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人工林の科学(スギ・ヒノキの森と土砂崩壊のこと)

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シリーズで書いた『人工林の科学』講義編・調査編をマガジンにまとめました。林業に関わる方必読の内容です。
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#スギ・ヒノキ

人工林の科学/あとがき

日本の人工林地は救えるのか? 1ha当たり5000~6000本植えという、本州の一般的な植林密度の2倍近く密植している紀伊半島の人工林。なのに間伐は遅れ、巻き枯らしもされず、それでも風雪害に遭わず超線香林状態で立っている。そうして世界に冠たる「褐色森林土壌」の表土が、大雨の度に流されている。もちろん木は太れなくてヒョロヒョロ。やがて次々に土砂崩壊が起きている。これはもう、世界最悪の森林施業の失敗例といっていいのではなかろうか? 限界成立本数を超え、普通なら枯死木が多数出る

人工林の科学/調査紀行編5・最終回(熊野古道の崩壊地と谷の冷風・三重県〜奈良県側の崩壊地と土砂に埋まる川の変遷2013.7.24-26、コラム「熊野の川でエビを獲る」)

優良ヒノキ林の2倍の過密度/熊野古道の崩壊地 翌日は熊野古道の崩壊地を回った。当時、新聞記事にもなった三越峠の先にある所で、区間でいえば中辺路ルートの湯川王子と発心門王子の間にある。案内していただいたK さんは、熊野古道が世界遺産になるずっと前からをこれらの道を縦横に歩かれている大ベテランである。 下草の少ない密なスギ林(それでも最近伐り捨て間伐を施した跡がたくさんある)が続く。サワガニやカエルに出会いながら進んでいくと林内に石垣が見え、廃屋が現れてちょっと驚いた。 山