ディズニーシーロゴ標本④【タワー・オブ・テラー】
東京ディズニーシーのロゴマークの使用例を採集する。第四回は「タワー・オブ・テラー」。ホテル操業時代に用いられたハリソン・ハイタワーの紋章と、このホテルの文化的価値を保護しようとホテルツアーを実施する「ニューヨーク市保存協会」のロゴが入り混じっている。
1899年12月31日、オーナーの失踪により閉鎖された恐怖のホテル──ここで発生しているロゴマーク同士の「縄張り争い」とは?
なお、前回は「S.E.A.」。
ハリソン・ハイタワー
紋章
ニューヨーク市保存協会
「ハリソン・ハイタワー・ザ・サード」とは誰か?
筆者とタワー・オブ・テラーとの戦いの歴史は長く、過去に何度か独立した記事としているため、ここで改めて紹介する。詳しくは参考にされたい。
ホテルの中の調度品に模られた「HH」の文字は、ハリソン・ハイタワーの頭文字。
その人物が一体どのような姿形であって、どのような振る舞いをしていたのか、私たちは窺い知ることができない。
ロゴマークの中に残された痕跡から、あれこれ想像するのもまた楽しいだろう。
数々の名脇役
ところで、「タワー・オブ・テラー」には数々のアメリカンウォーターフロント企業の名前が隠れていることにお気づきだろうか?
これらの施設はテーマパーク内の施設ではなく、あくまで装飾である。
ハリソン・ハイタワー三世のライバルとされるコーネリアス・エンディコット三世の「ドックサイドダイナー」とは大違いである(それぞれの写真には、東京ディズニーシー内の施設名が書かれた木箱がある)。
鮮烈な印象を与える「ホテル・ハイタワー」と「ニューヨーク市保存協会」。
これらの組織が掲げるロゴマークはむしろ、アメリカンウォーターフロントのどこにもなく、ただ「タワー・オブ・テラー」のみに存在するのである。
物語を表現するロゴマーク
では、これらのロゴマークの真髄は何か?
それは、このロゴマークの用いられ方にあると思われる。
ホテルを保護しようと企む「ニューヨーク市保存協会」が、このアトラクションの物語体験を多層化させていると言える。
ホテル内に主に登場する二つの組織は、どこにその意匠を発露するかによって争っているようにも見える。
二つの組織が活動した証を、ロゴマークは切実に表現している。
他とは全く異なるディズニーのロゴマークの活躍を、ここでは見ることができるのだ。