グローバリズム=植民地支配の終焉

Chihiro Sato-SchuhさんFacebookより

【グローバリズム=植民地支配の終焉】

ちょうど春分の頃、冥王星が水瓶座に入る直前に、中国首席、習近平がモスクワを訪問して、ロシア大統領プーチンと熱い握手を交わしていた。その画像からは、それが何かとても特別なことなのだということが見て取れた。二人の表情には、ついに大きな念願が叶ったというような、深い感動が感じ取れた。最後に空港へ向かう習近平を、車のところまで見送ったプーチン大統領は、「これは100年来の転換だと思います」と言い、習近平は「私もそう思いますよ」と答えた。

そのときは、その言葉の意味がよくわかってはいなかったのだけれど、その後、中国とロシアの国際関係についていろいろな情報を見ていくうちに、これがけっして誇張ではなかったということが納得できた。これは実際に、この100年ほどの世界の歴史を根底から変えてしまうようなできごとだったのだということが。

3年前に奇妙なパンデミックが世界を支配し、一年前からはウクライナでの戦争に世界が翻弄されたことで、私たちは西側の国々は主権など持ってはおらず、実のところ世界を支配しているグローバル金融エリートの言うなりなのだということを、さんざんに見せつけられた。実際、政府はその数年前からグローバル金融エリートが送り込んだ工作員に乗っ取られていて、その指示通りにしか動いていなかった。それで西側の国では、治験段階ですでに多くの犠牲者を出していた薬の使用が義務付けられるというような恐ろしい事態になり、一年前からは自国の経済を犠牲にしてまで、ロシアへの経済制裁に協力させられている状態だ。政府は、国民のためなどに動いてはおらず、グローバリストの指示通りに動いていたのだから、事実上の植民地支配だ。

第二次世界大戦後、アフリカやアジアの植民地は、民族自決の原則で、それぞれに独立国になることになった。それで、もはや植民地はなくなったはずなのだけれど、これは実のところ、見せかけだけのことにすぎなかった。ロシア在住のドイツ人ジャーナリスト、トーマス・レーパーによると、アフリカの地下資源の採掘は、ほとんどが西側諸国との生産分与契約(Production Sharing Agreement=PSA)という取り決めによっていて、西側諸国の企業が採掘の設備に投資すると、その設備はその企業の所有になり、採掘された資源の75%は企業のものになる。残りの25%だけが、その国のものだ。これは、植民地時代の不平等条約と変わらない。だからアフリカは石油にしても鉱石にしても、非常に豊かな地下資源を持っているのにもかかわらず、世界で最貧の状態なのだ。

つまり、西側諸国は、貧しい国への開発援助という名目で、税金を使って地下資源採掘設備をこしらえ、そして、その権利の75%ほどを企業が持つ、というしくみになっている。西側諸国は、これをグローバル化という名目で推し進めてきた。グローバル化とはつまり、かつて植民地戦争で行なってきたことを、経済侵略で起こっているということだったのだ。

食糧援助についても同様で、西側諸国は食糧援助といって、大規模な農業開発をし、自家採種ができない種類の穀物を導入して、西側からの種や肥料、農薬に依存した農業をアフリカやアジア、中南米で広めている。その結果、その土地の農家は大部分が破産することになった。農家が手放した土地を吸収して、大規模農業はさらに大きくなっていく。これは、経済援助でも何でもなく、独占という名前の植民地支配に他ならない。実際そのために、アフリカは食糧を外国からの輸入に依存することにさえなっている。ところで、土地の農業が機能していたときは、アフリカは食糧を外国に輸出していたというのだ。

そして、アフリカやアラブの国が、地下資源を国有化しようとしたり、外国からの輸入品に関税をかけて、自国の産物を守ろうとすると、自由経済を妨げようとする独裁国家だと騒がれることになる。西側諸国は「民主化のために」という名目で、反政府派を支援、武器援助して、テロやクーデターを起こさせたりもしている。こうしたことが、シリアでもリビアでもイランでも起こった。そのためにアメリカは中央情報局(CIA)を使って、反政府組織を支援したり、でっち上げたり、それが「民主化のため」だという風にメディアを操作して宣伝している。それには、全米民主主義基金(NED)だとか、共産主義受難記念基金だとか、いろいろなアメリカの政府機関も関わっており、アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチなどの人権保護の名目で動いているNGOもある。国連の国際刑事裁判所も、実はそうした目的で動いている機関だったことも、この頃のプーチンに対する逮捕状ではっきりと表に出た。西側グローバリストの利益に反する政治家や組織は、独裁的で、人権無視の弾圧を行なったという事実をでっち上げられ、経済制裁や軍事攻撃の口実にされていたのだ。

ところで、20年くらい前から、状況が変わってきた。ロシアや中国が経済的に強くなってきて、もはや英米のグローバル・エリートが、世界を独占することができなくなってきたのだ。中国やロシアは、共産主義革命によって、経済的に激しく落ち込み、国際影響力を失っていたわけだけれど、この共産主義革命というのも、実は英米のグローバリストによって仕掛けられたという説もある。少なくともロシア革命は、アメリカから大量に送り込まれたハザールユダヤ系ロシア人たちによって起こされたクーデターだったと言われている。それまでロシアは、文化的にも経済的にも、ヨーロッパにとって大きな意味を持つ国だったけれど、それがまったく落ち込んでしまったのだ。それが、20年ほど前から変わってきた。ロシアはソ連崩壊後、資本主義経済を取り入れ、それから10年ほどは西側資本に腐敗させられてボロボロだったけれど、プーチン政権になってから、この腐敗を一掃して、たちまち大きな経済力を持つようになっていった。

そのロシアや中国が、やはりアフリカやアラブ、アジアと経済提携を広げていっているのだけれど、これが西側諸国がやっている植民地主義的なものとはまったく違うものだと、トーマス・レーパーは言う。ロシアや中国は、アフリカのインフラ整備に投資しても、その権利はアフリカの国が持つので、西側諸国みたいにそれで搾取し続けるわけではないし、援助を条件に政府に干渉するようなこともしない。あくまで対等な関係、フェアな関係を保っているのだ。ロシアはアフリカで軍隊の養成もしているけれど、これはアメリカがやっているように、基地を置いてその国を軍事的に依存させ、支配するためではない。アフリカの国が自国を防衛できるようなやり方でやっている。

これは、ロシアや中国がいい国だとかいうことではなく、こうしたやり方こそは、ロシアや中国にとって、主権を保つための唯一の手段だからなのだ。実際、ロシアも中国も、西側から独裁国のレッテルを貼られて、あらゆる経済制裁をかけられている。周辺諸国がNATOの取り込まれていって、軍事的にも脅かされている。実のところ、ソ連が崩壊したのも、アメリカが軍備競争を仕掛けてきて、それをソ連が破産するまでやったからだった。これも経済競争で独占していくやり方と同じなのだ。相手が破産するまで追い詰めていく。破産したら、吸収して、さらに独占を広げていく。かくして、ソ連崩壊後、アメリカはNATOを東へ拡大していき、ついに隣の国までNATO軍が駐在するというようなことにまでなった。

ロシアや中国にとって、西側の覇権主義から国を守り、国の主権を保つためには、他の主権を保っている国々と提携していくしかない。それぞれの国が主権を保っていてこそ、西側のグローバル化という隠れた植民地主義に抵抗することができるからだ。それぞれの国が、自立した経済を持ち、自立した政治、自立した防衛システムを持って、国の人々の利益になるように国を運営していることが重要だ。それでこそ、国民と政府とが信頼関係によって繋がり、強い結束を持って、他の国からの覇権主義に抵抗していくことができるからだ。

この20年ほど、ロシアや中国は、アフリカやアラブとフェアで対等な経済関係を作ってきた。西側諸国にさんざん搾取されてきたアフリカとしては、それなら西側などと関係を結ばずに、ロシアや中国と関係を結んだ方がいいと考える。実際、ロシアがウクライナに軍事介入したとき、アメリカは世界中に経済制裁を呼びかけたけれど、アフリカはどこも協力しなかった。経済制裁に協力したのは、いわゆる西側諸国と日本くらいだったのだ。他の国々は、その後もロシアとこれまで通り貿易を続けたし、ヨーロッパがロシアに対して経済制裁かけたおかげで、その分、アジアやアフリカとの流通が増大し、たがいに豊かになったくらいだった。

これまで、アメリカ中央情報局が恐くて、言うなりになっていた国も、ロシアがアメリカとの経済制裁戦に勝ったのを見て、ロシアと提携して行こうとし始めている。サウジアラビアは、初めて石油取引をドル以外の通貨で行なうことを承諾した。さらにサウジアラビアは、中国の仲介でイランと国交を回復し、シリアとも国交正常化した。エジプトはBRICSの加盟を希望しており、今やBRICS加盟希望している国は、16カ国ほどもあるという。これでアラブの石油産出国の大部分は、ロシアの側につくことになる。

習近平がモスクワ訪問したのと同じ頃、モスクワではアフリカ会議も開催されており、そこには40カ国もの国が、首相や外務大臣クラスの代表者を送っていた。これほどの人物が集まったのは、他には国連総会くらいのものだという。アメリカのバイデン政権は、アフリカに550億ドルも出すといって、アフリカ・サミットを開催したけれど、アフリカの国々の反応は冷めたものだったそうだ。アフリカはこれまでアメリカが資金を出すというと、あとで結局だまされて乗っ取られただけだったというような経験を何度もしているから、警戒しているのだ。だけど、ロシアはこれまでのことで信頼があるから、プーチンがモスクワに招待すれば、どの国も熱心に集まってくる。ロシアはその場で、アフリカに対して総額200億ドルもの負債を帳消しにしさえした。ロシアにとっては借金の肩に何かを得るよりも、アフリカが自立でき、強くなることの方が重要なのだ。まさにそれによって、たがいに主権を守り合うことができるからだ。

そうした背景が見えてくると、習近平がモスクワを訪問して、プーチンと硬い握手を交わしたのは、本当にこの100年の歴史が引っくり返るくらいの大きな転換を意味していたのだということが、よくわかる。これは、英米の植民地主義的なグローバリズムに対抗する力をもった、世界的なネットワークができたということを意味しているからだ。ロシア外相ラブロフが、「一極支配は崩れ、もう戻っては来ない」と宣言してからちょうど一年ほどが経つ。多極化の世界は、ついにユーラシア大陸の大部分を占める2つの大国が手を結ぶところまで来たのだ。ここまで来たら、この多極化の波が世界中に波及していくのは、もう時間の問題だと思う。この100年ほど、世界中を支配し続けてきた西側グローバル・エリートたちは、遅かれ早かれ支配を手放すことになり、主権を取り戻した国々が、これまでの搾取から解放されて、栄えていく時代が直にくるはずだ。

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画像一枚目 握手するプーチンと習近平
画像二枚目 空港へ向かう車の前で、言葉を交わすプーチンと習近平。横にいるのは通訳さん。