元ギャンブラー
スーパーをウロウロしていると、自分がギャンブラーだった時の記憶が蘇った。
ギャンブラーと言っても、競馬やパチンコなどに手を出したことはない。
では、自分が熱中していたギャンブルとは一体何かと言うと、
それは「駄菓子」だ。
もっと詳しく言うと「当たり付き駄菓子」
もっともっと詳しく言うと「ヤッター!めん」
この「ヤッター!めん」、言ってしまえばベビースターラーメンのようなもので、違いは「ヤッター!めん」の方が少し濃い味かなと思たり、思わなかったりするくらいだ。
もちろん味が好きで買っていたのだが、味よりももっと魅力的なところが、この「ヤッター!めん」にはある。
それは、当たりが金券になっていること。
金券と言っても、10円や50円、1番大当たりの物でも100円といった程度だ。
しかし!!!
他の駄菓子は、当たりが出ても同じ駄菓子としか交換ができなかったが、この「ヤッター!めん」は、当たりの金券で他の駄菓子を買うことができるのだ!!
少ないお小遣いで駄菓子屋に通うちびっ子にとって、握りしめた10円玉が『「ヤッター!めん」と、100円分の駄菓子に変わる可能性がある』と言うことは、とても夢のあるギャンブルなのだ!!
10数年前ちびっ子だった自分は、このギャンブルにどっぷりハマっていた。
近所の駄菓子屋に通って「ヤッター!めん」を買うのだが、なかなか大当たりの100円は出ない。
「いっぱい買ったら当たるかな?」と思い、100円玉で10個買ったこともあった。
しかし、10円すら当たらなかった。今考えると、その100円で他の好きな駄菓子を買えば良いのに、そんなことにも気づかないあたり、どっぷりハマっている証拠だ。
一緒に買いに行った友達が、隣で100円を当てたこともあった。
「ぼくも当たってるかも!」と思い、確認してみるもそこにあるのは「はずれ」の3文字…
100円分の駄菓子をウキウキしながら選んでいた友達の隣で、目に涙を浮かべて下を向きながら「ヤッター!めん」を食べた。
結局自分は100円が当たらないまま、いつしか「ヤッター!めん」を卒業し、記憶からは消えていった。
消えていたはずのそんな記憶が、このnoteの冒頭に書いている通り、スーパーをウロウロしているときに蘇ったのだ。
そう、「ヤッター!めん」が売っていたから!
自分は悩んだ
大人になった今、「100円の大当たりが出るまで大人買いしようか…」などとも考えたが、それは少しズルイ気もした。
「あの時のように、10円で100円の大当たりを当てることに意味がある!」と思い、久しぶりに10円玉を握りしめレジに並んだ。
会計を済ませ、帰宅後すぐに「ヤッター!めん」を開けてみる。
この開けるときのワクワク感は、元ちびっ子になってしまった今も変わらない。
「100円!100円!!100円!!!」
そう念じながら見てみると
そこにはあの時と同じ、「はずれ」の3文字…
ギャンブルはそう上手くはいかない。
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