たぶんショートショート「ラビットフット」
最初はスマホアプリの抽選だった。
いつもはハズレか1ポイントしかもらえていなかったのだが、
1等の10000ポイントが当たった。
その次はキャシュレス決済のポイント還元。
これも1等の全額ポイント還元が当たった
その次はボートレースで間違って購入した舟券。
大穴だったらしく、100万円以上の高額配当を得た。
原因は分かっていた。
豪運が訪れる前にあるものを拾ったおかげだ。
ふさふさした毛のついたキーホルダーだ。
そのときはそれが何かは分かっていなかった。
だが、「持っていなければいけない」と感じて、持ち帰った。
今ならこれが何か分かる。
「ラビットフット」だ。
昔見たアメリカのドラマだけの知識だが、
幸運のお守りとして出てきていた。
持っているだけでどんどん幸運が舞い込んでくる、そんな代物。
そんなことを考えながら、宝くじ売り場から競馬場に向かっていた。
これで億万長者まっしぐらだ。
このラビットフットのおかげで・・・。
あれ?ない。ラビットフットがない。
トラックの大きなクラクションの音が聞こえた。