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天使のように大胆に、悪魔のように細心に
これは黒澤明監督の言葉だ。
詳しいことは知らないが、黒澤監督が映画を作るときに大事にしていたことらしい。
僕は会社では横串系の全社プロジェクトのPMをやることが多い。
このときに、この名言が思い出される。
プロジェクトを成功させるためには、天使のように美しいビジョンを掲げる必要がある。
多くの人の心を動かすようなビジョンだ。
一方で、多くの人を巻き込んで戦術を立てたり、実行するには悪魔のような繊細さが重要になる。
根回しは重要だし、冷静な目でプロジェクトメンバーのスキルを見極め、任せる業務を決めることも必要だ。ときに、話を通す人の順番や表現まで変えるのも当たり前にやらないといけない。
ここら辺は当然だが、ステークホルダーが多ければ、不平不満や嫌味を言ってくる人もいる。そのときに全開の笑顔で聞くことも大事だし、ときにこちらに非がなくても全力の謝罪をすることもある。
少し前に「ダークサイドスキル」という言葉が流行った。詳しくは『ダークサイドスキル』を読まれることを。
リーダーには冷酷さと温かさというような両極端のものを自分の中に持つ必要がある。清濁合わせ飲むことが必要なのだ。
清濁合わせ飲むで思い出しのだが、「私はみんなの味方」という顔をしている人が時々いる。僕が思うに、「みんなの味方」というのは「誰の味方でもない」。
既製服は誰の体にもそれなりに合うようにできている。ただ、言い換えれば、誰の体にもピッタリとは合わない。
それと同じで、みんなの味方というのは、誰にでもそれなりに合うようにしているが、実際は誰にも合っていない。むしろ、自分の知らないところで人を傷つけていることもある。
皆んな違う。これまで生きてきた環境も考え方も、これから歩む道も。
それなら、「みんなの味方」という顔をして、保身に走り、知らないところで人を傷つけるのはやめた方が良い。自分の道を歩いた方が良いのだ。