純真文案日記 1.9「えべっさん」
雪が降った。
オーストラリアから来た旅行者が「とっても寒いね」と笑った。初雪なんですよ、と答えたかったけど、「its the first snow of this year」とつい口から出て「冬になって最初の雪」が伝えられなかった。
無念、私の英語力。春も夏も秋もその年のものだけど、冬は去年と今年がシェアしてるのだ。「this year」じゃなくて、ただ「winter」と来年は答えたい。
夕方、十日戎に行ってきた。
露天はいつも楽しい。たい焼き、広島焼き、ステーキ串、カステラ、綿菓子、魚丸こど1匹を串刺しにしたお店もある。ケバブもあった!できれば全部立ち止まって、ひとつひとつ味わいたい。そんな豪遊も勇気を出せば今ならできそうなのに、子供の頃の癖か、ポケットの中の小銭を握りしめて慎重にひとつに絞りたい気持ちになる。まだ先があるからもっと良いのが現れるかも。そう思いながら最後まで辿り着いて親に頼んでもう一度引き返すのだ。今日もやっぱり決めきれず、恵比寿さんまでついてしまう。
そういえば、昔は独特なリズムの太い呼び声があちこちの店先から聞こえた気がする。それはもう流行らないのかな。
境内では「商売繁盛笹もってこい」の歌がスピーカーからエンドレスで流れていた。独特なリズムのごろついた男性の声だ。使いまくった喉の炎症の音だ。昔露天から聞こえてきたのはこの声だと思う。活気で溢れてなんだか嬉しくなる。
お参りをして、福笹をもらって、露天をもう一度通って、子供達のお土産を見繕う。どんぐり飴と大分の唐揚げ。それから大判焼きも。少し豪遊。
帰り道の四条大橋の上でも「商売繁盛笹もってこい」とごろついた声が流れていた。その向こうに赤い門の八坂神社も見えた。何度も今年も良い年にと願う。
福笹は玄関に。豪遊はあっという間に子供達の胃へとおさまった。
明日は設営だ。
どちらも楽しんでもらえますように。
たみお