2020/10/24-25(日)そういえば私、「フォレスト・ガンプ」苦手だった
これの続き。
ストレスフリーなお話が好きと書いておきながらなんですが、私は「フォレスト・ガンプ」という映画が苦手なのです。今もう一度見たら好きになるかもしれませんが、映画館で初めて見た時「うわーなんてご都合主義な映画なんだ」と思ったのです。
主人公フォレスト・ガンプは愚直なまでに誠実な人物。物語中なんども繰り返される「ラン、フォレスト!」の言葉通り、流れに乗りながらただひたすら己の人生を駆け抜けていく青年。
その一方でヒロインの女の子はそのつど「己の判断で」選んだ道がことごとく裏目に出てしまい不幸な結末を迎えます。
当時の私は「へー、運命に逆らわず頭も使わずただ「素直な人間」でさえいれば成功するんですよだなんて、こんな映画を作るようではアメリカもハリウッドも終わりだな」と思ったものです(生意気だな)。己の努力と才覚こそがものをいうアメリカン・ドリームの精神はどこ行ったんだと。
正しく誠実でありさえすればおのずと幸せになれるストレスフリーな物語が好きなはずなのに、ここまでお膳立てされていると「さすがに何かが違う」と思ったんでしょうね。
その十数年後「スラムドッグ$ミリオネア」という映画を見て、なんでこんな映画がウケてしまうんだと少し悲しくなりました。これじゃただの「スラムドッグ$ラッキーマン」じゃないかと。
なお原作の「ぼくと1ルピーの神様」(絶版かも)はとても素晴らしいのでぜひ読んでほしいです。映画はこの原作の一番大事な部分、肝心かなめの力強さを完全に捨ててしまってます。
自分の頭で考えることを放棄し、ただ道徳的にいい人でいさえすれば幸運の女神は私たちに微笑みかけてくれる、そんな映画たちにはもはやなんのメッセージも強さもない。でもそういうものが総じて高評価であるということは、私たち、かなり根底から弱っていて絶望しているんだね、と。
それが10年ほど前の感想。今はどうだろうか。