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僕はドラムを叩けない。

19歳の頃から、10年数年ドラムを習っていました。

キッカケは中学1年の時にゲームセンターで「ドラムマニア」に出会ったこと。

その少し前にリリースされた「ギターフリークス」もやりましたが、片手でボタンを押さえて、もう片方でピッキングするという操作がどうも複雑でハマりませんでした。

一方「ドラムマニア」は曲に合わせて指定された場所を叩けば良いだけ。

その操作のシンプルさにハマり、少ないお小遣いをやりくりしてプレイしていました。

しかも、当時「ドラムマニア」はかなり異色のゲームという印象で、プレイしている人も少なかったように思います。

当時中1だった自分からすると、「俺、誰もやってない『ドラム』という変わったことをやってる!」と思っていた節もあったのかなと思います。

余談ですが「HAPPY MAN」がクリアできた時には飛び上がるほど喜びましたね。

「ドラムマニア」は続々と新作がリリースされ、中学・高校・浪人時代とちょこちょこゲーセンに行っていました。

浪人生の頃には、予備校の近くのゲーセンで連続プレイをしてから勉強に通っていました(だから第一志望に落ちたんだと思う)。

そして、これをキッカケにドラムに興味を持ち「せっかくだからゲームではなく本物をやろう」と思って、大学に入ってから週1でドラムを習うようになりました。

ただ、人前で叩くという機会はありませんでした。


そんな時、人前でドラムを叩けるチャンスがやってきました。

大学3年、学園祭で後輩たちとバンドをやろうという話が持ち上がったのです。

担当楽器の話になり、ギター×2・キーボードを担当するメンバーはすぐに決定。

ドラムを習っていることは話していたので「ついに人前でドラムを叩く時が来るのか」と思っていました。

すると、その時たまたまこの話を聴いていた後輩が「〇〇ちゃん、ドラムやってたみたいですよ!」と言ってきたのです。

〇〇ちゃんは見た目はちょっと派手ですが、礼儀のしっかりした新入生の可愛い女の子でした。

もちろん、その場は「めっちゃいいじゃん!」「女の子のドラム最高じゃん!」と大盛りあがり。

そして「尾頭はどう思う?」と聞かれました。

やりたい気持ちは山々でしたが、老け顔の男(自分)がドラムを叩いている姿と可愛らしい女の子(〇〇ちゃん)がドラムを叩いている姿を瞬時に想像してみました。

間違いなく〇〇ちゃんがドラムを叩いている姿の方が映えています。

ゆっくりと頷いて「〇〇ちゃん、いいんじゃない?」と答えていました。

後輩がすぐに〇〇ちゃんに連絡をとってみると、即OK。

結果、誰もやる人がいなかったベースを担当することになり、学園祭に出演しました。


そして、翌年。

また同じメンバーでバンドを組んで学園祭に出ることになりました。

すると、昨年出てくれた〇〇ちゃんがダンスサークルのパフォーマンスに出ることになり、今回はバンドに参加できなくなることが判明。

こうなってしまったら仕方ない。

「ついに人前でドラムを叩く時が来るのか」と思っていました。


何の曲をやるのかという話し合いが始まったのですが、そこで昨年ギターを担当していた女の子がこんなことを言ったのです。

「私、彼氏がバンドマンでドラムやっているので、彼に習ってドラムをやりたいんですけど」

すると、その場は「なにそれ?のろけてんの?(笑)」「今年は〇〇ちゃんの代わりに●●かー」と大盛りあがり。

「尾頭はどう思う?」と聞かれる前に「やっぱり女の子のドラムはいいよね」と答えていました。

結果、引き続きベース担当として、学園祭に出演しました。

その後、このバンドで学園祭以外にも2回ほど演奏する機会があったのですが、もちろんドラムを叩くことはありませんでした。


そしてそのまま月日は流れ…

数ヶ月前の飲み会で、仕事でとてもお世話になっている方から「新たな趣味を見つけようと思ってドラムを始めた」という話を聞きました。

一緒にYouTubeを作っている若手芸人さんも仲の良い芸人さんたちでバンドを組んで、ドラムを叩いているという話を聞きました。



たぶん、私が人前でドラムを叩く機会はやって来ないでしょう。

この時期が過ぎたら、またゲームセンターにでも行こうと思います。

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