【本を読む001】なぜ、私たちは不安なの?ー「しないこと」を決めることが必要/『超ミニマル主義』 著:四角大輔
今回ご紹介する本はこちら。
「漠然とした不安」を抱えながら生きてきた
今まで「がんばればなんとかなる」と信じてきた。
周りの大人たちもそう言っていた。
だけど、それはもう通用しなくなっているっぽいのです。
変化の激しい不安定な時代に必要なのは「フットワークの軽さ」。
いらないものを削ぎ落とし、「何をするか」ではなく「何をしないか」を決める勇気を持つこと。
この本は、物理的なモノを減らすだけではなく、思考やタスクなどの非物質なものまでを軽量化して身軽に生きていく方法を教えてくれます。
「がんばって生きているのに、なんだか報われてない気がする」「毎日不安でしんどい」「もっと気楽に生きていきたい」と思っている人にはぜひ読んでもらいたいです。
ミニマル思考を学べる教科書
この本は7つのSTEPで構成されています。
物理的な「モノ」を軽量化することからはじまり、「情報」「スケジュール」「タスク」「思考と習慣」など、目に見えないものまで軽量化していく方法を教えてくれます。
私もこの本を読みながら、あらゆる軽量化を実践している最中です
(ペースはゆっくりですが、以前よりラクに働けるようになってきた感じがあります)。
人によって事情があって実践できない部分もあると思いますが、できるところから実行していけば、何かしらの変化は起きるはず。
ミニマル思考は実生活にも役に立つので、ビジネスパーソンでない主婦や主夫にもおすすめです。
著者プロフィール:四角大輔(よすみ・だいすけ)
1970年大阪府生まれ。現在は執筆家・環境保護アンバサダーとして活躍されています。
音楽知識がないまま、某有名レコード会社に就職。
北海道での営業マン時代を経てプロデューサーに抜擢され、ケミストリー、絢香、Superflyなどをプロデュース、10回のミリオンヒットを記録します。
ここまで聞くと「めっちゃすごい人やん!」と思いますよね。
でも、四角さんは小さい頃からチック症とひどい赤面症があり、人と話すのが大の苦手だったそうです。
営業成績も最低評価で、ストレスで不眠症や原因不明のじんましんになったこともあるのだとか。
そんな苦しい経験の中、「自分への期待」や「長時間労働」など、いろんな心の重荷を「捨てる」ことで仕事の生産性を高め、名プロデューサーと呼ばれるほどの結果を出せるようになったのです。
仕事の絶頂期だった30代にすべてを捨てて、四角さんはニュージーランドに移住します。
豊かな自然の中、自給自足で暮らしながら仕事の9割をリモート&自宅でする、組織や場所、時間などに縛られない働き方を構築。
お子さんがいる今は、週3日だけ働くワークスタイルを実践されています。
エアプレイじゃない、四角さんが苦労して身につけてきた本物の「知恵と方法」が、本書にはギュッと詰まっています。
私が「超ミニマル主義」で学んだこと
紹介しきれないほどたくさんの知恵と方法が載っていますが、ここでは個人的に学びになった2つをご紹介します。
その1:モノだけでなく、目に見えない「非物質」なものを軽量化する
「心の軽量化」悩みやイライラしていることー「心の荷物」を書き出して「見える化」する。
つまり「非物質」なものを「物質」に変える。これだけでも、頭の中だけで考えていた時より気持ちが落ち着いているはず。
もう一歩進んで、心の荷物を「なぜ?」と理由を問いかけて掘り下げて考え、断片的でいいのでメモをとります。
その掘り下げた理由に、「最大重量=10ポイント」に対して何ポイントなのか、ポイント数をつけていきます。
例えば、「会社を辞めたい」という悩みを持っていたとします。
この悩みを細かくして掘り下げていきます。
今の仕事がきつい?(No。仕事内容は自分にあってる→1ポイント)
お給料が少ないのが不満?(Yes。将来が不安→9ポイント)
職場の人間関係がイヤ?(No。そうでもない→3ポイント)
残業があってつらい?(No。残業はしない→1ポイント)
会社の社風が合わない?(Yes。女性にだけお茶汲み・掃除をさせるのが嫌→8ポイント)
上司と気が合わない?(Yes。→8ポイント)
上司とは関わらないと仕事できない?(No。今はそうでもない→3ポイント)
ちなみにこれ、私の悩みです。
こうして見える化すると、頭の中でぼんやりしていたことが整理されて、気持ちもスッキリしてきます。
私の場合、「仕事や同僚に不満はないが、会社の方針や上司に不満がある」ということが見えてきました。
辞めたいと思っているのは、上司と会社の社風が自分と合わないから
でも今の状況だと、上司とあまり関わらずに仕事をすることができる
同僚とはうまくやっているし、仕事内容は自分にあっているので、いますぐ転職を考えるほどでもない
収入は副業をすることで増やすことができないか
と、気持ちを合理的に整理することができました。
モヤモヤした気持ちを、放っておかずにメモにとって物質化する。
心に溜まっていたモヤモヤを「メモ」に移動させることで、気持ちを軽くすることができます。
この方法、軽度の高所恐怖症を乗りきる時に使う手法なんだとか。
冷静に状況を分析していくことで、落ち着きを取り戻していくそうです。
四角さんは実際に、この方法で登山客を助けたこともあるそう。
実践済みなので、かなり信用性のある方法ですよね。
モヤモヤたくさん抱えてます、という人は一度試してみてくださいね。
その2:たった一人に届けるピンポイント理論
私はミニマル思考をメインにTwitterを運営しているのですが、ある時、前のようにいいねをもらえなくなって何を投稿していいのかわからなくなったことがあります。
原因は「みんなに受けのいい投稿」をしようとしていたから。そういうツイートって不思議といいねをもらえないんです。
そんな時、この本で「ピンポイント理論」を知りました。
万人受けを狙うと熱量が分散されてしまって、冷たくて薄いスープのようになって美味しくなくなるんです。
「たった一人」に向けてつぶやく。ターゲットを一人に絞る。
私の場合は「過去の私」をターゲットにしました。
ミニマリストになる前の、迷って悩んでばかりの私に向けてつぶやくようににしたんです。
だれかわからない人に手紙を書くのはむずかしいでしょ。
でも「だれ」に向けて「なに」を書くのか決まっていれば書けますよね。
熱量は熱々のまま、過去の私のように悩んでいる人の心に届く。それが別の誰かに伝わって広がっていく。
これを理解できるようになってから、またTwitterで投稿できるようになりました。
あれもこれもと欲張らず、削ぎ落としてギュッと絞りこむ。
「たった一人に届けるピンポイント理論」はミニマル主義の本質ですね。
おわりに
何をするか、ではなく「何をしないか」を決めること。そして行動すること。
変化の激しい不安定な時代を生きていくためには、フットワークの軽さが必要になってきます。
「漠然とした不安」を解消するには、手に余るほどの「モノ」や「やること」などを軽量化して大切なことに集中する。
この本は私にとって、厳しい現代を歩いていくガイド本みたいなもの。
購入してから半年も経っていませんが、もう何度も読み返しています。
実践できるところとできないところがありますが、ゆっくり自分のペースで勉強させてもらおうと思います。
ご紹介した内容のほかにも、本書には役立つ知恵と方法がたくさんあります。ぜひ一度読んでみてくださいね。
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