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こうしてHPリニューアル作業は迷走した(4)
このようにして、ホームページ・ビルダーで作成した新たなホームページは検証を経ることなく、本番環境で公開されることとなりました。
前回触れましたが、この段階では、ワードプレスをシステム基盤のようなものと考え、エディター機能がないと誤解していました。そこで、新たなブログ記事を投稿するには、ホームページ・ビルダーで新たな投稿ページを含むホームページ全体のファイルをPC上に作成、ホームページのトップページ以下の全ページのファイルをPCからサーバーにFTP転送、サーバー上の全ファイル(差分の新たな投稿ページだけではなく)を置き換える作業が必要だと考えてしまいました。
また、検証不十分であったことから、問い合わせフォームから主に海外からのスパムメールが大量に届いてしまい、一時的に問い合わせフォームを外さざるを得なくなってしまいました。
ここで、何故、私が、最初にホームページ・ビルダーの製品機能とワードプレスの機能を調査・確認しなかったのかについてご説明しておきます。
前々回の自己紹介でもに触れましたが、私はシステムの専門家ではないのに、中途半端なERPパッケージのコンサルタント経験があったことが、このような事態を招いた背景事情としてあります。
私がERPのコンサルタントをしていた20年ほど前は、国産のERPで多業務の機能が一応備わっているということでは、NTTデータと現在のSCSK(当時は住商情報システム)のパッケージが上市されていた程度で、ERPとしては、国内でもやはり、SAPが主流でした。ちなみに、私が駆り出された米国製のパッケージも一応は、購入~在庫~製造(MRP)~販売~会計業務の機能のモジュールを備えていたのですが、会計に関しては、国内ではアドオンなしに使うのは困難なようなものでした。
また、当時は、SAPのR/3に関しても、管理会計(当時はCOといっていましたが、現在は知りません。)などは、管理帳票のみでなく、ユーザーインターフェイスの入力画面すら日本語に翻訳されていない状態でした。マニュアルも良く分からないものしかなく、テスト環境で試行錯誤して機能を確認しているような状態でした。
私が扱った米国製のERPパッケージに至っては、本国で作成した古いバージョンのマニュアルらしきものが入手できる程度であったことから、自分でテスト環境を作成して試行錯誤して機能確認をおこなっていました。特に当時はローカライズがまともにおこなわれていなかったことから、日本語のダブルバイトの問題もあり、本国に確認しても検証は不可欠ではありました。
また、私が駆り出された米国製ERPの全てのプロジェクトで、サーバーはオラクルに吸収合併された当時のサン・マイクロシステムズのUNIXサーバーを採用していました。このサーバーは、Solarisという当時としては革新的なGUIの管理システムを搭載していたこともあり、私のような者でも、本番環境のサーバーにパーテーションを切ってテスト環境を簡単に作成することが出来たことも、試行錯誤しての機能確認を可能としていました。
このような数少ない経験から、私には、「他人の作ったパッケージソフトの中身を机上で理解するのは困難。結局は、とりあえず作ってみて試行錯誤するしかない。」という偏った考えが形成されていたのです。
そのような偏った考えと前々回触れました拙いスパイラル型開発の知識から、ホームページのリニューアルについても、とりあえず、作ってから修正を加えていくということになったのです。
話を戻しますと、ホームページ・ビルダーで作成したホームページに本番環境を移行してみたところ、一応は、レガシーのホームページの情報は移行されてはいるものの、私のセンスのなさからくる趣味の悪いデザインなどから、何か変で、到底事務所の紹介ページとして公開し続けられるものではありませんでした。
また、上述のように、スパムメールの一応の対策として、問い合わせフォームを削除していたのですが、問い合わせフォームは法律事務所のホームページの機能の中でも重要度が高いことから、いつまでも問い合わせフォームがないままにしておくわけにはいかないという事情もありました。
主にこの2つの事情から、ホームページ・ビルダーではなく、別のソフトでホームページを再リニューアルしようということになりました。
この思い付きが更なる迷走を招くこととなっていきます・・・(続く)