東京生まれの土鍋コッチョリーノ最後のご納品 #まいにち土鍋
2019年12月、土鍋コッチョリーノワークショップを行った。小さな土鍋から「旅する土鍋」の特大サイズまでを使って蒸し料理をつくりながら、土鍋の魅力について語り合い、土鍋の疑問や料理の仕方の意見交換をするという会だった。
それは世の中を大嵐にまきこんだ直前のことだった。
当時、嵐のことなんか私たち何も知らないなか、マサチューセッツから一時帰国された佐藤政人氏も参加してくださった。わわわわ、遠くからありがとうございます!と、鳥肌が立つほど感激したことを覚えている。参加者のなかでも「あ!佐藤さん!」とさすが知名度が。
ライターのお仕事でアウトドア関連、伝承料理の取材など数多くなさってきた上、人種の坩堝であるアメリカにお住まいであるからこそ書ける内容ばかり。1999年に渡米されたとのことで、それはちょうど私が92年からのイタリア滞在から日本に帰国した年だ。
2年半ぶりのご帰国。
悪天候のためフライトが1日遅れ、ご到着翌朝のアポイントメントであったにもかかわらず、佐藤氏の目は輝き、これぞ気張らないエネルギーというような生きた塊をぽんぽん空中に放っていらっしゃった。すごいな、尊敬に値する。
あの日、受注いただいた土鍋を、2年半ぶりにお渡しすることができた。それは奇しくも東京での陶芸仕事のラストとなった。東京から地方に引っ越す便に乗らずに、このタイミングでお渡しできたなんて、東京生まれの土鍋コッチョリーノ最後の意地だったかもしれない。
佐藤氏と、ほうじ茶を飲みながら色々な話をした。共通する話や興味ある話が多すぎて確実に時間は足りなかった。次回の帰国の際は、共通の町にて。その次あたりは森の工房にて、アウトドア的な料理をしましょう!と約束をした。
そう、コッチョリーノは生きるための森を目指すのだ。なき道をつくることから。
8月25日(木)
蒸す「土鍋コッチョリーノ特大」