トーストマスターズのススメ - 人前で英語が話せるようになるたったひとつの方法
クリック率爆上げを目指してるブログ記事の見出しみたいで、すみません。でもどうしてこのタイトルにしなければならない理由がありましてですね・・・。そう、ほんとにこれこそが英語上達の真実だからなのです。
私は在米23年になりますが、英語に対する苦手意識は相変わらず強いままです。プレゼンをするときはもちろん、大小あらゆる会議で発言するときにも、なんなら日常会話ですら独特の緊迫感が漂います。だから私のポリシーは、人前で話す状況をできるだけ避けること(←なんだそりゃ!)。自分がキーパーソンな会議ではもちろん発言しなければなりませんが、大規模な会議では口をつぐむし、プレゼンもガッツリ頼まれるまでやらない。仕事中の私語は仲のいい内輪だけにとどめて、あまり仲良くない同僚とランチやハッピーアワーなんてありえない。アメリカに来る前は大学を卒業したらペラペラになると固く信じていたのに、ひどい有様です。
でもね、私が定年を無事迎えて日本へ移住できる日までまだけっこうあるわけですよ。そんな長い間コソコソ隠れて暮らすのもやだな〜と思い始め、ようやく重い腰を挙げてトーストマスターズクラブでした。まさかそこに辿り着くまで23年もかかるとは・・・ブツブツ。
トーストマスターズは、パブリックスピーキングとリーダーシップを学ぶための国際的な非営利教育団体です。もともと1924年にアメリカで生まれ、現在では世界141か国で会員数が約35万人もいます。日本でも4000人以上の会員がいるそうですよ。検索してみると日本にもいろいろな場所にクラブ(日本語も英語もある)があって、次の一時帰国の際はぜひどこかのクラブにゲストとしてお邪魔してみたいなぁ。私は職場の近くのクラブに入会しました。
クラブは隔週で例会を催します。1時間半の例会は3部構成:
準備スピーチ(予め準備したスピーチを発表する)
即興スピーチ
すべてのスピーチの論評
ひとつの例会でこれだけやるってことは、毎回いろいろな役割を代わりばんこに担当することになります。
総合司会
準備スピーチのスピーカー(たいてい一度の例会で2、3人)
準備スピーチの論評係
即興スピーチの司会
「えーと」カウンター(スピーチ中の無駄な言葉を注意する人)
タイムキーパー(制限時間を計測する)
などなど、役割も多いし、たまたま役割がなくても即興スピーチで当てられるので、黙って参加するのが難しいくらい。そのくらいの強制力が私みたいなタイプには必要です。
スピーチのテーマは自分が選ぶ学習コースに従って決められています。ダイナミックなリーダーシップ、影響力ある説得、プレゼンテーション熟達、戦略的な人間関係などなど10種類のコースがある中、私が選んだのはMotivational Speech(動機づけ戦略)。概要はこんな感じ。
オバマ元大統領のような人を感動させるようなスピーチができるようになりたいな、と無駄に高い目標を掲げて、これを選んだ次第です。
ここまで書くと、「私には絶対無理〜(怖)」って思うでしょ?私は思いました!でもね、このトーストマスターズの雰囲気ってほんとあったかいんですよ。たどたどしくても一生懸命話す人に対して、みんなこれでもかってくらいの応援の言葉をかけるし、そんなスピーチを全身全霊で聞いてくれて、考え抜かれたいい部分と悪い部分を優しく論評にしてくれます。暖かい声かけがあるから、安心してスピーチに挑戦できる。そしてお返しに他のメンバーのスピーチもしっかり聞いてあげよう、という気持ちになる。ほんといい仕組みだな、と思います。
会費は年に100ドルほどと安いのに、効果はへたな英会話教室よりも全然あると思っています。私も1年ちょっと前に始めた頃は心臓バクバク言いながらなんとも危なっかしいスピーチでしたが、今は抑揚をつけたりアイコンタクトに気をつけたりと、話す以外の部分にも注意を払えるまで成長を遂げました。
こういうスピーチのスキルは仕事でも超絶役に立っています。大きな会議でも発言することが増えたし、たまにプレゼンをするときもなかなか好評。前回のプレゼンはたまたま参加していたディレクターに気に入ってもらい、ディレクター会議に呼ばれてもう一度プレゼンをするという嘘のようなシンデレラストーリー?に恵まれました。私の英語が聞き取りやすくなったというのもあるけれど、スピーチの構成力も上達したからかもしれません。毎回、自分のスピーチの構成を考える上で、TEDトークなどのスピーチを参考にするようになり、世界にはよいスピーチのお手本が揃っていることに気づきました。
そして、今夜は私の準備スピーチの日でした。ホリデーを挟んでしまったので、いまいち練習が足りないかな、とドキドキしましたが、すばらしいフィードバックをいただきました。プロのようなスピーチだ、とまで言われて赤面。英語に対して自信が皆無な私は「緊張で早口になっちゃったな」「いつもよりスクリプトに目が行っちゃったな」とかネガティブなことしか頭に浮かばないのですが、こうやって人に真摯に評価してもらえると、卑屈な精神が少しだけ浮上するものです。
直されるところは細々あるのですが、私が毎回直されるのは単数・複数形の間違いと、それに伴う動詞にSをつけるのを忘れること。頭では分かっていて、書くときはそういう間違いはもうしないのだけど、スピーチとなるとそこに注意を払うと、何度も口ごもっちゃってグダグダになるので、何も考えずに思うがままに話すと基本的に単数・複数形みたいな小さな文法の間違い(←アメリカ人からすると耳障りで気持ち悪いそう)なんてものは無視する形になります(笑)。文法を理解していないわけではないので、こういうのこそ練習を重ねて、深く考えずに正しい文法で話せるようになるのを目指したいものです。
昔はプレゼンがうまいアメリカ人を見て、アメリカ人はもともとスピーチがうまくていいな、って思っていました。でもね、以前そんなスピーチ上手なアメリカ人上司が発表するプレゼンを複数回聞くことがたまたまあったときに、一字一句違わずに話しながらプレゼンをしたことに気づいたのです。どういうことかって?つまりプレゼンが生まれながらにしてうまいと思わせる上司も、内容を暗記するほど練習を繰り返していたということ。学校教育で発表慣れをしたアメリカ人ですら練習を重ねて上達させるプレゼンやスピーチを、私が練習をしないというオプションはない、という結論に達したのも、トーストマスターズに入会したきっかけでした。
今日はスピーチが終わったので(ノンアルビールで)乾杯!次回のスピーチに向けてまた構想を練るぞー。
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