自動車学校で最高の教官に出会った話
大学一年の夏休み、地元に戻って車の免許を取るために自動車学校に通うことにした。その時に出会った教官の話。
教官の名前は青山さん(仮名)、40代男性で色黒がっちり体系の坊主頭。
男女関係なく物事をはっきりきっぱり言うタイプで高校卒業したばかりの19,20の子からしたら「怖い」「苦手」という印象を持たれるような人。
はっきりいって第一印象でかなり損してる(笑)
私も1回目の実技講習の時は青山さんの放つ雰囲気に緊張した。
でも3回目の実技講習をする頃にはすっかり打ち解け、ため口で話すくらいにまで仲良くなっていた。(19の小娘が20以上年の離れた人にため口なんて失礼な話だけど…💦)
青山さんとはプライベートのことも何でも話すくらいに仲良くなっていた。なぜここまで仲良くなれたのは謎だが、きっと馬がとても合う仲、性格同士だったんだろう。
ある日、実技講習を受けるために外の待合場で青山さんを待っていると他の教官たちが先に来てそれぞれの担当生と雑談をしていた。教官の中には20代や30代前半の人も多く、仲のいい教官と生徒同士で恋愛話等もしていて、まるで小さなサークルみたいだった。端から見てもみんなの仲の良さが伝わってくる。
数分遅れて青山さんがやってきた。すると若い教官たちは青山さんに気づくなり一斉に講習車のほうに生徒を連れて散っていった。まるで青山さんを避けるように。
講習の合間の休憩中、私は青山さんにそのことを話した。
「さっき講習始まる前、青山さんが来た途端直前まで楽しそうに話してた教官たちが一斉に散っていったよ。青山さん、怖くて避けられてるんじゃない?笑」冗談交じりにそう言った。
青山さんは「知ってる。俺は公私混同しない。仕事とプライベートはきっちり分ける。」「職場に一人はこういうやつ(怖がられる・嫌われ役)も必要なんだよ。」そう言った後に続けてこうも言った。
「あいつらに嫌われようがどうでもいい。俺のこの先の人生にはこれっぽっちも関係ない。」
この言葉を聞いて私はなんて心の強い人なんだろうと思った。
もちろん職場の人とコミュニケーションを全くとらないというわけでもないし、仕事の話や報告・連絡・相談もしっかりしている。
もし私が青山さんの立場だったら職場での自分の立ち位置に耐えられるんだろうか?
マインドセットがここまでしっかりしている人に私は初めて出会った。
この日以来私も青山さんのこのマインドを真似することにした。
環境やステータスが変わるたびにいろいろな人、様々な考えを持った人に出会う。もちろん中には意見が合わなかったり苦手だと思う人にも出会う。
でも学生の時のように気の合う人たちとだけ関わっていけばいいというわけにもいかない。
そんな時私はいつも青山さんの言葉を思い出す。「もしこの人に嫌われていたとしても私のこの先の長い人生においてはこれっぽっちも関係ない。」
実際には仕事上どうしても関わっていかなければいけない相手だとしても、この言葉を知っているだけでどれだけ心の軽さが違うだろうか。
私に最高の言葉を教えてくれた最高の教官。
今は自動車学校の教官をやめて違う仕事についているらしいが、どうかそこでも青山さんらしさ全開でいてほしい。