「旅する土鍋 ポーランド編①」ポンチキな「あぶらの木曜日」
「あぶらの木曜日」
ぎょっとするような木曜日だ。今年は2/28日であったようで。
復活祭前のポーランドでの行いのひとつで、断食前に脂っぽいものを食べる=「ポンチキを食べる」習慣となっているそうだが、この「コンチクショウ」でも「ポン吉」でも「ファミチキ」でもない「ポンチキ」(Pączki ポンチュキとも聞こえる)というお菓子のネーミングが、宗教色に反してどうにも陽気だし、お菓子もお店もかわいらしい。
「ポンチキ」は断食前の準備食
四旬節(復活祭の46日前からというキリストが死から復活するまで)の祈りの期間には、断食をふくめ慈善など様々な悔い改めの業がある。残念ながら信者でないので詳しい話は慎むが、宗教と食、工芸は切り離せないものだ。
この「脂の木曜日」を受けて翌週の水曜日が「灰の水曜日」(復活祭40日前の断食)。この日にむけて脂を摂取したというのが謂れであるが、皮肉なもので、断食日の朝はポーランドの地を離れる日であった。ふんだんに脂を摂取したというのに。
※アイルランド、英国、カナダなどで「灰の水曜日」の前日を「パンケーキディ」としているのと同様な意を持つものだろう。
さて、この「ポンチキ」。要は揚げドーナツで、雰囲気はミスタードーナツのエンゼルクリームのような感じ。クリームが出てくるかと思いきや、ベリーやオレンジやローズのジャム入り。イタリアの甘いドルチェを食べていればそれほど驚かない甘さだし、昔なつかしい昭和の給食に出た揚げパンを思えばそれほど脂っぽくもないが。
(上下写真:南ポーランド古都クラクフにて)
「ファボルキ」も脂菓子の仲間
脂っぽいお菓子としてもうひとつ「ファボルキ」というお菓子を食べる場合もあるようで。これまたツイッター用語「ファボ」を彷彿するようなネーミング。
立ち寄ったカフェで「ポーランドの伝統菓子をチョイスしたい」と言ったらおすすめしてくれたもの。これもイタリアのボローニャ菓子「クレッシェンティーナ」という揚げ菓子のほうがガッツリ揚げ物!だったので、甘くなくて軽~い!なんて思ってパクパク食べてしまったが、それが「あぶらの木曜日」御用達だったのかぁ。
工芸も食も、宗教抜きでは語れない。イタリアをはじめ、リトアニアやポーランドの伝統文化のなかにも色濃く宗教色(キリスト教のみならずユダヤ教など)が映し出されている。
「素材の香り」や「宗教の厳かさ」は町中に漂っており、それを実感するために現地に赴くのが、旅する理由のひとつなのだ。
最後におまけ:こんな早食い競争まで!