捏造文書と断定ができない理由
高市氏と安倍氏の電話がいつあったのか、電話の日付けがない理由は簡単である。説明した人が、正確な日時を、高市氏もしくは、安倍氏本人から聞いていない、もしくは伝えていない。それだけの話である。説明を受けた総務省側は、する側がおぼえていないなら、いつ電話したかの正確な日付けなどわかるはずがない。そもそも嘘を言われるなんて思ってもいないだろう。
「総理のご意向」として「伝えられた内容」を記録したのが、電話会談についての内部文書。だからこそ総務省側が「連絡を受けた正確な日付け」はしっかり書かれている。
「本当に大臣と総理は電話したんですか? 貴方の言ってることどうも信用出来ないので、ちゃんと電話した日付けを教えてください、本人にも確認したい」なんて、説明を受ける側の総務省の官僚が聞けるわけがない。
この文書からも終始一貫して伝わってくるのは、総務省側は受け身であり、安倍さんの意向どおりに動くしか無いのである。おかしいと思っていても止めさせるには、内閣の他の力、例えば官房長官であったり、他の安倍を思いとどまらせることができる官僚の力を頼るしかないのだが、止めたほうがいいと進言しても、安倍がやれといったら「やるしかない」。どのようなご意向なのか伺い、それを教えてもらえるようお願いできる立場でしかない。 官僚の忖度は、安倍内閣の特徴でもある。
正確な日時を言わずに、これこれこういう電話を二人がして、総理の意思はこうであり、高市氏はこういったと聞いている、そう概略を伝えられたに過ぎない。総理のご意向がはっきりした時点で、(少なくとも大臣も確認した時点で)知りたかったことは確認できた。 記録するために、どのように伝わったかを、しっかり書類として残しただけである。
高市氏は、「記憶にございません」ではなく、この書類が「捏造」であるといった。高市氏が盗聴云々を持ち出したのも、ようするに、自分が認めない限り、真実と断定できないと思ったのはわかる。
自分の関係しているところしか読んでいないと言うのは明らかにおかしな話。自分が大臣をしていた総務省にあった80ページ近くの内部文書として提示されたものを、「自分の名前があるところしか読まない」わけがない。 自分が関係しているところを見つけるためにも、当然全部読むだろうし、どのような過程、プロセスが記録しているか、見る必要がある。
録音がないなら伝聞なので、「自分と安倍氏の電話会談とその内容」は否定できる>>盗聴でもしないかぎり、断定されない。
繰り返すが、内部文書は、「高市、安倍の間で電話があった」という「報告を受けた内容」について書かれている。
「高市と安倍は電話をしていないのは事実と仮定」する。だったら、「報告した人間が虚偽を伝えたという可能性」も当然考える。それを完全に無視している時点でおかしい。この場合、この書類は、「捏造でもなければ虚偽でもない」 虚偽の事実を、総務省側に伝えられたというだけである。
「私はそんな内容を総理と電話で話していない」 しか、言えないのである。
もちろん、記録に全くの虚偽を記載したという可能性もある。だが、「可能性の片方」しか頭にない時点でおかしな話。明らかな誘導だろう。
自分にとって都合のいい解釈だけで、「文書を捏造」と決めつけた時点で、高市氏は明らかに間違っている。