対米従属主義の極み
本当にどうかしていると常に感じるのが、自民党政権なり、保守系政治家なりの誤ち(たとえば高市氏の虚偽答弁あるいは、管理能力不足、報道の自由への侵害等)を批判すると、ごく一部だと信じたいが、ネトウヨ層が、ほれ「媚中派が、共産主義者が、どうこうと的はずれな指摘を繰り返す」陰謀論好き単細胞かつ米国従属が習慣になり洗脳されてしまった、アメリカには一切目をつぶるしかできなくなった人たちの「問題の擦り替え」である。
中国がやっていること(少なくともウイグル自治区での弾圧)を許容している日本人などいないだろう。それに経済安全保障政策に反対する国民も居ないだろう。
だが高市氏でなければ、それができないというなら、一体どれほど自民党は人材不足なのだ?
愛国とか持ち出す前に、産業スパイや、盗作、コピー商品、著作権の保護等は人間としての道徳心や倫理観の問題だ。
一方で、アメリカのCIAやNSAによる、日本への政治工作や、経済スパイについて、現自民党なり、保守系マスコミなりが、真正面から取り上げたり批判することはまったくない。
ロシアによるウクライナへの侵略戦争に心を痛め、なんとかしてプーチンの暴挙を止めたいと感じない日本人はまずいないだろう。だが、ウクライナでさえ、アメリカもしくは西欧とロシアの代理戦争の舞台になってしまったことも間違いない事実だし、アメリカとイギリスがウクライナ国民の政治運動に関与し、自分たちに都合の良い政治体制にすべく動いたのも、例えそれは善意的に解釈しようが、彼らの国益と合致していたということを、認めない訳にはいかない。
プーチンに一分の理もないが、少なくともプーチンの判断に影響を与えたのは、アメリカやEUの過度なウクライナへの自国利益に基づく干渉である。
プーチンなどという暗殺を繰り返してきた、スパイ上がりの元首を肯定するものでは全くないが(日本政府も、マスコミも何を遠慮していたのか、ほとんど報じなかったし、歴代自民党政権はプーチンとの関係を築こうとしていた上、指摘すらしなかった)アメリカやEUが国益のため、常に第三国に干渉しては、ムチャクチャにし、手に負えなくなると見捨てるのも、批判されて当然なのだ。
私はよく大笑いしているのだが、中国やロシア、あるいは日本人の拉致という暴挙を行った北朝鮮、そして韓国、あるいはイスラエルのモサドなり、他のEU諸国も含めて、日本国内に他国の諜報機関は常に活動しているだろうが、アメリカの工作員、諜報活動ほど、大手を振って日本国内を徘徊し、日本の政治に影響を及ぼし、古くは数多くの犯罪に実行部隊として表に裏に関与した他国の諜報機関は存在しないだろう。なぜそれを無視するのか?
北朝鮮による拉致事件は、紛れもない犯罪(ダントツだろう)だが、次にアメリカが日本で最も諜報活動を行い、日本の経済情報を盗み、政治体制にまで関与したのは、事実として公表されているアメリカの公文書だけでも明らかだろう?
アメリカによる日本への政治工作や経済諜報活動による日本の損失は、中国による諜報活動、搾取よりずっと大きいのではないか? 保守系マスコミは、まったくといっていいほどこれらの事実をスルーし続けているバランスの悪さを見ると、何が中道だ、何が保守だと笑ってしまう。ただの対米従属主義が極まり、アメリカに管理されながら大統領は選べない、アメリカの非合法州であり、日本国民は二級米国民になったも同然だ。
リベラルの多くは(自分はそう信じているが)、北朝鮮だろうが、アメリカだろうが、中国だろうが、ロシアだろうが、他のいかなる国であろうが、国益よりも人類が共有できるであろうモラルを重視する。それは他国間の関係においても当然だ。
高市氏がどれだけ対中で熱心だろうが、報道機関への圧力という民主主義の根幹に関わる問題に、故安倍氏の従順な下僕として結果的に協力したことは、批判されて当然だろう。
NOと言える日本を書いたのは石原だ。 あの石原ですら、そのNOの相手は米国だった。少なからずの保守は、戦後からずっと続く、日本の対米従属を憂いていた。 中国を批判し、北朝鮮へ抗議するだけでなく、アメリカによる政治工作や、経済スパイ活動も問題視していた。
今のネトウヨにそんな保守はほとんどみない。ろくな知識もない。都合の悪いことがあれば、「左翼が、中国の工作員が」と、すべて摩り替えている限り、対米従属から抜け出すことは永久になく、常にアメリカの国益に利用され続ける。
虚偽の事実に基づくイラク戦争といった、アメリカの戦争犯罪は絶対に指摘できない。そして日本政府の判断の誤ちも、真剣に総括されることはない。だから、日本はきっとまた同じ過ちを繰り返す。それが例えば台湾有事になるのかどうかはわからないが。