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ミュージカル『October Sky ー遠い空の向こうにー』

ミュージカル『October Sky ー遠い空の向こうにー』2021.1114.Sunday
大阪公演 大千穐楽 マチネ
in 森ノ宮ピロティホール
座席 W列 3番

翔真くんの歌声がさらに上手になってた。
目の前に高校生がいるって思わせてくれる演技。
本当に高校生だった。
ロミジュリの時も思ったけど、やっぱり演じているときは顔だけが甲斐翔真で全く別人がそこにいるって感じ。
顔だけ借りてきたみたいな。
カテコでやっと甲斐翔真に会えた!ってなるよね。


1幕目の『星見上げれば』と1幕目ラストの『星空輝いて』のロングトーンは素晴らしすぎた。
特にラストのロングトーンは力強さをすごく感じた。
仲間たちとロケットを作っている時は瞳が輝いていて、〈夢を追いかけている〉
っていうのがナンバーの歌詞からも、表情、表現全てからすごく伝わってくる。
自分の高校時代はあんなに輝いていたのだろうかって思うほどに。
ライリー先生は全面協力だし、ママも応援してくれていて
〈最高の青春を過ごしている〉
この一言に尽きるなって感じ。
一方でパパといるとき(話してるとき)は現実を見せられている
ていうのをすごく感じる。
まさしく両極端。
ホーマーもパパに太刀打ちできないというか
すごく体が小さくなっててあの185cmある翔真が小さく見えた。笑
ナンバーの中で「パパの心は星を掴むより難しい」
みたいな部分が出てきて本当にその通りだなって。なんか、パパの言い方だったら
まずは伝統が1番大事。炭鉱で働くのが当たり前。
それ以外の道なんて言語同断みたい感じで。
そして、本当は兄に炭鉱を継がしたかったのにアメフトで奨学金をつかって大学へ通うことになって。仕方ないからお前(ホーマー)には炭鉱を継いでもらわないとあかんって。
確かに親が子どもの夢を応援するのって容易なことではないかもしれない。
でも、〈お前は炭鉱を継がなければならない。それ以外の道はない。〉
なんかそれは違うんじゃないかって思う。私の目には、パパにとってホーマーは兄のジムの代わりとしか思ってないのではないんかなってすごく感じた。


パパは炭鉱に命をかけている。
〈名誉〉はないけど〈価値〉はある。 
この言葉に[本当にそうなのか?]ってすごく感じた。違うんだよ。名誉とか価値とかそんな付加価値じゃないんだよ。ただ、夢を目標を追いかけて実現させたいだけなんだよ。正直、このパパの言葉が(は)理解できなかった。


ライリー先生の
 「人間は手の届く範囲の外にあるものを掴みにいくべきである。さもなくば何のための天国か。」
っていうセリフがすごく心にきた。
たしかに外に掴みにいかないと夢も掴むことはできないし、自分の殻も破ることはできない。つまり人間の成長を止めることをしてはいけないってことを伝えたかったんかな。
「何のための天国か」
は夢を叶えるから、進みたい道に進むから最後、天国へ行く意味がある。安らかに眠れる。人生の最後のその先をむかえる意味がある。言葉に上手くできないけどそんな意味が含まれているんかなって思った。


校長先生の
「炭鉱で頭をぶつけない程度の勉強(学力)があればいい」
この言葉を聞いて、この時点でこの町生まれた子たちの未来って決まってるんだな。町と会社(炭鉱)って色々な意味で一心同体なんだなってすごく感じた。しかも、パパの
「代々炭鉱やからお前も炭鉱」
ってどうなんかな?それって違うくないか?
すごくモヤモヤが残ったシーン。
ホーマーと私じゃ生まれた時代も場所も違うからやっぱりそう感じるんだと思うけど
素直にいえばパパの言葉にイラってするよね。
だってさ、ホーマーの思いは痛いほど伝わってくるから。


1幕目ラストでロケットの打ち上げに失敗して
「これは僕の全てなんだ」
って言ってもパパに
「先生やママがなんて言おうとこれで終わりだ」
って言われて。
だからこそ1幕目のラストのナンバー
『星空輝いて』
のホーマーの力強いロングトーンが心に響くし、ホーマーのロケットに対する決意とか信念とかが観劇している側にグサグサ伝わってくる。


2幕目最初のナンバー『最後のキス』
男の人にはきっと一生分からないであろう女性側の思い。女の人の苦悩というか恐怖というか炭鉱というか現場はいつも死と隣り合わせで、家から送り出すときの想いを
「これが最後のキスかもしれない」
ってストレートに綴られててすごく胸を突き刺してくるナンバー。個人的に好きなナンバーのひとつ。


パパにロケットを作るのをダメと言われてしまったけどこっそり作り続けるホーマー。
『ムーンシャイン』
で初めてお酒飲んで4人ともベロベロやったけどそれでもすごい楽しそうでパパに飲酒したことバレてママに怒られるぞみたいなん言われてたけど
ホーマーは
「ママなら怒らないだろうなむしろ…」
って言っててなんかママのことはわかってるんだな。親子として成立してるんだなって思った場面。


しかしそんな日々も炭鉱の通気口の事故によりパパがケガをし、ホーマーは高校もやめて炭鉱で働かないといけなくなってしまうけど。
ってちょっと待って。
ここ(家)に住み続けるには家族の誰かが炭鉱で働かないとあかんってどんなルールやねん。
って素直に思ったよね。
時代なのかその地域だからなのかわからないけど……。しかもバスケの特待生で大学が決まってる兄のジムは働かへんの?って思う。
さらにこの事故でホーマーにロケットを作ってくれてたバイコフスキーさんが亡くなってしまって。ちなみにバイコフスキーさんはホーマーにロケットを渡していたために機械工から炭鉱の現場で働くことになって(バイコフスキーさん本人は給料も少し上がるから親戚に仕送りをする足しになるみたいに言ってたけど。)ホーマーはバイコフスキーさんが亡くなったのは自分のせいだってすごく落ち込んでて。
でも、パパは
「お前のせいではない。辿っていけば彼がこの街に来て、ここで機械工として働き出してってなる。お前が気にしてもどうにもならない。」
って言ってて。確かにパパの言い分は確かかもしれないけど、でもまだ高校生のホーマーにこの現実っていうのは辛すぎるし自責の念に囚われてしまうのは仕方のないことだと思う。
なんか他にもっとかける言葉あったやろ
と思わずにはいられなかった…。


パパの代わりに初めて炭鉱で働いた夜
ホーマーが「怪我人の様子は?」
って言いながら寝室に入ってきてパパと話しているときに
「ホーマー、お前の嫌いな炭鉱はどうだった?」
って聞いた後に
「思ったほど悪くなかったよ」
って返事して
「お前はすごいな」
みたいな感じで褒めたときにママが
「あなたはなんで炭鉱のことでしか褒めてあげられないの!」
って叫びながら怒ってたのがすごく心に突き刺さって涙が止まらなかった。
ママも[炭鉱、炭鉱]っていくら家族のために働いてても炭鉱のことしか頭にないパパに対して色々な思いがあったんかなとも思うし何より息子を思う母の気持ちが痛いくらいに伝わってくる。

そしてまさかの?パパが仕事に復帰してからのストライキされるという……。
本社からどんどん人員削減を言われて
炭鉱現場では人が足りないと言われ
パパからすれば板挟みで大変だったかもしれないけど、やっぱり現場で働く人の気持ちがすごくわかるっていうか
きっと炭鉱現場で働いている人からすればパパの
「大丈夫。なんとかする。俺が交渉する」
っていう言葉は綺麗事であったりその場しのぎの上辺だけの言葉にしか聞こえなかったんじゃないかなって観てて感じたというか伝わってきた。


ホーマー以外の3人はついにサイエンスフェアの全国大会へ。しかしロイリーのパパがまさかのロケットを隠してロケットがないという、、、。
ホーマーがそれを知ってパパに炭鉱を動かしてって言うけどストライキ中だから無理だって。ホーマーが家を出ていったあと、ママが
「あなたが炭鉱を動さないなら明日、私はここにいないわ。」
って言葉が母親としての色々な思いが混じってるんかなって思った。以前、ホーマーとママが話してるときに本当は行きたかった街があって(ビーケーみたいな地名。地名忘れた‪‬‪)そこに住もうと思ってたのにパパにプロポーズされてこの町に来たって言ってた。ここにいないわって言ったあとに
「その街(ママが行くつもりだった街)に行くわ」
って。パパは
「そんなお金があるわけないだろ」
って言い返すとまさかの
「コツコツ別て貯金してきた。」
というなかなかの衝撃の一言。でもそれくらい息子が追いかけてた【夢】を叶えてほしい。という思いが強かったのだと思う。もしかすると、本当は炭鉱のことしか頭にないパパに対して嫌気がさしてたんじゃないかなとも思う。
パパがママと口論した後、ホーマーとパパが家の外でぶつかり合ってときに
「パパは僕を見てくれたことがない」
強い思いでパパに訴えかけているホーマーが苦しかった。だって、今までのホーマーとパパの関係は本当にその通りだったし、前述した通り、自分にはパパにとってホーマーは兄のジムの代わりでしかないようにしか思えなかった。だからこそやっとホーマーがパパに自分の思いを伝えることができたんだっていう嬉しさも少しあった。ホーマーの中にある苦しさとか悔しさとか、どうして自分のことをわかってくれないんだって思いとか今までの人生で抱えてきたパパは対する感情があの場面で溢れていたんじゃないかな。


パパに思いをぶつけた後、ホーマーはライリー先生に会いに行って
「僕はどうしたらいいんですか先生」
と泣き縋ってるときに、実は大病であることを明かして
「どんなときでも誰かがあなたを助けてくれる訳じゃない」
と、ずばってホーマーに対して諭すんだけど。ライリー先生の発言ってすごくどれに対しても芯が通ってて、今回もその通りだしそこがまだホーマーって子どもやなって感じさせてくれる部分。
どの場面も本当にライリー先生の言葉には説得力があって
〈この人に着いていきたい〉
〈この人なら信頼できる〉
ってすごく思わしてくれる存在。
ライリー先生がホーマーたちの先生だったからこそここまでこれた。
それを強く感じさせてくれる場面だったなと思う。


結局、炭鉱も動かしてもらえて
ホーマーも復学できて
ロケットも届いて賞をとるんだけど
(なんでこんなにトントン拍子で上手いこといったんかはハテナすぎる。笑)

ラストのシーンでみんなでロケットを打ち上げるシーンはすごい感動した。
あの瞬間だけはみんなの心が同じ方向を向いてて
特にヒッカム家はあの瞬間だけは
〈家族なんやな〉って思えた。
最初、パパが来てくれなくてホーマーはショックを受けてたけど、パパが来てくれて
(えっツンデレ?って思ったよね笑)
ホーマーは発射ボタンをパパに押してって頼むとパパは断ってたけど
「パパが見てるだけの男だなんて思わなかったよ」
って茶目っ気いっぱいに言ってパパに発射ボタンを押してもらって。
翔真くんがカテコで話してたけど、これからどんなことがあってもきっとあの瞬間だけは〈幸せ〉でいっぱいだったと思える空間だったなっていうのが伝わってきた。



夢も希望もみせてくれる作品。
でもそれと同時に絶望もみせてくれる作品。
そして勇気を与えてくれる作品。
ひとりの男子高校生が父親との関係に悩みながらも、ロケットを通して仲間と共に夢を追いかけ、共に成長していく姿は今の時代にも今とリンクする部分もたくさんあって舞台は1950年代なんだけど今の世の中も写してるようなそんな作品だった。



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