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世界を反転させる
先日実家の母と電話して、うわあ、ザ・田舎のしがらみやなあ、と、へどがでるくらいうんざりした。で、ひさしぶりに自分はこういう、狭い世界でのがんじがらめになるような概念が死ぬほど嫌いだということに気づいた。十代のうちに家を出たので、なんとなく、それは肌感でしかなかったが、言語化するとそういうことだったのだ。ごりごりの既成概念があったから、わたしはこうは思わない、ことに気付けたし、それは指針にもなった。小津安二郎の映画ばりの世界の中で、それは時として本音と建前がまったくちがう、ということを目の当たりにして、人間の実態を知り、観察する子どもだった。そういう意味では、口下手ながら自分の感情を正直に吐露できる父親は人間として素直だし、正しく生きようと体裁を保とうとしている母親のほうが不気味に思えた。いまでも母親の自分の正義を振りかざすかんじが死ぬほどきらい。実はそれを自分も同じことを子供にしている、と気づいたときに、世界が反転する。
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