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令和ロマン 高比良くるまから目が離せない。

「お笑いに戦略を持ち込んだ」

僕が令和ロマンの高比良くるま君から目が離せなくなったのは、この発言に衝撃を受けたからだ。

初めての出会いは、2024年12月20日。

大学四年生の私は、卒業論文を棚に上げ、「やることねえー」「退屈だなあー」と思いながら毎日を過ごしていた。

やるべきことがあるくせして、やることねえなと思ってしまう人間の目の背け方には見張るものがある。


そんな時のこと、
暇なのでNetflixでも見るかと今日のドラマ・映画トップ10をスクロールする。

そこに、M-1グランプリはあった。

お笑いかあ。

TikTokやyoutubeでラランドや粗品を見ることはあっても、シンプルな漫才を見た記憶は遠く薄い。


2023年の王者が令和ロマンでどうやらサーヤと仲がいいらしいぞ。
くらいにしか思ってなかったが、とりあえず見てみることにした。

トップバッター令和ロマン。

題目「少女漫画」

メガネの男が相方に近づき、我々に話しかける。

「この方は、相方の松井ケムリさんといいまして、もみあげが繋がっているんですけど、理由わかりますか」

「これ、顔の周りをぐるっと囲うことで、日本から独立しようとしてるんですよ。」

「そんなわけ、ねえだろ。」

「歩くタックスヘイブン。」


このやり取りで、完全に飲み込まれた。


38マイクに向かってねっとりとした語り口。ケムリさんに近づき、ねっとり。
この違和感が視線を釘付けにする。

そして、近年流行の知性ユーモア
と思いきや、そこから怒涛の日体大演出。

舞台を大きく使い、誰よりも「楽しませてやる」「盛り上げてやる」という気持ちが伝わってくる。

優勝後すぐ「来年も出ます!」と高らかに宣言するくるま。

変な人がいるなあと思った。


2023年のM-1を見終わるとすぐに私は、YouTube、TikTok、SNS、noteで「令和ロマン くるま」と検索をかけまくった。

そこで出会ったのが冒頭のセリフ。

「お笑いに戦略を持ち込んだ。」

何だろうこのワクワクする、キャッチフレーズ。

彼を調べるとその戦略の意味と人間性が垣間見得た。

「M-1で優勝したいわけじゃなかった、ただ大会が盛り上がればいいと本気でおもていた。」

「俺はM-1のために何ができるのか、それを考えて一番盛り上がるネタをやる。そのために出番を考えて4本ネタを提出した。」

「俺はM-1を盛り上げるために神に生かされている、何か意味があるに違いない」


視点が1芸人の域を超えている。
もはや運営や経営者の視点。


強大な、何か変態的な、底の知れないものを飼っているような感じがした。


サーヤ特番「友達がおめでた」の投稿で面白い発言があったので共有する。


サーヤ「M-1とったけど、これからどうしていくの?」
くるま「お笑いのポテンシャルを最大化したいから、吉本の社長になりたい。」
サーヤ「爆笑」
くるま「お笑いとかエンタメのニュアンス運営を変えたい。ロジックとニュアンスの橋渡しできるのは自分しかいないと思っている。」
サーヤ「そうなんじゃね、わかんないけど笑」


ここまでお笑いを理論で考えられるのは、高比良くるまという男だけなのかもしれない。

自分の利益を追求するわけではなく、
「M-1を盛り上げたい、最高の舞台にしたい」「俺らがテレビに出るより、他の人が出た方が面白くできるならそこを優先したい」
というお笑い界全体を俯瞰して見ているこの男なら吉本の社長にだってなれるのかも知れない。

視点がやはり1プレイヤーでは収まっていない。
経営者的視点とでもいうのだろうか。

粗品はくるまとの対談(漫才過剰考察)で、高比良くるまの底知れなさを
「変態やん、お笑いに魂を売ったんやな」という文言で表している。

一般人の私は粗品も十分変態的に見えるが、その粗品でも「変態的だ」と表現せざるを得ない、高比良くるまの異常性が際立つ。

また、「友達がおめでた」内で好きなセリフがある。


「この世のエンタメって俺とお前を(くるまとさーや)をほっとけるほど余裕ないと思うぜ」

二人だったら天下取れるんじゃない?」


ポエマーで厨二病だと思った。

でも、どこまでもお笑いやエンタメにまっすぐなことが伝わってきた

この変態的なお笑い奉仕精神と、厨二病と思えるほどの使命感。

お笑いを心から愛する純真さと、底知れない変態さ

ニュアンスお笑いを「俺が論理で面白くするから、芸人は個性磨いて馬鹿をやれ。」といえるのは、この男だけな気がしてきた。


吉本の社長じゃなても、お笑いのシンギュラリティになることは間違いないだろう。


そして、M-1も二連覇するが、その話はまた後日しようと思う。

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