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第16週目 / 東京一極集中は何が問題なのか? / コミュニケーションの進化が地方創生を加速する /(20/09/20-09/27)

こんにちは。週末は美人画画家の個展(銀座、五反田)へ行きました。

繊細な絵に顔を近づけて鑑賞すると、パソコンの画面上では伝わらない質感を感じることができますね。美しい絵を見ると心地よい気持ちになるので、これからもふらりと個展へ行きたいと思います。

それでは今週もよろしくお願いします。

★★


菅総理大臣が注力をする領域に地方創生がある。

総務省が公開する資料をから、自治体は以下の問題を持つことがわかる。

【都市部】
大都市の過密・混雑、地方都市のスポンジ化(空き家、空き地)、地域コミュニティの弱体化・機能不全

【過疎地域の問題】
人口流出、経済・社会の持続性の低下 (移住・交流の停滞、魅力ある雇用先の減少、観光客・住民の移動困難、発災時における住民所在確認の困難 )

【共通の問題】
人手不足:医療(特に過疎地域)・介護従事者・教員 、公共施設の過不足、整備・更新コスト、観光客の動態把握の困難(観光ルート等)

■地域・地方の現状と課題 / 総務省 / 富士総研
https://www.soumu.go.jp/main_content/000629037.pdf
■2040年頃までに想定される 各行政分野の課題等について / 総務省
https://www.soumu.go.jp/main_content/000567449.pdf

解決が難しい理由は、問題ごとに光と影を抱えていることがある。例えば、東京一極集中は、自然災害の発生時は膨大な建物被害と人的被害が起こると言われる。一方で、生活や仕事面では、人口が集中しているほうが効率的な行動ができる。また、東京への人口の集中は、地方との経済格差の主因と言われるが、日本経済を支えているのは東京である限りは、単純には非難することはできない。

■戦略的政策課題 「東京一極集中リスクとその対応」 について / 内閣官房国土強靱化推進室
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/resilience/dai50/siryo3-1.pdf
■都市集中のメカニズムと地方創生の問題点 / 土地総合研究 2015年夏号
http://www.lij.jp/html/jli/jli_2015/2015summer_p113.pdf

都市の強みは、高度な知識を持った人と人とのコミュニケーションが数多く行われた結果、多様な産業を創り出され、多くの雇用を生み出しやすい環境をあることだ。言い方を変えれば、地方へ人を呼び込むには、教育レベルの高い労働力と活力あるイノベーション産業(労働集約型ではない、参入障壁が高い差別化された産業)が重要となる。

しかし、地方は労働集約産業が増え続けている。このままでは、産業の差別化は生まれにく、グローバル化による価格競争により、さらなる都市部との賃金格差が生まれる可能性が高い。

■知識・情報集約型サービス業の立地と生産性 /経済産業研究所
https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/15j050.pdf

事業所・企業のミクロデータを用いた本稿の分析結果によれば、これらサービス事業所・ 企業が立地する市区町村の雇用密度が2倍だと平均的には労働生産性が数%高いという関係があり、製造業に比べて大きな都市密度の経済性が観察される。ただし、業種によってその大きさにはかなりの違いがあり、映像情報制作・配給業、出版業、デザイン業、広告業といった知識・情報(コンテンツ)を創り出すタイプのサービス業種で顕著な都市密度の経済性が観察される一方、ソフトウェア業、情報処理・提供サービス業、機械設計業、 機械修理業等は都市密度の違いによる生産性の差が比較的小さい。

最近は新型コロナウイルスの影響で、密度が高い都市部の魅力は薄れており、地方へ移住する人も目立ち始めている。感染症問題が長期化すれば、対面でのコミュニケーションも減っていく。

では、非対面コミュニケーションが主流の社会では、イノベーションは起きにくいかといえば、そうではないと思う。オンラインの会議ツールは今後も進化を続けるだろう。
特にセレンディピティ(偶然の交流)を発生させる仕組みが生み出されるなら、オンラインとオフラインのコミュニケーションの違いは更に縮小される。

そして何よりも、人間は環境に応じて進化する生き物である。対面での交流がなくとも社会を前進させる(新しい産業を生み出す)術を身につけていくに違いない。

コミュニケーションツールの進化により、就職ために上京する必要がなくなれば、地方は優秀な人材を東京で流出させることを防ぐことができるかもしれない。地方での都市の知識や経験を学ぶことができる環境は、地方での起業を増やし、新たな産業が生まれるきっかけとなるのではないだろうか。

※ちなみに弊社本社は東京ですが、地方のリモートメンバー(正社員)が30%程度です。Slackで音声とテキストのコミュニケーションをうまく使い分けながら、自社サービスの開発をしています。

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今週も読んでいただきありがとうございました。
それでは来週もよろしくお願いいたします。

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