7年周期で考えるデジタルの過去と未来、これからの働き方と定年制で思うこと。
7年周期で考えると過去も未来も腹落ちした。
1993-2000年「インターネット黎明期」
インターネットがこの世に登場したのが1993年。
TAMの創業は1992年だったので、94年のネットスケープブラウザが登場したり(最初Mozillaという名前だった)、Windows95が発表されたりしたことを「なんじゃこりゃ!?」と思いながら見ていました。
96年ごろになって「キミのところ、ホームページって出来るの?」と当時お客さんだった小さな警備会社の社長さんに言われて、「もちろん、出来ますよ!!」とか大口を叩いて帰ってきて、当時のスタッフといっしょに作ったのが初体験でした(最初は感動ものでした)。
その後、いろいろクライアントのウェブサイト制作に注力していきました。
大きな過渡期だったと思います。あっち行こうか、こっち行こうかと、あれこれ試行錯誤していたまさに黎明期だったと言える時期でした。
今思えば、一生懸命やってセレンディピティに出会うことが戦略みたいな時期だったのだと思います。
2000-2007「ホームページ全盛期」
日本ではなぜか「Webサイト」とは言わず、「ホームページ」という呼び方になりましたが、TAMでも2000年ごろから大型ECのベルメゾンネットや、P&G社の各ブランドのキャンペーンといった大手企業との直の取り組みが次々と始まっていきました。
2007年くらいまでこの勢いはずっと続いて、特に何もしなくても毎日問合せをもらっていたという、まさに「セリングを不要にする」ようなマーケティングの定義を実現しているような時期でした。
ただ開発も制作もキャパシティが足りなくて、泣く泣くお断りしなければならないという時期が続いていたという、まさに業界の成長期だったと思います。
2007-2014「モバイルファースト」
2007年にiPhoneが登場してからは、レスポンシブウェブデザイン(端末のブラウザ画面幅に合わせてレイアウトが自動で変わる)が普及していく過程で、多くのスマホサイトやモバイルアプリを作りました。
PCファーストからモバイルファーストへの移行が起こったので、この時期も2度目の成長期を迎えていたのだと思います。
2014-2021「データ時代のはじまり」「SMACS」
2014年は完全にWebサイトがコモディティ化した年だったと後から考えるとそう思います。
それまで続いていた制作・開発系の新規問合せがパタッと止まったのもこの時期でした。
生活者にスマートフォンが行き渡り、事業会社もWebサイトやモバイルサイトを持っていることがごく普通のことになり、ユーザー側も「SMACS」の通り、ソーシャルで、モバイルで、IoTで、クラウドで、セキュアな環境やインフラがどんどん当たり前のことになっていきました。
そこに人工知能研究の圧倒的な飛躍があり、「データからユーザー行動を予見する(UX)」(Prediction・予測)が可能になりました。
それでタッチポイントごとのUXの変化がビジネスモデルを変えつつあり、IoT(AI+5G)/自動運転+ブロックチェーンインフラなども進化しているのが2019年の現在です。
広告ビジネスはリーマン後の2011年ごろに生まれたRTB(リアルタイムビッディング)技術が進化を続け、広告の枠売りではなく、人ベースで入札していく高度な技術へ変わっていきました。
現在では個人情報の扱いもますます厳しくなりましたが、その中でCRMも広告も、よりパーソナルなレコメンドを行うことを目指して、ユーザーデータの活用にあの手この手の技術開発が日々行われているのが現在です。
まさに「データの戦い」が始まったのですが、この流れがAIの進化もあって、これから2035年くらいまで続いていくのだと予測しています。(その頃は想像できないようなブレードランナーみたいな世界に近づくのかもしれませんが、楽観的に楽しんでいきたいと考えています。)
2021-2028「リアルビジネスのデジタル化」
この数年、どこでも「デジタルトランスフォーメーション」という言葉を聞くようになりましたが、その本質は簡単に言うと、
「スマホ化(デジタル化)したユーザーに合わせて、製品もサービスも作り変える」ということです。
社内にRPA用のデジタルツールを導入して業務を効率化するとか、ユーザーのメールアドレスを集めてメルマガ配信するとか、マーケティングオートメーションツールを入れるとか、テレビ会議システムを導入するとか、そういう単体の施策のことではなく、ユーザーのタッチポイントが変わってしまったのだから、それに合わせて、最適なユーザー体験を届けなければ自社を選んでもらえなくなる、という企業の世代交代をもたらす一大変化、と言えると思います。
新しい会社やスタートアップが有利だったり、イノベーションや新しい事業へ投資熱が半端ないのは、体質の古い会社がこの変化に付いていけず世代交代をもたらすことを表しているのだと思います。
現場にこそマーケティング思考とテクノロジーが必要になっている。
日本の会社は売れる仕組みをつくるマーケティングプランが、経営戦略室やマーケティング部から現場へ連携されるのですが、現場と切り離されている感があります。
これは外資系と日本の会社の大きな違いでもあるとずっと思ってきました。
これからの時期は現場でこそマーケティング思考+テクノロジーが必要になり、ベーシックな3CやSTPをもとにポジショニングとターゲティングを試行錯誤していく必要があると思っています。
● 誰に買ってもらうのか
● 誰と競合するのか
● 競合優位性は何か(選んでもらう理由は何か)
● それらを実現するテクノロジーは何か
と言う普遍的だけど、実は大変難しい、元になる基本戦略がますます重要になってきていると思います。
ユーザーのタッチポイントがバラバラに多様化してしまったので、お客さまに選んでもらうには、それぞれの現場発信で、それぞれの接点でテクノロジーを駆使する売れる仕組みを試行錯誤して作り出していかないといけないからなのでしょうね。
今は再び、新しい波の「黎明期」にあたる。
2021年からの成長期に向けて、今は再び黎明期にあたると考えています。
この時期は、あっち行こうか、こっち行こうか、皆が右往左往している時期なので、R&D的な試行錯誤の活動がとても大事になっていると思っています。
世の中は、働き方改革や効率化や生産性を上げるとか時間短縮とか言ってますが、ボクはこの時期こそ真逆だと考えています。
企業も個人も自ら道を引いていくことが大事な時期なので、いろんな知識・情報のインプットとアウトプットを繰り返すべき時期で、成長期のようにやることを決めてできるだけ効率的に皆で同じことをする時期ではなく、試行錯誤やR&D的なことが大事な時期なんだと思います。
TAMでも2015年頃から試行錯誤を繰り返しながら改革を進めて概ね完成に近づいているので、後は2021年以降の成長軌道に再度乗るだけなので、もう大丈夫だと確信しています。(100%株主の会社なので、どこか大手の傘下にも入るとか志向せず、圧倒的な自由を維持して「生きる力を鍛える場」を次の20年も発展させていく強い意志を持っています。)
この4-5年はかなりヘビーでハードな時期でしたが、もう山は乗り越えたので、もうすでに楽観的に「何でもドンと来なはれ!」と構えています。ツライ時期を乗り越えるのもそれなりに面白かったです。
どうぞ何なりご相談ください!!
「働き方」は欧米型に徐々に近づいていくしかない。
良いとか悪いの問題ではありませんが、日本的な働き方は素晴らしいところがいっぱいで、特に日本人の頭と心とDNAに刻み込まれた日本だけガラパゴスだけれど「定年制」という制度は、会社への忠誠心を高め、家族的な繋がりを強め、自分の役割を超えて会社を良くしようとする素晴らしいシステムであり、日本的住宅ローンの拠り所でもあると思います。
ただそれが、1990年以降、長年市場が成熟してしまったことと、インターネットの成長のせいで、この素晴らしい制度が崩れかけようとしているのが今の現状だと思います。
情報格差のとても小さい
個人フォーカスなインターネット時代に
日本の労働システムは圧倒的不利
なことは上の比較表を見ても間違いありません。
だから今の若い人たちは、特定の会社でいろいろなポストを経験して、その会社で通用するスキルをいくら高めても不安でたまらないわけですね。
それで、個人のスキルを身に付けなければならないと今必死で模索されてるのだと思います。
特に企業内で業務が歯車化されると、成長期には効率的で良かったものが、個人スキルがフォーカスされる今は、歯車化することが個人の成長を停滞させるので、その結果、企業の成長に歯止めをかけてしまうことになります。
組織を安易に大きくしてスケールを目指すことが命取りになる時代になっているのだと思います。
「欲求の変化」が始まり、個人の成長欲求がメインになりつつある。
特定の会社で評価されることの意義がどんどん薄れているので、「評価される」という承認欲求から、個人が成長できる「成長欲求」へ欲求の変化が起こっていることも必然の流れです。
会社に入って働くことの意味が、出世とか、評価されるとか、いう昔ながらの価値はどんどん薄れていき、
仕事する意味が、
● この会社で成長できるか!?
●この会社や仕事が好きか!?
のどちらかになってきているは、最近の若い人と仕事していても、実体験として痛感しています。
「定年制」を志向することが皮肉にも1番リスキーなことになる。
日本的な働き方や定年制という制度は素晴らしいものであり、一朝一夕に変えられるものでも有り得ないと思われます。
急にそのような制度がなくなれば、ローンの与信の評価制度も変わるでしょうし、何より、雇用環境の大変化が起こり、人材流動性は高くなるのでしょうが、日本の産業は崩壊してしまうのではないかと言うほどのインパクトを持っていると思います。
ただ、インターネットのせいで、世界の情報はとんでもなく身近になり、外国人と一緒に働く機会も多くなり、何より仕事で使うツールはMacかWindowsで、Gmailで、Slackで、GoogleMeetで、Amazonで買い物をして、iPhoneかAndroidを24時間手元において、ほとんどがアメリカ製になり、世界中が同じようなデジタルツールを使って、みんなが同じような働き方をしているのだから、日本の働き方もグローバルに徐々に近づいていくのはもはや不可避なことなんだと思います。
そのグローバルの中で競争していかなければならないのだから当然といえば当然です。
定年制などは今すぐに変わることはありませんが、これから20年-30年という時間をかけて徐々に変わっていく大変化がすでに始まったのだと思います。
日本人は「定年」を志向する働き方が、もっとも安定だと思って歩んできたにもかかわらず、それが1番リスキーになってきている、というとても皮肉なことがこれからどんどん増えていくのだと思います。
● 今から20年30年ずっと自分を守り続けてくれる会社など無い、と考えて仕事するくらいがちょうどいい。
●「働き方改革」は尊重するが、惑わされない。
● 会社と個人のWin・Winな関係を継続する努力を怠らない。
● いつでも転職、いつでもフリー、になれるような「自信」と「生きる力」を付けられる会社がやっぱり良い。
そんなことを考えています。
ちょっとネガティブなことを書いてしまった気もしますが、
ボクはとても前向きでポジティブで楽観的に未来を捉えています。
未来のことを肌感として実感できてくると、恐れがなくなってくるので、「こうしよう!」「ああしよう!」とかスキルを掛け合わせて生きていくことを考えられるからなのかもしれません。
これからの未来を担っていく若い人たちが、「自分の強みに気付いて」未来を先取りして力強くポジティブに、そして面白く生きていけるよう、ほんの少しでも役に立っていきたいと思っています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?