夫の悪口についての考察


あるママさんとお互いの夫のすげームカつく話をしていたのだが、
「あはは、もう旦那の悪口3年は言える!」と彼女はケラケラと笑い飛ばした。3年という数字が絶妙で思わず「ハーン」と唸った。サクッとした笑い話の中に、蓄積された恨みつらみが四谷怪談ばりのウェットな根深いホラー感を纏っていて、しかしながら軽快な情緒で畳み掛ける悪口はもう落語レベルだ。次から次へと出てくるネタの嵐、そして彼女は「ねえ見てみてこれ安かってんで」とお得にええ買い物したかのような感覚で悪口を披露。負けじとこちらも「そんならもっとええ買い物したんや、これ聞いて」とかぶせる。
私の中で悪口、と言うワードへの見方が180度変わった。
結論としては自分ごとだとすげー狂気的にムカつく出来事でも、「他人事の狂気的な話はすげー面白いし笑える」と言うことだ。自分の中の革命に近い、悪口がもうひっくり返っちゃったんだから。これはあるものをなかったことにしよう、とか、悪口はいけません、なんでも良いふうに考えましょうという道徳的なことではない。これは彼女と私の根っこの部分が非常に喜劇寄りでなんでも得な方へ変換しようとする貧乏性であるためだと踏んでいる。
青空の下「いやちょっとほんま、他所んとこの話っておもろいな!」と二人で笑い合い、品性はないが爽快だった。


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たみい
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