移転価格税制
国際間の税務は金額も大きくなり、たびたび大きな話題になります。
端的に言うと二国間の利益合計が100からば、税率の低い国で利益上げた方が税金少なくてすみますよね。
この論点が移転価格税制です。
グループ企業間の海外取引が適正な価格になっているかを確認するための制度を移転価格税制といいます。
日本ではH28年税制改正で移転価格税制等に係る文章化制度が整備されました。実務家にとって結構な負荷がかかってきました。
1,対象となる会社
移転価格税制は、親会社と海外子会社など特殊の関係がある企業間で資産の売買など国外関連取引があるすべての法人が適用対象です。
●ローカルファイル
一定規模以上の国外関連取引を行う法人に対して、ローカルファイルを確定申告期限までに作成等する義務が課されました。
ローカルファイルの本質は、自社の移転価格ポリシーを定めることです
ローカルファイルは国外関連取引における独立企業間価格を算定するための詳細な情報を記載するものです。
<国外関連取引の内容に関する書類>
①取引に係る資産の明細・役務の内容
②取引において双方が果たす機能・負担するリスクに係る事項
③取引において使用した無形資産の内容
④取引に係る契約書又は契約の内容
⑤取引の対価の額の設定方法、設定に係る交渉の内容
⑥取引に係る損益の明細
⑦市場に関する分析、その他市場に関する事項
⑧関連者双方の事業方針
⑨取引と密接に関連する他の取引の有無及びその内容等
<国外関連取引について法人が算定した独立企業間価格に係る書類>
①選定した移転価格算定方法、選定理由、その他独立企業間価格を算定するに当たり作成した書類
②採用した比較対象取引等の選定に係る事項、比較対象取引等の明細
③利益分割法を選定した場合の関連者双方への帰属金額の算出をするための書類
④複数の国外関連取引を一の取引として独立企業間価格の算定を行った場合の理由及び各取引の内容を記載した書類
⑤比較対象取引等について差異調整を行った場合の理由及び方法を記載した書類等
その国外関連者との間の全事業年度の取引金額が50億円以上、または無形資産取引金額が3億円円以上ですと、同時文書化義務があります。
ただし同時文書化義務がなくても税務調査時に求められると提出の義務があります。結局国外関連取引がある企業は作成しないといけないという事になります。
2,連結総収入金額 1000億円以上の法人はさらに2つのドキュメントが必要
●国別報告事項
国別報告書は多国籍企業グループの事業活動が行われる国又は地域ごとの収入金額、税引前当期純利益の額、納付税額、資本金の額、利益剰余金の額、従業員の数、有形資産の額、グループ会社の名称・居住地国等を記載する。
●事業概況報告制度(マスターファイル)・新規
事業概況報告事項はマスターファイルと呼ばれ、多国籍企業グループの組織構造、事業の概要、財務状況等のグローバルな事業活動の全体像を記載する。
これは結構大変です。
大企業はすでに準備されてると思いますが、中小企業はスルーしているケースも多いでしょうね。
ただ中小企業も対象ですのでお忘れなく!
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