友達?おらんねん!
文章を書くのが好きなわりに、文章でやりとりするのが面倒臭いので、LINEやメールでは必要最低限の用事しか連絡しない。たまに気心知れた友人に「これ見て」と画像を送りつけるくらいだ。というか他人にそんな興味ない。でもこの人は、と興味惹かれる人に時々出会う。
義母の幼なじみのAさんという人がいる。定年後、お孫さんの子守りやご飯を作りに行ったりで毎日を忙しくしている。散らばって暮らしているそれぞれの子供の家にバイク飛ばして西から東へ大横断。たまに血も繋がっていない我が家にも「安い時にたくさん買うとくねん」と言って卵や野菜、自家製のお惣菜のお裾分けを届けてくれるのだ。義母がいなくてもうちに寄ってくれるし、義母がいる時はそれはそれでふたり漫才のような賑やかな光景が繰り広げられる。総じて愉快できっぷうがいい人。
彼女は携帯を持っていないので、連絡を取る手段は自宅の電話のみ。
「約束とかどうしはるんですか?」と聞くと
「そんなもん、約束なんてしいひん。友達おらんねん!」と笑い飛ばす。
Aさんは義母のような昔からの友人や、自分の家族、私のような縁あって出会った人など、自分で大事だと思える人たちとの交流を主に生きている。
無駄につき合わない、というのか。携帯を持たない、というのも彼女の哲学に非常にフィットしているんだと思う。会いたい時に会いに行き、顔を合わせて会話する。長居もせず、冗談を言ってさっぱりと別れる。
義母とAさんが偶然、左京区にあるうどん屋でばったり遭遇した、という笑い話をしていた。義母は友人何人かでお店に入ると、一人でうどんを啜っているAさんを発見して二人爆笑したという。「あんたなんでここにいてるん?!」滅多に来ない場所で、同じ時間に、タイミングよく会うかね、と。しかも外は土砂降りの雨。「まあ、腐れ縁ってやつですわ!」
どこそこにみんなで一緒に行こうね、という女子的ウェットな繋がりを持つより、気分のままにふらりと出向いて偶然会ってサラッと別れるという流動的な繋がりを楽しんでいるAさんの生き方が、私は大好きだ。