「縮んで勝つ」河合雅司:問題は出生率だけではない。
「国会議員や首長、経済団体の幹部などには、いまだ『出生率が上がれば、出生数は増える』と固く信じている人が少なくない」と河合はいう。
私も何となくそう思っていた。
日本の人口減をなんとかするのは、出生率をあげる対策が政治の大きな課題だと考えていた。
しかし冷静に考えると、出生率ではなくその母体が問題なのだ。
合計特殊出生率とは、15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、1人の女性が生涯に生む子供の数を推計した指標だ。
年齢別の人口が一定に推移する世界なら、出生数はこの合計特殊出生率がただ一つのパラメーターだ。
しかし、母数が急激に減少する日本ではそこだけ見ていてもだめである。
河合雅司の本では、人口減はもはやどうしようもない現実として受け入れるところから、これからの国家戦略を考えなければならないという。
人口が減らないというメインシナリオで今の政策はできている。
何が変わるか、人口が減るので消費が減り、量だけを追求するビジネスがなりたたない。
量的成長から質的成長だという。
河合の本には、人口減を踏まえ、日本に残された7つの活路が提言されている。
真の大きな原因が語られずに、対策が打たれるいることが、最近多いように思う。
出生率低下が問題ではないというのではない、それは原因の一部であり、その対策も必要であるが、それが根本的な解決ではない。
崖に向かって群れが進んでいるのに、その速度を緩めることだけではなく、方向を変えることのほうがもっと大事だ。