勇敢な大学生はニーハイフェチ

新宿駅の小田急線西口の改札に向かって歩いていると、突然横から小柄な大学生らしき風貌の男性が現れた。

「すみません、お姉さんの履いてる靴下くれませんか?」と叩き込むように言われた私は唖然とした。女王様になっている最中は、そういう事を仄めかす子もいたけれど、日常の中では経験がなかった。

「えっ、どういう事ですか?」ときくと、「僕、女性の靴下が好きで、、特にニーハイソックスが。お金は払うので譲ってもらえませんか?」

「なんて、純粋な人だろう。自分の欲望を素直に伝えられるなんて素晴らしい!」と思ってしまった私だったが、靴下を脱いだら素足でミニスカートになるのでその姿で帰路につくのはさすがに恥ずかしいと思い断った。

ただ、きっと勇気を持って声をかけてくれたんだろうから何かしら返したいと思った私は「靴下履いたままで臭いを嗅ぐだけならいいよ。」と改札口近くにある銀行のATM機を差しながら言った。

もちろん、彼は首を縦に大きく頷いた。私が先頭に立ち、ATM機の中に今まで他人だった2人が入っていく。そして、慣れた手つきでヒールを脱ぎ、男の前に差し出すと床につくのではないかと思うくらいに身体を折り曲げて思い切り鼻から空気を吸い込んだ。ゾクゾクっとした何かが全身を走った。

この男は全身で私の匂いを感じている。陶酔している表情が堪らない。だから、SMはやめられないなと思う。

3分くらいか、外の景色が気になり始めた私は、脚をヒールに戻し日常に目を向けた。ATMを出ると、そこにはいつもの風景が広がっていた。非日常と日常の間を漂いながら大学生とは別れた。



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