ビールの原材料をつくる「HOP FARMER」を目指しませんか?
岩手県遠野市はビールの原材料である「ホップ」の栽培を続けて、今年で60周年を迎えました。今年は、9月1日に全てのホップの収穫作業が終わりました。
最終日はホップの乾燥センターの前に、農家の皆さんや関係者が集まり、毎年恒例の落成式(打ち上げ)を開催しました。今年の栽培や収穫、そして反省点を振り返りながら、みんなでビール片手に未来のことを語らう時間。
農家の数や栽培面積が減っているという課題はありますが、今年も無事に収穫を終えられた農家の皆さんの笑顔を見ることができたこと、前向きに未来のことを語り合えたこと、そしてこの幸せな空間に自分がいられることが本当に嬉しかったです。
この光景をこの先もずっと見たい。だから私たちは、仲間と共に日本産ホップの再興を目指しているのだ、と改めて強く思うことができました。
遠野ホップ栽培60周年の今年も、様々な取り組みが行われています。
4年ぶりに開催された遠野ホップ収穫祭には、2日間で9000人の参加者が全国から集まりました。収穫時期に遠野にみんなで集い、収穫をお祝いしながらホップとビールと共に楽しい思い出をつくる。その体験が、みんなにとって遠野や遠野のホップが大切な存在になり、栽培を未来につなげる原動力になっていくと信じています。
栽培現場の課題解決も少しずつ進んでいます。2023年6月、遠野市は、ふるさと納税の財源を活用した「日本産ホップ栽培基盤整備強化事業」の実施を決定しました。
長年の課題であった乾燥施設の大規模改修工事が、いよいよ今年から始まります。初年度の工事費は約2400万ですが、このお金は全て、皆様にご支援いただいたふるさと納税等の寄附金を財源としています。多くの応援者によって、今年、日本産ホップを再興し、未来に繋げる大きな一歩が始まります。
栽培現場の課題解決が進み、持続可能な栽培モデルが実現しようとしている今、私たちが最も注力しなければならないのは「新規就農者」の募集です。今年、遠野市では、ホップ栽培に新規就農する方を4名募集しています。
遠野のホップ生産者の数はピーク時から10分の1以上減少し、現在は20名です。そのうち、新規就農者は6名。少しずつ増えてきてはいますが、今回募集の4名を含め、まだまだ増やしていきたいと考えています。
私たちの遠野の取り組みにおける価値の源泉はホップ農家の皆さんです。ホップ農家がいなければ、遠野ホップ収穫祭やビアツーリズムなどのイベントも開催できないですし、遠野産ホップを使用したビールを醸造することはできません。
現在、国内で農業としてホップを栽培している農家は100名ほどまで減っているそうです。このまま行くと日本におけるホップ栽培が途絶えてしまうリスクもあります。
ただ、農業の担い手になりたいと思う人は多くはありません。そして、まだまだ「ホップ」という農作物の認知度も低く、日本でホップ栽培をおこなっていることを知らない人も多いと思っています。
一方、クラフトビールの認知が広がり、ビアフェス等では、ビールのつくり手である「BREWER」が人気で、飲み手が集まっている光景を見ることがあります。新しく醸造所を立ち上げたい、「BREWER」になりたい、という声もよく聞きます。
ホップの生産地で活動する私たちは、ビールの原材料をつくる農家「HOP FARMER」に、もっと光をあて、担い手が増えていく未来を目指したいと考えています。そしていつかは「BREWER」と並ぶような、注目される存在にしたいのです。それは、ビールの大切な原材料を生み出す欠かせない存在だからです。
今年、遠野のホップ農家をブランディングするため、BrewGoodでロゴを制作し、フォトグラファーの土田凌さんにホップ農家の皆さんを撮影していただきました。
撮影していただいた写真はこちらです。
かっこよくて、優しくて、ホップや仲間に愛がある、遠野の「HOP FARMER」の皆さんの素敵な写真です。残り少なくなった日本産ホップの栽培現場を支えてくれています。
ロゴはBrewGoodの上西さんが担当。「HOP FARMER」が今よりもっと注目される未来を想像しながら、デザインをしました。ロゴに込めたBrewGoodの願いや思いはまたどこかで話をしようと思っています。
このロゴと写真は「HOP FARMER」をブランディングしていくための最初の取り組みです。これからも様々な取り組みを通じて「HOP FARMER」という存在を伝え、新規就農者獲得に繋げていきたいと考えています。
私は遠野に移住して8年目ですが、近年の生産現場の雰囲気は本当に良いと感じています。先輩農家が新規就農者に対して惜しみなく技術を伝え、家族のように接し、困ったら助け合い、応援してくれています。ふるさと納税などの寄附金による支援の力が、乾燥施設の改修等で農家の皆さんまで届き、現場では栽培を続けるモチベーションも上がっています。
また、キリンビールの皆さん、行政の皆さん、地域の関係企業の皆さんで連携し、何とか遠野でホップ栽培を続けていこう、栽培量を増やそうという気持ちも強くなっています。
新規就農者へのサポートも強化しています。現在募集している新規就農者は、地域おこし協力隊というポジションでの採用となります。最長3年間は報酬や活動経費をもらいながら栽培研修を行うことができます。また、独立就農に向けては、農家や行政、企業が様々な形でサポートを行います。
もちろん栽培現場にはまだまだ課題はありますが、新規就農者の皆さんとも一緒に解決をしながら、日本産ホップの未来を切り拓いていきたいと思っています。
現場の1人1人の頑張りや、仲間との連携や挑戦が、日本産ホップの未来を変えていくはずだと感じられる環境が遠野にはあります。
改めてですが、私たちは、ビールの原材料をつくる農家「HOP FARMER」に、もっと光をあて、担い手が増えていく未来を目指します。それは日本のビール文化の盛り上げにもきっと繋がるはず。
この記事を読んだ方の中で、1人でも多くの方がビールの原材料をつくる「HOP FARMER」という存在や仕事に興味を持ってもらえると嬉しいです。
また、新規就農が難しい方にとっても、ビールの飲み手の皆さんにとっても、「HOP FARMER」がもっと注目される世界をつくれるように、これからも遠野で頑張っていきたいと思います。引き続き応援をよろしくお願いします!
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2024年4月27日追記
2024年度の次世代ホップ農家の募集がスタートしました。募集要項については下記のページにまとめています。一次募集の締め切りは2024年5月31日(金)23:59です。まずは募集要項を確認の上、仮エントリーをお願いします。※一次募集の締め切りに間に合わない方も、仮エントリーしていただければ次の募集時にご案内させていただきます。
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