No.1のプレッシャー

吉原で初めて働いたお店では
女の子皆が待機している部屋の一番目立つ所に
指名表が貼られていた

指名表には左から順番に、
1位、2位、3位の順で人気順に並び
右端に新人の名前が連なる

この指名表は女の子にとって
地獄のプレッシャーになる事が多く、
大抵の女の子は指名表を無くして欲しいと願っていた

私も当初はそんな気持ちではあったが、
指名を少しづつ伸ばしていた事もあり指名表はやがてやる気へと繋がっていった

働き初めてもうすぐ3年目になろうかと言う2月

私は初めて本指名1位をとった

その頃の私は数ヶ月ずっと2位か3位の位置にいて、バレンタインというイベントも利用出来たのが光をそうしたのか1位になれた

指名表には毎日、本指名の方がいた日に
自分の名前の上にハンコが押された

月末1番ハンコが上に伸びた人が1位

だから、自分以外の人の票数もわかる

女の子によっては特定の女の子には負けたくない!とか、新人に抜かれそう!とかで月末に懇意のお客様を呼ぶ女の子もいたりした

私は流れに身を任せるタイプだったので、
あと2人来たら単独で1位になれる!
そんな場面でもお客様が来たら良いなぁくらいの
構えでのんびりと過ごした

そんなのんびりと過ごした月末に、
まさかの飛び込み本指名が複数いたため
単独1位を初めて頂いた

お客様との接客が終わり、
最後に部屋を片付けていたら不意に喜びが込み上げた

今までの自分の接客が認めて貰えたような気持ちになった

お茶を引いても腐らずに、1つのお店で頑張ってきて良かったと思った

帰る時にもフロントでマネージャーやボーイさんから「1位おめでとうございます」と祝福された

マネージャーには頑張ってきたね!と励まされ、来月もよろしくおねがいします!と深々と頭を下げられた

今まで1位になった女の子達はこんな祝福をされていたのか、、

気持ちがフワフワと心地よく
家路についた私はゆっくりと身体を休めた

はずだった、、

フワフワとした気持ちで就寝した夢の中で
私は人気が落ちてしまっていた

あれほどの数の本指名で2月を終えたのに、
3月の指名は全然なくて、

マネージャーからも渋い顔をされ、
女の子からもまぐれだった?みたいな顔をされ、
お客様にメールしても皆、忙しいから。と断られた

焦る気持ちで、どうしようどうしようと悩んでいる所で目が覚めた

悪夢、、、

いわゆるプレッシャーなのだと思った

山は登るのが楽しく、山頂の見晴らしは良いが
いつまでも頂上にはいられないことを知っていた

ある意味これもNo.1にならないと解らない悩みなんだろう、、

入店3ヶ月目に天狗になって人気が落ちてしまった私に戻るなと、当時の私から忠告だと気を引き締める事にした

今でもあの日を覚えてるくらいだから、
相当な喜びとプレッシャーだったんだろうなぁ。
と懐かしい(笑)


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