ぶっちゃけチュートリアルワールドかなり不便じゃない?
はい、たましこです。
突然ですが、Japan streetというワールドにかなり分かりやすい操作説明が設置されているのを知っていますか?
今まで、「チュートリアルワールドめっちゃ分かりやすいよ!」という意見が多かったと思います。しかし、それは他の競合ワールドが存在しないからという理由もありました。対戦相手のいないトーナメントは不戦勝の一位です。
実際のところ、かなり分かりにくい作りにしています。不便です。それでも「分かりやすい」と言われる理由はあります。
前半は余談みたいなものだからスルーしていいよ
結論
操作を学ぶ場でもあるが、それ以上にVRのコミュニケーションを学ぶ場だと捉えています。それを意識することなく学習して欲しいので、あえて不便な作りになっています。
チュートリアルワールド自体の経緯
具体的には覚えていませんが、2018年の5月頃位に初めてVRChatの初心者講習会をした記憶があります。当時はむぎばにら氏が企画し、様々なゲストを呼びました。懐かしいね。
1619Hzというワールドに初心者を集めて、基本的な操作方法を口頭で説明した後に、ゲストの紹介を挟みつつ「さあ初心者同士で交流しましょう!」という流れでした。
当然ですが、「さあ交流しましょう!」と突然言われても正直困ります。何を話せばいいのか分からない、誰と話せばいいのか分からない、そもそもTPOとかあるのか?等々、分からないことだらけです。ゲストの人と交流しましょう!と言われても、その人を知らなければただの人です。ゲストについてはよく悩んでいた気がします。
このイベント自体は数回に渡って開催され、その度に反省点を発見しました。良いことです。思えば、この頃からずっと初心者案内をしていた記憶があります。
時は流れ11月22日、初心者案内のイベントが無くなった頃、「最近やってねえな?」という理由で初心者ツアーのイベントを行いました。口頭でやるのはクソだという知見を持っていたので、自前でワールドを用意しました。これがチュートリアルワールドの前身です。探したらこの辺みたいですね
口頭だけで説明するのはクソだ、なら写真を先に貼っときゃいいじゃないの。ついでにテキストも書こっか。
そんな位の気持ちでワールドは出来ました。
初心者ツアー
チュートリアルワールドはそもそも「一人で見て回る」作りをしていません。人がどう動くかなんて考えてもいませんでした。当然です。私が教えて回るだけのワールドなので、私が把握してればよかったのです。
そんなかんなで、ワールド自体は完成し、初心者ツアーも30人くらい集まりました。驚きです。スタッフ含め3人位で30人を相手にするとは思ってもいませんでした。しかし、ワールド自体は私にとって使いやすい作りであり、そこがかなり役に立ちました。つつがなくツアーは完了しました。
その後の雑談タイム含め三時間半位遊んでいました。一年半以上前のことですが、よく覚えています。
しかし、悩ましかったのは定着率です。完全に余談ですが、ツアーに参加した30人の内10人についてはその後姿を見ることはありませんでした。入口だけ見て帰るという状態ですね。
やるやらないは人の自由です。定着しなかった人はこのゲームに惹かれるものがなかったんだなと考えています。少し面白い話としては、ツアーに参加していたデスクトップ無言の人は8人居ましたが、全員が「入口だけ見て帰る部」になりました。
たましこは基本デスクトップ無言勢に厳しいです。こういったツアーを二年間やって、そのあまりにも低い定着率を目の当たりにしているからです。「デスクトップ無言でも楽しんでいる人はいるよ!さあやろう!」という人はちょっと考え直して欲しいなとそれっぽいのを見る度に思います。
「○○さんとか××さんとか楽しんでる!」そりゃそうですよ。楽しめなかった人はそもそもあなたと会うことなんてないんですから。
パブリック化
ツアーの後、よくこんな問い合わせが来るようになりました。
「たましこさん、○○時くらいに友達案内するからあのワールド貸して!」
特に断る理由もないので承諾していました。あなたが案内するなら別に私がいる必要もないしいっかといった感じです。改めて考えると、Public化する前から案内人は存在していましたね。
また、案内人から「ここなんか日本語変」とか「写真が見辛いかも」といった指摘を受けることも増え、その度に修正を重ねてきました。
次第に「ここPublic化せえへんの?」という声が大きくなりました。実際、私が何も言わなくとも(案内人が)初見で使える位にはワールドも進化していました。特に損しないしいっか~といった感じでしたね。
ただ、Public化する際に色々気を遣ったのを覚えています。
権利関係にうるさい人は何にでもいちゃもんを付けに来るので、完全自作のアバターを使ってる人、貼られている写真の撮影ワールドも全部自分で作ったモノに差し替えました。写っている人が全員ボクセルアバターなのは私の人脈です。
そんな感じでPublicになりました。
はい、自分語り終わり。
修得・習得・会得
車の教習所でこの言葉を学ぶ人は多いかもしれないです。
教えて貰い、思い出しながら出来るのが修得、思い出しながら一人で出来るのが習得、何も意識しなくても出来るようになるのが会得だと解釈しています。
操作方法などは修得するものだと思っています。最初は案内人の人から教えて貰いながら操作を一つ一つ理解し、修得します。その後VRChatをやり進める内に慣れると、何も意識しなくても操作が出来る様になります。会得ですね。
では会話はどうでしょうか。個人によって色々な話し方があると思います。それを特定の話し方に統一するようにするのはとてもいけないことです。つまり、修得させることなく会得してもらう必要があります。
じゃあどこでそれを会得すればいいのか?という答えがチュートリアルワールドの案内文化ですね。
何を学ぶ場なのか
あのワールドを「機能を学ぶ場」としてしか見ていないのならただの不便なワールドです。それこそWebサイトとか見た方が早いと思います。
一年半もあのワールドで初心者を案内していると、自ずと気付く物もあります。「機能」を解説するだけではダメなのです。いや、それでいいんですけど、「機能の解説」をすることで初心者の人が会得出来るのは操作方法だけではありません。
「指差した方向を見る」「人が移動したら付いていく」「知らない人に挨拶する」「会話のキャッチボール」等々、機能以外の面に置いて(初心者の人にとって)このゲームは難しいことだらけです。慣れてくると忘れがちですが、これらの事が当たり前に出来る人は少数派です。 そもそも、指差したことにすら気付きませんからね。
チュートリアルワールドを案内する人なら分かると思いますが、「指差した場所を見てもらう」「付いてきてもらう」といった動作は最初はあまり出来ない場合が多いです。ですが、案内の最後の方になるとある程度操作に慣れ、指差した場所をスッと見てもらえるようになります。
あのワールドでやたらと歩かされたり、案内の画像がやたらとでかいの理由はそこにあります。ワールドに指し棒やポインターがないのはわざとです。自前で用意してくる分には構いませんが、ワールドの方針としてはなしです。
間違っていい環境
「失礼なことを言ってしまうんじゃないか」「始めたばかりの私が気軽に話しかけて良いのか」といった不安を抱えている人は少なくないです。そもそも、何をすればいいのか分かりませんからね。
「ミスしてはいけない」という考え方に囚われている人は大勢います。ミスする位ならしない、やらなければミスしないという保身に走る気持ちは分かります。そんな状態の人に対して「ミスを恐れるな!」と言うのは無意味です。ミス=失敗の思考から抜け出せていませんしね。ミスをすることに恐れるのではなく、ミスした結果を恐れているのです。私は、ミスをして当然という雰囲気が大切だと思います。
ミスを責める現場はクソです。しかし残念ながら、少し失礼なことを言われた位で顔真っ赤にしてツイートする人も世の中にいます。最初くらい、安心してミスしたいじゃないですか?
気軽に話しかけられる人、或いは話しかけてくれる人が最初は必要なのです。そんな中、最近は白ネームの日本人ユーザを構う優しい人が増えているのはとても良いことです。
チュートリアル中は安心してミス出来る時間です。現実とは少し違うコミュニケーションに少しでも慣れて欲しいなと思っています。
目標にしている人
突然ですが、私には目標にしている人がいます。
大学四年生の時、就職活動の一環として「プレゼンテーション能力を鍛える」といった内容の講演会に参加しました。そこで講師をしていたMicrosoft社日本センター長の澤 円氏の演説は凄かったです。全部忘れましたが。
話の内容よりも、プレゼン能力の高さに感動してました。まあ当然と言えば当然なのですが、トップクラスの演説力を実際に目の当たりにするとやはりクるものがあります。あの人に負けない位のプレゼン能力が欲しいなと、その時に思いました。
講演の後、澤氏の本を記念に頂きました。なんでか覚えてないけどサイン貰いました。
本を読むと、「あぁこれはなんか分かるなぁ」と共感できる内容が多くありました。チュートリアルワールドにもそのノウハウは活かされています。
余談ですが、就職活動で何かの役に立ったかと言われると、何の役にも立ちませんでしたね。
チュートリアルワールドの不便ポイント
ようやく?本題です。ここ改善して欲しいと言う問い合わせが多い箇所とそのアンサーを並べます。
●画像とか加工した方が分かりやすくない?脇の説明が画面の何処か分かり辛い!
これはセッティング画面の話ですね。確かに矢印を引いたり、英語の上に日本語書いたりしたら分かりやすそうな気もします。
これは経験則なのですが、「特定の機能が何処にあるのか」を探すプレイヤーが多いです。完全新規の人は案内人が付き添うことが多いのでここでは考えません。
例えば、「Vキー押さないと喋れないの不便、トグル形式に出来ないの?」という考えが生まれたとしましょう。多分このnoteを読んでいる人なら「toggle voiceにチェックやな」と分かりますね。
ご存知の通り、セッティング画面は密集しています。画面内から直接説明を探すのは至極面倒です。画像は無加工の方が見やすいです。
「両脇の日本語からそれっぽいのを探す→項目の名前が分かったらそれが何処か真ん中のクソデカパネルから探す→見つけたら、手元のメニューから実際に操作する」という流れが想定されています。いや、実際に行われています。
大切なのは、「まず何処を見れば良いのか」に気付くことです。多少曲がっていても、道があればその上を歩けます。何もない野原より100倍良いです。
また、説明と画像を折れ線で紐付けるのもアイディアですね。しかし、案内人が案内している場合、初心者の人にとっては只の視界ノイズになってしまいます。
これは先程の本から学んだことです。プレゼン話者がこれから話そうとしていることを先に読んでしまうと、とても退屈なプレゼンになってしまいます。教科書を先に読み進めてしまい、授業がとても退屈になる経験は誰しも少なからずあると思います。
「案内中は画像を見て案内を聞く」「案内とかではなく分からないことがあったときに何処から探せばいいか一目で分かる」この二つを両立させる上で、現状のチュートリアルワールドは自分の出し得る最適解だと思っています。
●ポインタとかあったら分かりやすいと思う!どう!?
分かりやすそうですね。でも置きません。そこまで分かりやすくすると、その後の難しさについていけないです。最初に失敗できるうちに難しい動作を会得して欲しいです。
仮想空間において、話し手の手元に注目し、指差す方角を見るという動作は現実以上に大切なものになります。色んなものを見る事が多いですからね。もちろん、顔を見て話すことも大事です。
●案内人いる?一人で回ったらよくね?
それは君がこのゲームに慣れてるから言えるんだよ。多分。あるいは英語が読めるならそう思っても仕方がない。
分かりやすさ
ここで冒頭の話です。「分かりやすい」とよく言われます。という話です。
そんなに長々と書くことではないので簡単に書くと、「気兼ねなく会話できる環境がある故に分かりやすい」というのが大きいんですかね?多分この分かりやすいは操作方法についてではなくVRChatとはどういったものなのかという理解がしやすいという意味なのだと考えています。なので、会話の機会を奪うようなことはしたくなく、故に案内はちょっぴり不便に作ってあります。
終わりに
色々書きましたが、つまるところ「案内人は聖人」です。どのような思惑があろうともしない人がどうのこうの言う権利はありません。崇めてください。おしり。
たましこ