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土に還るお弁当箱

クラウドファンディングにて支援させていただいた、野上優佳子さん(弁当家)が手掛けたBENTO box COFFEE で、せっせと塩麹を醸している。


土に還る

このお弁当箱は竹粉とコーヒーかすからできている。植物繊維により成形可能である「プラントファイバーセラミック」という新素材であり、土中にて、完全生分解するらしい。


食べやすくて洗いやすい

ほぼ毎日×15年間、息子にお弁当をつくってきた。正確に言えば、わたしが前半9年ほど、後半6年ほどは家人が担当したが、ふう〜良き思い出だ。


入園前の説明会で、園長先生が「値段は高いけれど耐久性があり一生使える」と、ステンレスのお弁当箱を薦めた。あの時代からサステイナブルな物の考え方を取り入れる園の考え方は、今も親子の中に生きているなあと。

さらに園長は「プラスチックより油汚れが簡単に落ちるので、子どもにとっても洗いやすい」と加えた。「子どもが洗う」(幼稚園児)という思考が目からウロコ!で、さらには、角がほどよく丸い形状は「食べやすいし、洗いやすい」というのも、自立を援助する良きデザインだと感心した。


結果、燕三条の工房アイザワのステンレス弁当箱を、年齢にともないサイズアップした3つを、必要に応じて使い分けながら、高校生まで15年ずっと使った。


話を戻すと、今回の、BENTO box COFFEEも、汚れがつきにくく洗いやすいポリッシュ加工だというし、角が丸くて、長年愛した弁当箱の形に似ていたので嬉しかった。こういうディテールとっても大事ね。


(ステンレスお弁当箱/小学生のある日)


手放すときまで考える

BENTO box COFFEEのコンセプトに、そう書いてある。

入園前「子どものお弁当が終わる日」をふと考えた。子どもは手を離れ、長持ちする弁当箱が残るのだろうな、じーん。想像できない未来を描きながら。ステンレスならば、役割を果たした後も使えるから甲斐性あるよね、なんて自分を納得させた。

件のBENTO boxは「土に還る素材」であるから、未来の想像はさらに膨らむ。

やさしい素材は理屈だけでない

SDGs(Sustainable Development Goals)をファッショナブルに語る傾向がどうも苦手で。「環境にやさしい」を軽率に語るのも好きでない。映画THR GREEN LIEを観て、へそ曲がりのへそはさらに曲がって一回転して迷い込んだけれど、進まなければ地球は手遅れになると確信した。

好感度が高いプロダクトであるからこそ、本音も書こう。しっかりした質であるからこそ、重量がある。小さな子どもや、学業の荷物と一緒に持ち歩く学生には、少々気になるところだが、その質感は上級である証であること間違いない。

現在、我が家の使い方は『保存食のための箱』。目下、手づくりした麹に塩を混ぜて発酵を進めている。使い切れる量がいいし、冷蔵庫で保存する時は密閉して使える。プラスチック保存容器は、どうも匂い移りが気になっていたので、香りが命である麹にもってこいだ。毎日攪拌するのに、あの角が丸い形状が好都合。キッチンのカウンターにも置いておけるモダンな保存容器はなかなかない。


やさしい素材というものは、理屈だけでない。
行動と実感が先行すべきなのだ。


コッチョリーノ 我妻珠美

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