また違う形の未来を知れた日
この人工授精がダメだったら
体外授精へもう一度ステップアップすることになりました。
もう採卵はしないと決めたけど、
先生の大丈夫を信じてもう一度チャレンジです。
ただ、今回は初めての自己注射もあって
不安要素がいっぱいです。
そんな時に夫の職場の上司、つまり私の元上司と食事に行くことになった時の話です。
すごいなぁ。1人くらい分けて欲しいわ。
上司は50代男性でご夫婦2人で暮らしている。
お子さんがいないことはみんな知っているが、
どんな経緯があったとかはもちろん聞いたことがなかった。
私たち夫婦が不妊治療していることを
もちろん知っているし
特にそのことについて話したこともなかった。
美味しいご飯に夫と上司はお酒を飲み、
そこそこ出来上がってきたころ
私の元同期つまり、夫たちの部下にあたる女の子から出産報告のLINEがきた。
その子はなんと5人目の出産。
新卒からずっと働いているがなんせ5人も産んでいるのでまともに働いた期間は短い。
私は夫と上司にも報告した。
「〇〇ちゃん産まれたみたいです」
「おー、すごいなぁ。1人くらい分けて欲しいわ」
上司がふとそんなことを漏らした。
初めてだった。
いっぽう夫は
「たくさん子ども生む人ってなんか共通点ありますよね〜パワフルというか、何とでもなる〜みたいな」
と。
すまんなぁ、ぐちぐちの悩むタイプでと思いかけていると、
「あー。そうなんかなぁ。じゃぁうちの嫁さんには無理やなぁ」
と上司が。
え?どうした?どうした?
今日はやけにセンチメンタルやん!
となったが、
話好きな上司は聞いて欲しいかったのか話し出した。
「この前の日曜日に嫁さんの方の甥っ子の結婚式があってな…」
内容を要約すると、
上司の奥様のお姉さんの子ども、
つまり甥っ子さんがご結婚され、その結婚式に参列したとのこと。
奥様は張り切って、留袖を着るために
着付け教室に通ったりなど気合いが入っていた。
気合いが入りすぎて
その翌日から熱が出たくらいだったとか。
奥様はお姉さんとの仲はあまりよくないが、
甥っ子さんたちはかわいがっていた。
自分に子供がいなくてお姉さんにはいることが今までもいろんなタイミングで落ち込むことがあったようだ。
そして、甥っ子の結婚式を終えて家に帰ってきた奥様と上司。
「なんか、複雑な気持ちになったんよね。自分たちは親にはなれなかったからね。今も幸せやし、子どもが全てじゃないけどね」
情緒不安定な私はその話でもう涙。
いろんな思いがわかりすぎた。
その話をきっかけに少し踏み込んだ質問をした。
「諦めようとかいう話はしたんですか?」
そんな感じのことを聞いた気がする。
「別に諦めようとか話し合いしたことはないよ。僕らの場合は、いわゆる医療の力?を一切使わずに、自然に任せようってなって、それでずーっときた感じなんよね。別に2人で話し合ったことはないけど、お互いなんとなく、体外授精とかしてたらもしかしたらって思ってると思う。幸せは幸せやし後悔とはまた違うけど、やってもよかったんかなぁとは思ったよね。
がんばってると思うし、ただ子供がおる人生が全てじゃないってことは思ってたほうがいいよ。
幸せに楽しく生きてるし、お金はいっぱいあるよ」
最後は冗談まじりにそんな話をしてくれた。
私の周りには独身の友だちか子持ちの友だちしかいない。
身近な親戚にも子なし夫婦はいない。
子どもが欲しかったけどいない人生を歩んでいる夫婦はもちろんいない。
複雑な気持ちになった。
やれることはやるほうがいいと思う気持ちにももちろんなった。
ただ、自分と同じように自然にと信じて頑張ったけど子供はできなかったけど、幸せという未来もみえた。
どんな結果になっても
どんなやり方を選んでも
共通しているのは
夫婦で決めるということだ。
夫婦で生きていく
夫もいろいろ思うことがあったんだろうか。
あれから優しい。
頑張ってほしいんだろうという気持ちが伝わるからこそ、
逃げられない。
がんばるしかないのだ。