援・福祉制度・相談先など知りたいということがあれば、いつでもご連絡をいただければと思います。
2022年12月20日 たむらまな