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移動時間をどう活用するか(2)

北の大地の入場券86駅全部行ってみたシリーズ。
12本目のトピックは「移動時間をどう活用するか」の後編です。
前回は平常時の状況について、自分の考え方を述べましたので、
今回は非常時やトラブルに遭遇したときの考え方を述べます。
★(1)はここから

旅に関する非常事態というのは、大きく分けると旅行開始前と旅行中(旅行開始後)に振り分けることになります。まずは旅行開始前の話から始めます。

例えば「わがまちご当地入場券」が発売されていた2018年の場合は、6月に大阪北摂エリアの地震と9月の台風直撃による関西国際空港の機能停止、それに加えて北海道の厚真町周辺を震源とする地震と発電所停止による全停電で9月・10月の大幅な旅程変更に追われました。

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今年(2020年)は言うまでもなく、新型ウイルスの感染症拡大に関連する旅行計画変更が該当することになります。
旅行する本人が感染したとなれば、自動的に全旅程がキャンセルとなることで話の決着は付いてしまいますが、2月末の緊急事態宣言や5月下旬の大都市圏を除く緩和措置、6月・7月の全国的な緩和と一部活動の制限継続などと日夜更新されている情報の中で、公共交通機関も運休や再開、臨時便の追加や定期便の間引き・運休などの変更が連日繰り出される展開となりました。

筆者もその影響は多大に受けており、2月時点で予定していた業務上の遠征(近畿地方外の仕事)は未定のまま無期限延期・休止となったものが9割近くにのぼり、残った1割も参加率が限りなく低い結果となりました。
実際に2月末、3月初旬、3月下旬と6~7本の新幹線を利用しましたが、朝の7時台上り「のぞみ号」の車内は指定席車両の乗車率が10%もない。

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このような状況だったため、東海道・山陽新幹線は4月から大幅減便(臨時列車の全運休)となり、必要な外出であったとしても制約の大きい旅程になっていたものと推察されます。

航空はさらに動きがあわただしく、緊急事態宣言の緩和が進んだ6月以降も運休や減便が立て続けに発表され、連日で旅程変更を余儀なくされる展開も複数回ありました。
(一例:スカイマークの減便のお知らせ(抜粋))

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こうなると、打てる対応は「全旅程をとりやめるか」か「許容できる範囲で旅程を組み直すか」になります。
筆者の場合は「人と会う予定はないが期限が切られている」旅程なので後者しか選択肢がありません。
となると今回のような渡道が絡む旅程だと、代替の便で用を為すことが可能なのかどうか、不可能である場合はどうするか、を思案することになります。

今回の「北の大地の入場券を求めて」の4回の旅の場合は、1回目と2回目がこの大幅組み直しの対象となりました。

1回目は初日午後関空発→3日目夕方関空着の予定だったものが2回の変更をはさんで初日朝イチ関空発→3日目夕方関空着に変更。往復ピーチ利用で変更可能運賃での購入だったため、手数料や追加運賃は不要でした。レンタカーについては出発日まで日数があったので、一旦キャンセルして予約を取り直しました。

2回目は初日深夜千歳着→3日目夜千歳発の予定だったものを初日朝イチ千歳着→3日目夜千歳発に組み替え、道内の滞在時間を大幅に増やしたことでレンタカーの使用日数を追加、予約車種も変更したためその分の料金が追加となりました。ホテルについても深夜着によるお迎えが不要となった一方で、レンタカーを停めるスペースの有無を合わせて確認するために、現地に電話して変更かたがた確認を済ませています。

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これらとは別に仙台へ向かう旅程も年頭から練っていたのですが、こちらは2月・3月・5月・6月と変更と検討を重ね、7月中も3度組み直してて8月末にようやく旅程消化を達成しました。
実は8月にも往路の航空便が出発2週間前に減便が決まり、予定を繰り上げたというオチまでついてきています。
(9/2出発予定の往路便が取り消しとなり、同じ時間の8月の便に振り替えた。
復路便は変更可能運賃の予約だったので、無手数料で日程を繰り上げた)

いずれにせよ、これらは「次善の策」がうまく機能すれば報われる場面も多いのですが、ここしばらくのように直近の状況すら読めないご時世だと、なかなか難しい事例も出てくるかと思います。
それでも、新たに余裕が生み出されたり、2回目の旅程のように初期のものでは無理だったことが可能になるような旅程に組み替えられるならば、むしろこういった場合のピンチはチャンスにつながるとも言えそうです。
案外、旅行開始前の旅程変更で必要なのは、旅程そのものの時間よりも「それを組み直すための時間」なのかもしれませんね。

一方で、旅行開始後のトラブル発生時はどう過ごすか、という話。
こちらは基本的に「進めたい旅程が進まなくなった」、すなわち「足止めを食らう」ことが大半のケースになるかと思います。
そして、これらは「その事態に直面した場合」と「近い将来、それに巻きこまれることが想定される場合」に分かれます。

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わかりやすいのが人身事故による列車の抑止だと思います。

乗っていた列車が人やけものと接触して、その処理に時間がかかるのが前者。その処理の影響で乗る予定だった列車が来ない・動かないのが後者。
もちろん、列車や機材が不具合を起こしたり、自動車専用道で事故が発生したりした場合でも同様です。

一般的に、けものと衝突した場合は数10分で片付くことが多いようですが、人身の場合は1時間では済まず、90~120分以上かかることもよくあります。踏切事故などで自動車のような機械類を巻きこんだ場合は更に時間を要することもあります。

そしてまずは「直面した場合」。これはどうしようもありません。待つしかない。
ただ、どのくらい時間がかかるものかを知っていれば、当事者でない限りは何ができるかに思索を巡らせることが可能です。情報は目の前にあるのですから、処理に関わっている係員もしくはそれに近い人物から情報が上がってきますので、それを適切に吸い上げることが待つ側の役割となります。
言いかえれば、このときのムダな動作が「情報端末から情報を得ること」。
目の前が最新情報なのですから、端末をいくらいじっても欲しい情報は手に入りません。はっきり言ってバッテリーやリソースの無駄遣いです。
とにかく動きがあるまで待つしかありませんので、貴重品の扱いに気をつけて、本を読むとかそれこそ端末に入れてあるゲームアプリに入れこむぐらいでちょうどよいかと思います。

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これに対して、多様なケースが考えられる一方で展開が読みにくいのが後者の「近い将来、それに巻きこまれることが想定される場合」。
こちらは現状で手に入る情報をどれだけ咀嚼できるかがカギとなります。

ここでは「筆者の場合、どうしているか」に基づいて述べますので、これに乗っかって動いた結果「話が違う!」となっても筆者は一切責任を負いません。予めご理解いただいた上でご高覧ください。

まず、「乗りたい便が動いているか、否か」
動いていれば、知りたいことは「何分後に来るか」よりも「どのくらい遅れるか」の方が重要になります。
そしてこの情報は間違いなく、現場は知りません
もう一度言います。「現場はどのくらい遅れるかは『知りません』」。

理由があります。

リアルタイムで動き始めている状況というのは、当然ながら非常事態下にあります。ですので、所定との比較対象になるべき情報が現場にない以上、「いい加減なことは言えない」というわけなのです。
現場の人が読んだらお叱りを受けるかもしれませんが、振替輸送がどうなっているかすら、最近の駅係員は把握していません。ましてや運転士や車掌さんはなおさら知り得ません。
現場最前線だからこそ、目前の業務に全力で当たっているのですから、冷静に考えれば当然のことなのですが、一部の声の大きい【御乗客】がその最前線を停滞させることも多々あるのですから、たまったものじゃない。

ならばどうするか。

スマートフォンやタブレットをお持ちの方は、ここでwebページを見ることで「その時点での情報」が手に入ります。近年各社で競うようにupしているのがリアルタイムでの運行情報をビジュアル表示するアプリで、例えばJR西日本だとこのような感じで表示されます。

Screenshot_2020-11-08 JR京都線:JR西日本 列車走行位置

もし乗りたい列車が遅れていれば、アイコンに+5とか+18というように分単位で遅延時間も合わせて表記しているので、いつも利用している路線であれば、あと何分ほどで乗ることができるかわかります。さらに目的地駅まで調べることができるのであれば、列車の詰まり具合などを思考に乗せることでどのくらいの遅れで到着できるかも予想しやすくなります。

ちなみにこのアプリ系の共通の課題は、「あくまでも目安であって正確な情報ではない」ということ。
「では役に立たないではないか!」ということではなく、“駅にその列車のアイコンがあるから停車中なのだ”ではなく、”とっくにその駅は発車してしまっている”こともあったり、”駅の手前の信号で入線待ちをしている”こともあるという程度の内容です。
短絡的に目前の情報を見て振り回されるのではなく、データの特性を踏まえて利用すれば、これほど優位性の高い情報は今のところありません。

一方で「動いていない場合」は再開の目途が立っているか、そうでないかに判断の基準が移りますが、筆者の場合は、たとえ目途が立っているとしても「動いていないのが事実」である以上、そうでないものとして判断を下しています。

結論、動いていれば「いつ来ていつ着けそうか」を判断する、動いていなければ「待つか別の手段を講じるか」を判断する、で決着です。この判断をいかに早くできるかは、別の機会に述べたいと思います。

では、次は「どうすればトラブルを回避できるか」の判断です。
まず選択肢が1択しかない(他の交通手段がない、その路線を利用することそのものが目的、自然災害などで詰んでしまっている)場合は、それに寄りかかるしかありません。

でも他の選択肢がある、とすればどのような選択肢があるのでしょうか。
考えられるのは、
・並行している路線を利用する
・タクシーを使う
・歩く(必要に応じて走る)
あたりでしょうが、これもこれでそれぞれにポイントがあります。

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・並行している路線の利用
振替輸送などで案内されているのであれば、これが次善の策としては最適解であることは相違ありません。
問題は「その路線にどうアクセスするか」と「どのくらい遅れが拡大するか」について、どこまで情報を持つことができるかにあります。
このあたりはスマートフォンなどの検索機能を活用すれば、徒歩時間や道のりも含めてナビしてもらえますが、土地勘がないと怖いところもありますし、並行している路線を利用した結果、結局遅れを取りもどすどころか拡大してしまう可能性は否定できません。
しかも、その並行している路線が混雑する時間帯にあたっていれば、振替輸送利用客が殺到することでさらに遅れを拡大することもあり得ます。
したがって、筆者の場合は急ぎでなければ素直に運転再開を待つことに決めて、近所の喫茶店や書店、漫画喫茶などで時間をつぶすようにしています。数時間かかりそうな場合にはカラオケボックスに入って、いわゆるヒトカラに興じたこともあります(笑)

そのような時間をつぶせるような場所がなかったら?
その場合は概ね駅のベンチや、抑止がかかっている列車の車内で時を過ごします。

・タクシーを使う
これは都市部であれば誰でも考えることになりますが、それを前提で考えると案外、タクシーって使えないのです。
まず、すでに運転見合わせ開始から時間が経っているとタクシーがつかまらない。もちろんタクシー乗り場は行列ができているはずです。そうすると自ずと道路に出て「流し」もしくは駅に向かうタクシーを拾う作戦に向かうと思うのですが、タクシー側もそれは心得ており、そのような“抜け駆け族”は相手にしない傾向が強いようです。乗車拒否だと息巻いてもムダです。所定の乗り場で待っている利用者が確実にいるのですから、そこを走っているタクシーはもはや「流し」ではないのです。当然ながらタクシー会社の予約センターに配車を頼もうにも断られます。車が手配できないぐらい出回っているのですから。

ではどうするか。筆者が数度やったことがある例を挙げます。

乗っていた列車のアナウンスで、先行列車が事故に遭遇したため次の停車駅でこの列車も運転を見合わせることになったことが判明。次の停車駅はそれなりに大きな駅だが、目的地の駅までは10kmほど離れている。タクシーを使うとすると運賃はそれなりにかかってしまうが、予定を考えると「タクシーを使えば旅行を継続できるが、使えないと継続が難しくなる」状況に。
そこでまずその駅で真っ先に改札を飛び出し、駅前にいたタクシーをまずつかまえる。そして同じように駅前に出てきた乗客の群れに対して「自分は◯◯駅まで乗りますが、同じ方向に向かう人はいますか!」と声をかけました。結果、自分を含めて4人が相乗りというかたちで1台のタクシーに乗り、運賃を頭割りした結果、大きな持ち出しにならずに済んだばかりか、先を急いでいた人は、ほぼ諦めていた次の列車に間に合うという結果も付いてきました。こちらも先の予定が無事つながり、旅行の継続ができたという「めでたしめでたし」なオハナシでした。

こんな感じで、臨機応変の要素が強いタクシーですが、都市部の場合は運転手によって土地勘がしっかり働く人とそうでない人の差が大きく、急いでいる場合には報われない結果になることもあり得ることを申し添えておきます。

・歩く(必要に応じて走る)

最後にこれを持ってきます。これはあくまでも地元限定。土地勘がないと本当に路頭に迷う場合があるので、旅行先では避けた方がよい選択です。
その理由を先に示すと、最近の電子地図は精度も高い上にランドマークの情報も多岐にわたっており、かなり有効なように見えますが、端末の解像度や画面を見ているときに縮尺によって、本来の道路や歩道が省略されていたり、細い水路や橋がなかったり、目印になっている交差点の看板が現地になかったり字が消えていたりと、いざ現地に行って見ると「???」となることが往々にしてあります。これはまず地元でやってみると、面白いぐらい「あるある」な状況に出くわすので、よかったら数カ所で試してみて下さい。違う意味での新たな発見があるかもしれません(笑)

本題に戻ります。では地元で歩く(or走る)の選択はどこがカギなのか。
1つはもちろん時間と体力との相談。もう1つは意外に思うかもしれませんが「どこで歩く(走る)のを中止するか」になります。
前者は説明不要だと思うので、「やめどき」の判断について述べます。
街中だと、列車の停まった駅から2駅ほど先に行けば、そこからは今でも動いている、ということは場所によって結構ある話です。こういった場合、「距離がどのくらいなら歩けるか」はイメージがわくと思うのですが、状況によっては現在は見合わせ中でも10分も経てば実は再開しちゃった、などということもあり得ます。
自分の場合、歩く基準は2km程度までを相場にしていて、これがだいたい30分(実際には好天であれば20分)で歩ける距離になっています。
で、これを「やめどき」にあてはめると、15分も歩いていれば残りわずかで目的地に着いてしまう反面、10分だと半分程度しか歩いていないので、動いているとわかれば戻ったとしても痛手は少ない、と判断できるという次第。
逆に3kmほど歩く羽目になる……のであれば、そもそも歩かずに待つのを決め込むか、戻らずに向こうまで歩き尽くす!と決めて動くかの判断となります。3kmだとタクシーを使ったら1,500円ほどの持ち出しになるわりに、思ったほどの時短効果は得られないのだ……という経験則もそこに加わります。

かなりあれこれ具体的に書きましたが、このハナシ全編を通じて1本ドバッと軸を通す考え方があるので、それを締めとしてまとめます。

非常時やトラブルに巻きこまれた場合、とにかく
「迷うことなく、短時間で判断する。そして、その判断を後悔しない」
こと。
これに尽きます。

それでは次回の投稿まで、ごきげんよう。

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