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UIデザインの学び方は、人・システム・繋ぎ方の3つを知ること

2021年4月頃に執筆した記事に、加筆・修正を加えたものです。

6、7年くらい前に、美の構成学という本を読んだ。タイトルの通り「美しさを構成するのは何か」を要素分解し、体系的に示すことを試みた一冊であり、大いに影響を受けた。

他の学問と同様に、UIデザインを理解する上でも、構成要素の把握が重要である。そのプロセスこそが、ツールの使い方といった小手先のテクニックではない、本質への理解に繋がる道なのではないか。そこで、UIデザインの構成要素と、学び方を自分なりに考えてみた。

まず、UIデザインの定義をおさらいする。一言で表すと「人とシステムを繋げる」行為である。この定義は、わたしが勝手にそう思っているだけなので、辞書的な定義は適宜参照してほしい。

さて、Userという言葉は、ITの文脈では、システムの利用者を指す。Interfaceという言葉には、inter(内面)とface(外面)という対極にある単語が含まれており、境界という意味合いを持つ。

この2つの言葉を合わせた User Interface とは、人とシステムの境界を表しており、UIデザインはその境界の設計に他ならない。ちなみに、User という言葉を抜いて Interface Design とした場合、広義な意味合いとなり、例えば A と B のインタフェースデザインという使い方ができる。

ここから本題に入るが、先に述べた定義と照らし合わせると、以下の要素に分解することができる。

  • システム

  • 人とシステムの繋げ方

つまり「人とシステムを繋げる」のであれば、人とシステムという2つの特性と、それらを結びつける方法を理解すればよい。

昨今では、UXデザインやサービスデザインの文脈で、ユーザーインタビューやペルソナ、カスタマージャーニー等、人を知る方法が普及してきた。

人とシステムを繋げるためには、当たり前だが、その人(ユーザー)について理解していなければ難しい。個人にフォーカスするのはもちろん、所属する組織や地域、社会的背景も含め総合的に知ることが重要だ。

だからこそ、一見するとデザインとは別分野である、脳科学、社会学、認知心理学といった複数の分野からも、UIデザインに重要な示唆を得られる。

まずはユーザーインタビューなど、教科書的に手法を実践することで個人への理解を深め、そこから深めていくと分かりやすい。人の認知特性。社会的背景が個人に与える影響。組織論。これらについては、既に多くの名著・古典がビジネス書として出版されており、見つけるのは難しくないだろう。

システム

先に述べたように、人への理解は随分と重要視されるようになった。しかし、もう一方の片翼であるシステムの方は、デザインの文脈では別分野の話とみなされやすい。

ソフトウェアエンジニアは、高度な専門性を必要とする職業であるが、オーソドックスなキャリアを歩んできたデザイナーは、システムを体型的に学ぶ機会を持たない。これは業界や教育の構造がもたらした結果と見ることもできる。

ところで、定期的に「デザイナーもコードを書けるべきか」と話題に上がるが、それも視野の狭い議論でしかない。要するに、デザインしようとしている対象が、どのような仕組みで成り立っているのか。それをどこまで知っておくべきなのか、という程度問題の話なのだ。(だからこそ、絶対的な正解がなく線引きが難しいため、議論にもなりやすい)

例えるなら、グラフィックデザイナーが、印刷の仕組みや紙の特性について、全く知らなくてもいいのか?という話と本質的には同じである。よって、システムを知ることは、UIデザインの学びと完全に地続きである。

人とシステムの繋げ方

UIデザインの学び方を調べると、Sketch や Figma の使い方を覚えましょう。配色やタイポグラフィの本を読みましょう。とよく言われる。

結果的にアプローチとして間違っていないが、もっと全体感を把握した上で臨みたい。なぜ上記を学ぶ必要があるかといえば、それは人とシステムの対話方式として、今はGUIが最もメジャーだからだ。

視覚要素が大きなウェイトを占めるからこそ、配色やタイポグラフィ、レイアウトといったビジュアルデザインの専門性を活かせる。そして、それらを表現する手段として、Sketch や Figma があるのだ。こうして全体感から捉えた方が、何のために、何を学んでいるのか納得できる。

そして「今はGUIが最もメジャーだから」ということは、それらを学ぶことさえ、普遍的な原則ではないと分かる。もし VUI(Siri等、声を用いた対話方式)がメインになれば、Figmaとは全く別の手段でデザインするだろう。

あるいは、スマートフォンが廃れ、ARグラスが取って変われば、その場合も同様だ。平面を扱うデザインツールでは、3次元空間の体験をデザインするのは難しい。だからこそ、UIデザインを学ぶのは、ツールの使い方を学ぶこと。という表面的な理解だけでは、本質を見失ってしまうのだ。

余談ではあるが、SFやファンタジーといった創作物に触れることは、現状に囚われず、人とシステムの対話方式について多くのインスピレーションを与えてくれるので、おすすめしておきたい。

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tamu
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