たぶんショートショート「天国まで1002m」
歩く歩く歩く…
起きたら道の途中にいた。
周りには何もない。
あるのは道と看板だけ。
看板には「天国まで1002m」
なるほど。
それにしても、なんと中途半端な距離の看板だ。
私は看板が指し示す方向へ歩き出した。
気が狂いそうになる。
周りには何もなく、風景すらない。
ただ真っ白な世界。
道以外に何もない。
本当に進んでいるのか、それさえ分からない。
ただ、疲れや人間的欲求はない。
だからこそ、歩くことへの弊害は歩くことの意味にある。
立ち止まることにした。
無理だ。
「天国まで1002m」は嘘だった。
ここは無限地獄に違いない。
天国まで1002m…
天国まで1002m…?
ああ…そうか…
私は歩き始めた。