「呪」ということば
9歳か10歳のころだったか、
「小説家になろう」と決めました。
活字が好きで、本が好きで、書くことが大好きでした。
自宅には両親の本棚があり、
ありとあらゆる分野の書物が、
天井までびっしりと積み上げられている・・・そんな家庭環境だったから、
読むものに事欠かない子ども時代を過ごせていました。
小説家には、残念なことにいまだなれていませんが(笑)、
活字やことばを身近に感じる仕事を続けています。
「呪」には「じゅ」、呪いという意味があります。
相手への悪意や不幸を願う意図が感じられることばです。
でも、いっとき、その矛先を自分に向けると「祈り」になります。
そう。
自分以外にかけた「呪い」は悪意になりますが、
自分にかけた「呪い」は、祈りという希望になります。
10歳のあのころ、私は自分に「呪」をかけたのかもしれません。
長い年月、解けずにいるその呪いは、
今でも大事な「祈り」として、ここにあります。
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