統合失調症のお客様
出会ったお客様の中には様々な質問をしてくる方がいるが、わりと答えに窮する質問を昔された。
「あなたが思う社会復帰とはなんですか?」
風俗でする会話じゃないなと思った。
質問の意図は解らなかったが、私は考えて何となくの答えを用意した。
「私はニートだった経験があるので、社会復帰とは?と聞かれた時に社会に出て働く事だと思いました」
とりあえず、その時の私にはその答えしか出てこなかったが、彼の答えは違った。
「僕、ずっと精神的な病気を患っていて入院を繰り返してるんです。だから、僕にとっての社会復帰は病院から出て家で生活する事が社会復帰なんです」
なるほど。そもそものスタートラインが違うのね。
そんな彼は社会復帰後に、アダム徳永とかいうエロの伝道師?みたいな方のセミナーを受講して、男女の営みをめちゃめちゃ真剣に学んでいたのですが、
数ヶ月おきに指名で来てくれる常連になっていた。
特にその精神的な病には私もさほど興味が無かったので触れてはおらず、数回通う内にポツポツと彼が話してくれて把握していった。
彼は母子家庭で、話を聞くかぎりお金の心配はないっぽい。
すでに実家にはなるが所有の家もあり、大学院生だと言うことも知った。
彼の病名は統合失調症
ざっくり言うと現実と妄想とされるものが、頭の中でいっぱいになり、酷くなると区別がつかなくなるので入院するという事を繰り返していたようだ。
※多分、この病にも様々な形があるのでしょうが、私が話を聞いた感じでざっくりと言っています。
彼と出会って3年くらいだったが、その病に触れるような兆候を私は見なかった。
しかし、それは突然訪れた。
年末に彼のお婆ちゃんが倒れたのだ。
彼は落ち着くまで連絡しないとメールで知らせてきた。
彼は前に今は落ち着いているけど、何かきっかけがあるとガタッと傾くんだ。と言っていた。
そのメールから約一週間後、私は朝起きていつものように携帯を開けた。
メールの新着通知には200件の文字
なんだ!?これ!!
と、即座に中を見ると彼からのメールだった。
最初のメールは深夜1時。
お婆ちゃんが亡くなったらしく、動揺している。
ここまでは、まぁ解る。
問題はここからのメールが全部オナニーの実況中継だった、、、
文面にするのも笑っちゃうんだけど、
ズコズコズコズコズコズコズコズコズコ
ズブズブズブズブズブズブズブズブズブズブズブ
クチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャ
もう、なんの比喩表現やねん。
ただ、こういう文面のメールが200件あるのだ。
全部は読んでないけど、ざっくり目を通しただけで、一応3回くらいは果てて復活してまた行為に及んでいた。
ちなみに、朝読んでる途中にもまた新たなオナニー実況メールが届いていた。
とりあえず、私は他のお客様のメールが埋もれてしまうので
「おはようございます。とりあえず、一旦落ち着いてメール止めてくれますか?」
と、返信した。
そこからは、オナニーに混じって「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
みたいなメールがまた続いた。
私は再度、「謝らなくて良いので、一旦メールを止めてください。他のメールが読めないのです。また落ち着いてから連絡ください」と送った。
その日、何度かメールが来たがすべて、ごめんなさいの文字だったので、それがくる度に「謝らなくて良いから、落ち着いたら連絡ください」と根気よく返信した。
とりあえず、オナニーは終わったらしい。
オナニーの彼とごめんなさいの彼はどっちが現実でどっちが妄想の彼なんだろうと考えてしまったが、中々に体験出来ない事なので、個人的には経験値を積むような気持ちになっていた。
そんな年末から約2ヶ月後、バレンタインの日だったかと思う。
メール交換してからは姫予約のみだった彼が、私を通さずに予約をしてきた。
私はちょっと驚いたが、もう落ち着いたのかな?と彼を迎える準備をした。
ベットシーツを綺麗に伸ばして、お風呂にお湯を溜めた、非常ボタンをそっとベットから押しやすい位置に置いた。
気持ち的にちょっとヤバい状態だとどうしようかと思っていたので、襲われた時のシュミレーションもした(笑)
彼を迎えると、ちょっとバツが悪そうな顔で挨拶をしてくれた。
私は変わらない笑顔で出迎えて、彼が持っていたバッグは机の死角に置いて、凶器があれば出しづらいようにタオルも掛けておいた。
笑顔だったけど、最大限の警戒はしていた。
何が起こるか解らないからね!!
私の隠れた警戒心とはウラハラに彼は部屋に入って早々に謝ってきた。
年末は大変、申し訳ない。と。
私は別に大丈夫だよと笑って答えた。
彼は今日は謝りに来ただけだから、行為はしないし時間まで話がしたいと言ったので早々にドリンクを頼んで年末の話をした。
彼はお婆ちゃんが亡くなり、予想通りにガタッと傾いて落ち着いていたはずの病が顔を出していた。
色々な事が頭の中でいっぱいになり、自分がした事(今回でいえばオナニーメール)は覚えていたが止められ無かったこと。
そんな彼が1番驚いたのは、私が普通だったことだと言われた。
さすがにあんなメールしたから、他の女の子は途中でブロックされたり、キモいとか、しねとか言われたと。
なのに、私は落ち着いてってメールをしてくれた。
大分、気持ちが救われた。
ありがとうと言う彼の言葉を聞きながら、私も驚いた。
あのオナニー実況メール、複数に送ってたのか、、
私に200件として、他は途中で離脱したとしても数人いたわけだから、約500件近くのメールを5〜6時間で送っていたわけだ、、、
私は初めてヤバっと思った。
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