メディテレーニアンハーバーで楽しむための道と水
東京ディズニーシーの地中海都市・メディテレーニアンハーバーを楽しむ二つの視点を考えてみる。
角を曲がる喜び
地中海都市の曲がりくねった細い路地は、公私を分け、強い日差しを遮る。
この点で、アラビアンコーストとは興味深い一致を見る。
メディテレーニアンハーバーとアラビアンコーストの建造物に類似点は多い。路地、アーチ、石造の建物。これらを総合すると、入り組んだ建物同士の歪な位置関係と符合する。
それに加えて、美しい灯りや柱のデザインにも似たところが確認できる。
水の物語
四大文明が川の近くに栄えたように、文明にとって水は欠かせないものである。
貴重品として水が重宝され、噴水は重要なモニュメントとなり、多様な“顔”を見せた。
彼らは水道橋を活用し、重要都市に安全に水を運ぶよう試みた。
もちろん、水面の美しさも忘れてはいない。
そして、メディテレーニアンハーバーの人々は、彼らの愛するダニエラ姫の伝説に肖って、至る所にイルカや海洋生物のモチーフを設置した。
***
メディテレーニアンハーバーは、東京ディズニーシーの最重要エリアである。スペイン、ポルトガル、イタリアを中心として南欧の空気を遺憾無く発揮している。
何気なく歩く中でも、そこには信仰と文化を感じることができておもしろい。
東京ディズニーシーは2001年にオープンした。その前年、東京ディズニーシーを運営するオリエンタルランドが独自にオープンしたのが、商業施設のイクスピアリである。社長(現会長)の加賀見氏が「路地の楽しさを舞浜に」を謳ったイクスピアリ、その中の「ミュージアム・レーン」では、南欧の街を再現している。
彼らが繰り返し用いるモチーフである、ヨーロッパの路地は教えてくれる。
まっすぐすすむのではつまらない、しかし、確実にすすむのが肝要だ。その先に、何かきらきらと光るものがあるはずだから。
*写真撮影はいずれも筆者です。
【公式】東京ディズニーシー | 東京ディズニーシー
舞浜 イクスピアリ・IKSPIARI
加賀見俊夫『海を超える想像力─東京ディズニーリゾート誕生の物語』講談社