脱民族が、人類の理想

　日本語だけがもはや日本人が使用する言語じゃないというのは、本当だろう。もしも日本という国家が本当の多民族国家になるなら、国語という言葉は適切でなくなるかも知れない。

私みたいにずっと日本語が母国語だと、国語＝日本語という感覚しか無いけど。日本人という定義を、民族的アイデンティティーは一切関係なく日本国籍を取得したものと考えるなら（当然そうであるべきだろう？）、もはや国語＝日本語は成立しなくなるかもしれない。

というわけで、結局私がいつも、ありとあらゆる国籍問題、あるいは人種問題について考えた時、その答えとして思い描く世界は、日本だけでなく、地球上のすべての土地においての、脱民族化が進んだ世界を理想としているのだと思う。

そんな風に、脱人種、脱民族を主張する私が、同時に主張しなければいけないと思うのは、それは決して日本だけが他国の現状を考慮せず、進めるべきではないということだ。それを決めるのは結局は今、この国にいる日本国籍を持った日本人たちである。よそから無理やり私のような、脱人種、脱民族主義者や、あるいは古来からの日本民族以外の、他民族かつ自己の民族性には過剰なまでにこだわる人たちをどんどん移住させ、彼等の民族性を日本に定着させ、さらなる民族問題、民族間対立を引き起こしたいとは、絶対に思わない。

アジアという地域だけ見ても、どの国でも、民族主義、国家主義はむしろ強化されていると感じる。その中で、国土も狭く資源の少ない日本だけが、脱民族主義もしくは、多民族主義なんて、現実問題として残念ながら不可能だろう。

それを「大丈夫だ、そんなわけない」と、根拠が述べられないまま、人道主義だけに基づいて、多民族国家化を強引に推し進めるなら、それは横暴だし、暴力の伴う新たな悲劇と分断を、日本という島国に持ち込むだけだ。