頼まれてもないのに。その52(令和五年大相撲九州場所を振り返る)
ああ今場所優勝したあのお相撲さんね、あの子は霧島だよ。昔のしこ名もいい名前だったけれど、誰が見たってもうあの子の名前は霧島だね。
しかも2回目の優勝、大関として初優勝の場所が九州場所だっていうのもにくいめぐり合わせだね。日本シリーズの優勝チームにもあやかって今夜は虎斑霧島で祝杯をあげさせていただきましょうよ。
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というわけで大関霧島の2回目の優勝おめでとうございます。
13勝2敗。後半しり上がりによくなっていったのが印象的でした。
今場所は冷静に落ち着いて取れている力士たちが活躍する場所だなあと思いながら賜杯の行方を追っていました。
各力士が優勝を意識してかかたい相撲になっていき脱落していく中、霧島は15日間最後まで冷静にさばく相撲を取れていたから優勝にこぎつけたのかなあという印象です。
強さそのものよりは冷静さ、したたかさをより感じます。情熱よりも沈着。今場所のように淡々と白星を重ねていくスタイルが保てれば近々その上が見えてくるんだろうなあと。
勝負ごとはパッションという熱々系が好きな人にはちょっと物足りないかもしれないけれど、見た目だけでは内部にあるほんとうの気迫の総量は測れないものだと思ってますので。
先場所に引き続き熱海富士の素晴らしさも光りました。今場所も11勝4敗。この中に大関豊昇龍と元大関高安から奪った白星も含まれているんですから大したものです。しかも十両時代含めると4場所連続二けた勝利なのですね。
この力士の素晴らしいところは自分より強い相手にも正々堂々と今の自分の力(技術的な経験値も含め)で立ち向かっていくところ。だから14日目の霧島との対戦ではまだまだ実力的には通用しないということがはっきりしたわけで。
でも来年の九州場所でまた対戦できたとしたら今度はこりゃあちょっとわかんないぞという気もしたのです。もうちょっと体全体に力がついて攻め方のバリエーションを身に着けたら、勝敗の行方、もうわかんないのでは。
来場所は上位陣総当たりの場所。待ち構える相手側もがっつり対策を練ってくるでしょうから難易度はさらにあがるはず。さてどこまで結果を出せるか。ケガ等のアクシデントさえなければ今場所の豊昇龍や高安との相撲を見る限り通用しそうな予感があります。年明けが楽しみです。
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勝ち星を二ケタには乗せたものの豊昇龍の相撲にはまだまだムラが。一方で豊昇龍にしか取れない華やかな相撲がたまりません。今場所も何度歓声をあげたことか。なんでこのタイミングでこの技をとっさに出せるんでしょうね。
その都度いろいろ思うところがあれど誰が見てもわかりやすすぎる欠点はきっと伸びしろなんだよなあと強く感じさせてくれる大関。
朝乃山。中日からの途中出場。
出ると判断した根拠やら動機やらはこの際どうでもいいです。
いるといないのとで土俵がこんなに違って見えるんだから絶対いなきゃだめです。
存在そのものの華やかさを再認識した今場所でした。
あと毎場所12勝がノルマでしょこの人だけは(雑な無茶ぶり)。
貴景勝はなんていうか、凄いですよね。もうそれしか感想がないです。
魂で相撲取ってる。
角界の看板を背負ってる力士たち。
あとここに宇良が加わる。
宇良の相撲見てるだけで勝っても負けても幸せになれる。
もしかしたら一番肝の据わっている力士かもしれない。
宇良、来場所三役にあがれるかしら。番付の神様(いや人間です)どうかお願いしますよ。
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琴ノ若、今場所こそ優勝行けると思ってたのになあ。残念。
前半から中盤にかけて最も冷静に相撲を取れていた力士だったように思います。肝の据わり具合が見事だったのに後半乱れてしまいましたね。優勝ってどうしても力士の心を乱すのだなあと。
お相撲さん見てても、私たち自身見てても、人間ってのは心のコントロールが一番難しいんだなあというのを常に感じます。
豪ノ山、新・突貫小僧の系譜を受け継ぐ力士として名乗りをあげてきましたね。先場所今場所としっかり幕内上位に通用してるのが立派。ただ個人的には立ち合いの鋭さ勝負で一気に勝ちをもぎとる力士が多くなりすぎてるためこの手の相撲にやや食傷気味になっているところがありまして、二の矢三の矢のひきだしがぜひほしいなあとも。お師匠さんにはそれがあったからね。
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休場中の横綱照ノ富士に対しどうやら横審から最後通牒が突き付けられたようで。
初場所は出なくてはならなくなるのでしょうね。
仕方のないことです。それが横綱という地位なんだし。
横綱の先にはそれしかない。
名誉というのは元来そういう性質をもつものなのでしょう。
世の中の名誉さんたちが卑怯な言い逃れやルール替えをして延命をし続けるのを恥とも思わなくなっている今、角界だけはいまだかたくなにそれを守り続けようとしていることはもっと評価されてもいいと思います。
こちらとてわかって横綱に送り出してるんですから。おめでとうと。
考えてみれば残酷だよね。
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今年もなんとかつつがなく6場所終わりました。
大関も二人誕生したし、6場所中5場所は横綱・大関による優勝ですし唯一の平幕優勝も今場所大関に昇進してますから番付の秩序は守られているし、振り返れば実に安定してかつ華やかな一年であったなあと。
幕内中位~下位のベテラン勢が今年も若手以上に土俵を充実させてくれていましたし、鳴り物入りの若手が強いのは当たり前のこと、たたき上げの若手たちも出世して日々存在感を大きくしているのも頼もしい。
来年はどういう年になるのでしょうね。
次は誰が頭角を現すのか。主役の座をもぎ取る(あるいは奪い返す)のは誰なのか。
2024年も一人一人が実力を最大限に発揮できる年でありますように。
今年も一年ありがとうございました。
皆々様に充実した年末年始が訪れますよう。