ふ〜らりパトロール(思い出話な私小説)
私の住む地方には、駐在所というものがあるんですね。
日本には交番って仕組みがあるけれどこれには実は2種類(私の認識)あると思っていて、一つは派出所でもう一つが駐在所。(最近は地域防災拠点なんてのもあるから3つかも)
違いは、お巡りさんが勤めに来るのか住んでいるのかって感じかな。駐在所には住宅がセットになってるイメージがあります。
駐在さんは、この街の住人でもあるので、何気にこちらも名前を知っていたりするし、道端で会うとお互いに挨拶したりと…
まだ、そういうのが残っている地域なんだなって改めて感じたんですね。
さて、そんな駐在さんですが、今朝ちょうど前を通り過ぎる時に、ミニパトカー🚓でどこかへ出発のタイミングでした。
ふと、駐在所の方を見ると、大きな字で「パトロール中」のプレートがかかっていました。
地域の見回りでしょうかね。
やや高齢化が進んでいるので結構見廻りは重要なのかもって。
パトロールで思い出すのは…
私には何人か恩師(学校だけでなくてね)がいるんですが、そのうちのおひとりに、風のような先生がいました。
先生と言っても学校ではなくて、旅の先生って感じかな。(もう亡くなられてしまったんだけど)
いっつも、ふ〜らり と風のように色んなところへ旅してしまう先生で、ご一緒に旅をしたこともあるけれど、気がつくと消えていて…
旅先のご家庭の庭先とかで、そこの方にお茶とか入れてもらいながら絵を描いたりしてました。
自然な佇まいがいっつも素敵な先生でした。
この先生の住む街が都心の昔ながらの情緒残る街だったんですね。
そんな街に昭和から残る住宅とそれに併設された寮がありました。
先生は私塾を開いていて、私はそこの塾生だったので、よくその寮も使っていたし、先生のところへ立ち寄ったりもしてたんですが
よく先生は気がつくと消えてしまうんですよね。
で、ちょっとした飲み屋を覗くと、そこの主のように座って飲んでて、
おいで おいで と手招きされて奥に入ると、
まぁま、呑んでいきなさい ってね。
そんな先生に、「いつもフラフラしているんですね」って話しかけたら
「そりゃそうだよ、僕はいつもこの街をパトロールしてるんだから」との答え
確かに、先生はこの街ではちょっとした有名人で、先生が歩いていると、あちこちから挨拶が聞こえてきます。
都心だからこそ、そう言う顔の知れた関係が逆に見られたのかも知れませんね。
と、そんな話も気がつけば平成のお話で、今は令和になってしまいました。
「街というのはね、現実だけでなく仮想な世界にもあるんです」なんてことを先生に話したらどうなるでしょうかね。
「それは、面白そうだ。僕も行ってみようかね」なんてなって、結局は仮想世界でもパトロール始めてtiltblushで知らないワールドでそこの人によくしてもらって絵を描いてそうな気がします。
先生の講義をオンライン配信(当時のUstream)してみたことがあってね、そういう新しいことにも積極的だったから
根っからの絵描きさんでしたので、パトロール中も常にペンは持ち歩いてて、(旅先には絵の具一式ね)どこでも描いましたね。
絵を描くことって優雅なようで、ものすごい観察眼が必要なんですよね。飄々としながらちょっとした変化を見つけた時の先生の鋭い眼光も思い出します。
たまに、怖いなって表情をするんですよね。すぐに元の表情に戻るんですけど。
私も、気持ちよく酔いながら先生に描いてもらった絵を今でも大切にしています。
そう、よく知ってるワールドをふら〜り巡るのはパトロールなのかも知れませんね。(そういや一時、clusterでは運営のドローンアバターがパトロールしてたっけ)
何か事件が起きてないかな?変化はおきていないかな?困っている人はいないかな?って。