見出し画像

【認知科学コーチング】私たちのマインドのカラクリ

私が学んでいる「認知科学コーチング」における、「マインドのカラクリ」について、まとめています。
これは、人が本当にやりたいこと(want to)をやるための方法の説明です。少し長くなりますが、是非読んでみてください。


1.そもそも「認知科学」とは一体なんだろう

人工知能とともに発展してきた脳やマインドの使い方が分かると言われている「認知科学」。様々な心理学が山のようにある中で、この「認知科学」とはどのようなものなのか。

認知科学(cognitive science)とは、「情報処理」という観点から、生体(特に人)の知の働きや性質を理解する学問です。刺激から反応を生じさせる生体内部の「情報処理」こそが、生体の知を考える上で重要だという認識のもとに生まれました。

日本認知科学会webサイトより https://www.jcss.gr.jp/

つまり、シンプルに図で表すとしたら、下記の通り。

「入力:外部刺激」「出力:反応」の間にある「情報処理プロセス」にフォーカスした学問です。同じ「外部刺激」を受け取っても、その人その人が持つ「情報処理プロセス」によって、出力される「反応」が異なることは、私たちは日常的に経験しています。

<例1>
【入  力】半分の水が入ったコップ
【情報処理】AさんとBさんがそれを見る
【出  力】Aさんの場合:「まだ半分もある!」と安心し、気に留めない
      Bさんの場合:「もう半分しかない!」と不安になり、水を探
      しに行く
<例2>
【入  力】会議の資料の作り方が悪いと上司から怒られる
【情報処理】AさんとBさんが同じ経験をする
【出  力】Aさんの場合:また次も同じことを言われないように、資料の
      作り方を調べる
      Bさんの場合:自分は仕事が出来ないと落ち込み、また起こら
      れるかもしれないと上司を避ける

そう、「情報処理プロセス」とは、その人の「ものの見方」だということです。「ものの見方」が変われば、その後に出力される「反応」が変わるということ。つまり、「情報処理プロセス」が変わらなければ、人の行動は変えられないということです。

ただ、頭で分かってはいるものの、この「情報処理プロセス」を変えることは私たちにとって簡単ではありません。それは何故か。
このプロセスの99%は、無意識的に行われているから。意識で変えようとしても変えられない理由は、意識よりも膨大なパワー(99%)を持った無意識が、脳の「情報処理プロセス」を制御しているからなんです。

そしてこの「認知科学コーチング」は、「情報処理プロセス」の仕組みマインド(脳と心)のカラクリを上手く使い、書き換えることによって、知覚や行動に変化を起こすというアプローチを取ります。

自分が本当にやりたいこと(want to)をやるためには、このマインドのカラクリを上手にハックすることが『絶対条件』

そのために、事前に知っておいた方がいい重要な「脳のクセ」について、認知科学の用語をもとに説明していきます。

2.脳のクセを知ること

2-1.ゴール設定

私たちのパフォーマンスを最大化して、本当にやりたいこと(want to)をするためには、理想の現状のゴールではなく「現状の外のゴール設定」が必須条件です。
※ここで言う「現状」とは、「今」という時間の状態ではなく、「現状の状態が続けば、十分に起こりえると予想される未来」を含む概念のこと。

「現状の外のゴール」と「現状」とのギャップが、大きなエネルギーと創造性を生むことになります。

<現状の外のゴールの条件>
①想像すると怖くなってくるくらい大きなもの
②やり方が全く想像のつかないもの
③周囲の人間が驚いて止めてくるようなもの

イノベーションを起こしたい。でもやり方が見えない。そんなゴールを設定してどうするのか。本当にエネルギーと創造性は生まれるのか。でも、心配することはなくて。不思議なことですが、決断したら、プロセスが見えてきます。

ゴール達成の道筋は、無意識に任せる。自分の脳を信じる。創造的無意識。過去の情報処理プロセス(ビリーフシステム)に対抗できるのは、唯一「現状の外のゴール設定」だけ。だからこそ、この設定は避けて通れないのです。

2-2.エフィカシー

ゴール達成のために最も重要なもの、それが「エフィカシー」「エフィカシー」とは、「ゴール達成の未来に対する自己評価」のことです。
そう、ゴール達成に最も重要なものは、「それは私はいける!」と思える自己評価なんです。

「周りから、〇〇さんだったら出来るよと言われてるから、出来るはず」
「私はこの実績があるから、出来るはず」
なんて、他人の言動や過去の経験をもとにした自信のことではありません。

「エフィカシー」は、他人や過去の経験などは一切関係がないのです。「これはいける!私は出来る!」という何の根拠もなく謎の自信を持つこと。自分の評価を自分が決めるということなんです。

過去から考えると、「そんな経験もないし、やり方も分からないし、私には出来ない」になるけど、未来から考えると、「理想の自分は何とかしてかなえられるはずだ」と思い込めるようになる。それが「エフィカシー」のパワーです。

ただし人は、いくら「エフィカシー」が高い領域でゴール設定をしたとしても、一人で達成することは至難の業です。「現状の外のゴール」は簡単なものではないから。そこで重要な役割を果たすのが、私たちコーチの存在なんです。コーチは、「エフィカシー」を引き上げる大切なサポートを行います。

2-2.RASとスコトーマ

ゴールへの道筋が見える脳の仕組み、それが「RAS」です。
私たちは、毎分、毎秒、膨大な量の情報を五感を通して知覚していますが、認知するのは、すべての情報の1000分の1程度だと言われています。

「私たち人間は、脳が重要だと判断することしか見えていない」

全部見ると、脳はパンクしてしまう。そこに機能しているのが「RAS」です。それ以外は、すべて「スコトーマ(心理的盲点)」と言われる私たちが認識出来ていない領域になります。

分かりやすくいうと、真っ暗な部屋でペンライト(RAS)をつけて、光ったところが意識出来る箇所。見たい箇所。見える箇所。それ以外の暗い部分は、意識できない箇所、見えない箇所、つまり「スコトーマ」です。

現状の外のゴールの達成方法は、この「スコトーマ」に隠れていることが多く、「現状の外のゴール」を設定したら「RAS」が働き、そのゴールに重要である人や使えるであろう自分の経験が改めて見えてくるということが起きます。

これは、脳の仕組みの話なので、努力なく自律神経がそれをはじき出すということ。自動的に「RAS」が新しい可能性やリソースに気づかしてくれるということです。

現状の外にゴール設定して、さらに責任性も帯びてくれば、心で決断すれば、入力が変わります。
心の底からやりたくて、でもやり方も分からないけど、人生かけて何かをしてしまおうと思うんだったら、やってみるって心に決めて、決断出来たときに、「RAS」が働き同じ日常でも違う入力が起こります。

さて、皆さんの「RAS」が働いたら、一体何が起きるんだろう?
そう考えると、ワクワクしてきます。私たちは、どれだけのものが見えてないことになっているんだろうと。

2-3.コンフォートゾーン

パフォーマンスの限界を決めるもの、それが「コンフォートゾーン」
認知科学でいうと、「ホメオスタシス」のことです。

私たちは慣れ親しんだもの、私たちにとって心地よいものを維持しようとする機能が「コンフォートゾーン」です。逆を言えば、私たちは「コンフォートゾーン」の中でしか、良いパフォーマンスは出来ません。
私たちにとって、とても心地の良いいつもの自分で入れる空間です。

例えば、スポーツでいうと、「ホーム」であれば、勝率が上がる。それは、慣れ親しんだ場所、サポーターの多さ、いつもの日常であれば、最大限の能力を発揮できる。
しかし、海外などの「away」になった途端、負けやすくなる。普段の生活も出来ない、相手のサポーターの圧倒的な多さ、日常ではない環境で身体がこわばり、うまく動けなくなるから。

よく、「コンフォートゾーンを出よう!抜けよう!超えよう!」なんて言いますが、出てしまうと出た分だけゴムのように戻ってしまうので、えらいことになります。大きなリバウンドです。

<コンフォートゾーンの特徴>
・広げるか、未来側にずらすかの2つの方法しかない 
・人間は2つ同時にコンフォートゾーンは取れない

「現状」のコンフォートゾーンと、「新しい未来」のコンフォートゾーンは2つ同時にとれないから、「現状」のコンフォートゾーンを消滅しなければならないのです。そのためには、いかに「新しい未来」のコンフォートゾーンに「臨場感」を持たせられるかが鍵になります。

2-4.セルフトーク

パフォーマンスを決定づけるもの、それがセルフトークです。

<自己イメージを作るプロセス>
「Word(言葉)」→「Picture(映像)」→「emotion(感情)」

自分に語り掛ける言葉があり、言葉が映像を生んで、映像が感情を想起させ、自己イメージが出来、そしてコンフォートゾーンを作り上げます。

このセルフトークは、ポジティブなものも、ネガティブなものも(大半はネガティブセルフトーク)、他人の言動を自分が素直に受け入れた結果として作られることが多く、その時の権威が言ったことが、「自分らしさ」みたいになっていていることが多くあります。そして、この「セルフトーク」が、「セルフイメージ(ビリーフシステム)」を決定づけているのです。

ネガティブセルフトークは、私たちの中で無意識的に回っていて、そのままにしておくと、私たちは「現状の外」には行けない。自分の評価は自分で決めるんだと、切り替えさせなければいけない。
例えば、「だからこそ○○」と全体がポジティブになるようにリフレーミングすることも一つの方法です。

<リフレーミング例>
「臆病」=>「慎重」
「飽きっぽい」=>「好奇心旺盛」
「いいかげん」=>「こだわらない/寛大」
「落ち着きがない」=>「こまめに動く」

そして、高いゴールが今の時点で臨場感があろうがなかろうが、新しい未来のコンフォートゾーンになっているはずの人が話す「自分の言葉(アファメーション)」を使ってみること。

どうせ、私たちは自分自身に語り掛ける言葉で自分を縛る脳のクセなのだから、「ゴール側の未来の自分が語り掛ける言葉」で自分を縛ってみましょう。

3.本当にやりたいことをやるために必要なこと

ここまでくると、私たちの脳は「変わることが苦手だ」ということが分かっていただけたことだと思います。

<脳のクセ>
・今現在の自分に重要な情報しか見ていない
・心地の良い現状空間を維持し続ける
・無意識的に自己イメージを作り続けている

それを踏まえた上で、本当にやりたいこと(want to)をやるために必要なことをまとめると次の通り。

・現状の外にゴールを設定する
・そのゴールが達成できる!というエフィカシーを上げる
・新しい未来のコンフォートゾーンにずらすことで重要性が変わる
・セルフトークを変化させ、新しい未来の自分が言う言葉を使うことで、コ
 ンフォートゾーンの臨場感を高める
・決断し責任性を持つことで、RASが発火しスコトーマが外れる
・ゴール達成に必要な道筋が見える

これをサポートするのが、コーチの役目になります。

ご興味持たれた方は是非一度、認知科学コーチングのセッションを受けてみてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?